英雄*戦姫

英雄*戦姫

レビューと評価 125/200(可)

美少女英雄に囲まれて世界を従服する地域制圧形SLG(公称)。

本作にはもちろん美点と欠点があって、そのどちらも言葉にすると分かりやすいものだ。もし本作を面白いと感じるのだとしたら、美点の輝きの前に数多の欠点が霞んでしまっているのだろうし、逆に駄作だと思うのなら、それはあまりに沢山の欠点に美点が埋もれて見えないだけなのだ。

当サイトは、本作に125点をつけた。この評点は、当サイトでは凡作を意味する点数だ。つまり私は、本作を標準以下の出来だとみなしており、その根拠も各論で述べるとおりに多数用意している。

しかしながら、本作の美点は、多数の欠点を覆すには至らずとも、確かに存在している。では、本作の美点とは何か?

そもそも私はキャラクターデザインとコンセプトに釣られて買ったのだから、そこは全面的に評価するところだ。歴史・伝説上の英雄たちが女人化され、一騎当千の兵として他を蹴散らす! とってもキャッチーにデザインされた女英雄たちが、我が身の分身である主人公に言い寄ってくる! あからさまなハーレム展開が期待できる本作に、ハーレムバンザイな変態紳士が食いつかないはずもない。

体験版をプレイするまでは面倒なのでいちいち確認しなかったが、声優陣もかなり豪華だ。日頃からあまりメジャーでない抜きゲーばかりレビューしている私からすると、声の贅沢さに感動して上限点をふり切った点数をつけたくなるほどだ。特に、ナポレオン役。彼女はいいね、実にいい。ほかはムー役も大変良かった。彼女なしでは、本作終盤の魅力は半減どころでは済まなかったろう。

BGMもいい仕事をしていた。侵攻が進むたびに戦闘BGMが変わるなんて、まるでCSのようだ。というか、本作をプレイしている間、エロシーンが出てくるまでエロゲーだということを忘れていた。

つまるところ私は、本作のキャラクターデザイン、コンセプト、声優、BGMについては文句がないわけだ。特に、音声項目については満点の40/40点をつけているわけだから、これはもう、パートボイスなのが残念だという以外にネガる言葉を持たない。グラフィックについてはいろいろあって40/60点止まりで評価しているけれども、それでも良評価だ。

この時点で合計点は80/100点。されど、総合点は125/200点。残り100点分の採点枠で、たったの45点しか増えていない。

一体、何がそんなにダメだったのか。それはズバリ、ミッションとゲーム性に関わる問題だ。といっても、何か一つどデカい致命的な欠陥があって、それがすべてを台無しにしているわけではない。細かい欠点が沢山あって、それが累積していって、前述の美点だけではフォローできないほどになってしまっている。その一つ一つを説明するために、このレビューの各論はあれほど項目が細かく分かれていて、当サイト比通常の3倍以上のテキスト量になっているというわけだ。ちなみに、この総評を兼ねた序論がやたらと長いのも、それとのバランスを取るためだったりする。

もっとも、私が次の頁以降で指摘する欠点など、萌えを至上の原理とする生粋の萌えゲーマーであって、SLGの熱狂的なファンに属さない、ゲームバランスを重視しない層からすると、大した問題ではないのかもしれない。ただヌルいRPGをプレイするように、お手軽にレベルが上がって大味な技でモンスター、果てはボスまで瞬殺できる系のゲーム性が好みだというなら、私が問題視した幾つかの部分は問題ではないのだろう。さらに、本筋と全然関係のないイベントに、本筋を能率的に進める以上のターン数を浪費--いやそれは浪費ではないのだと言い切れるのだとしたら、大多数の問題は問題ではなくなるだろう。

そこのところのあり得る価値観の相違をあえて無視して、批判味たっぷり、あっさり風味の各論に移ろうと思う。

1. シナリオ関連

本作のシナリオは、メインストーリーとミッションから構成される。メインストーリーは分岐なしの一本道。ミッションと呼ばれるイベントは、行動ポイントとスキルを支払うことで観ることができる。行動ポイントとスキルについては、厳密にはゲーム性(2)の項目で扱うべきところだが、文脈の都合上こちらで解説・批評する。

1-1. メインストーリー(多少のネタバレ注意)

メインストーリーを核心部分のネタバレを避けてまとめると、以下のようになる。

メインストーリーの流れ
邪馬台国の女王ヒミコは、来るべき世界の災厄に備え、世界平和のための世界征服を標榜していた。主人公は人々から天の御遣いと呼ばれ、邪馬台国に加担し、瞬く間にジパングを統一。アジア諸国に元寇問題から因縁をつけて次々と侵略するも、侵略後は現地の英雄に今まで通りの統治を任せることで、信頼を得ていく。また世界各地ではアンノウン勢力が跋扈しており、火事場泥棒的に侵略しても文句を言われず、むしろ感謝される。こうして世界はジパングによって平和に征服されていくのだった。

あらすじにまとめると世界平和の語尾に(笑)をつけたくなるほど無茶なストーリーだが、プレイしている間はひどい違和感を覚えることはなかった。というのも、世界征服といってもかなりユルい雰囲気のまま征服していくし、現地の人々や英雄自身がジパングによる統治を概ね歓迎してくれるからだ。

メインストーリーの序中盤は良くも悪くもユルい萌えに徹しており、ヒロインに関して不愉快となりそうな要素は極力排除されている。ヒロインは基本的に善人であり、非道を行ったとしてもそれは本人の意思によるものではない。そのため、敗軍の将である彼女たちを自軍に迎える際にも軋轢がなく、気持よく配下に加えられる。

終盤は、序中盤と打って変わってシリアスな展開に。物語の核心が一気に明らかとなるが、それまでに消化しきれなかった設定の解説がやや詰め込まれすぎていて、語る英雄の台詞もだいぶ説明的である。しかし、その英雄担当の声優さんの演技力がかなり高いため、説明的でありながらも心揺さぶられる展開であった。

1-2. ミッション

ミッションは、キャラクリミッションと地域ミッションに分けられる。

1-2-1. キャラクリミッション

キャラクリミッションは、仲間となった英雄すべてに用意されている。キャラクリミッションを進めていくと、特定の英雄の技が増えたり、装備枠が増えたり、特性がついたりする。

一国の首相クラスやジパング勢には比較的多くのミッションが用意されており、その内容もある程度凝ったものになっている。キャッチーな衣装に身を包んだ魅力的な英雄たちが、ミッションの過程で主人公にデレるのを観るのはとても楽しい。キャラクリミッションは大体ボイス付きなので、豪華な声優陣の演技をまったりと堪能できる。私好みでいうと、当初とギャップのあるナポレオンが、キャラクター性も声優さんの演技もすごく良かったと思う。

しかし一方、一部の英雄たちのミッションはかなり不遇な内容である。ヒロインとちょっと親密になれはしたが、それ以降のミッションがない、にもかかわらず親密度は何故か愛情に発展してゴール、という中途半端な英雄もいる。下表をみて分かるように、キャラクリ用の一枚絵すら用意されていない英雄は少なくない(全体の約4割)。

キャラクリミッションを進めていくと、英雄によってはHイベントが観られる場合もある。しかし残念ながら、Hイベントは全員分用意されておらず、仲間となる英雄72名中32名分しかない。しかもHイベント用の一枚絵には、せいぜい数枚しか差分が用意されておらず、1枚も差分がない場合も多い。

エロテキストについては、どのHイベントをみても、内容と表現が似通っている。大体の性交は、挿入→破瓜→中がきつきつ→痛い、けど大丈夫→あんあんっ! で全てを語れてしまう。フェラシーンでも類似表現が顕著で、口での恥垢掃除を示唆する「チーズのような~」「生臭い」といった表現が多用されている。そもそも本作は萌え志向のゲームだから、恥垢等の汚物表現は極力避けるべきだ。常にカスの溜まっている不潔な男のペニスを健気にしゃぶる英雄たちには、性欲よりもむしろ哀れみを感じる。

英雄名 Hイベント キャラクリCG
ヒミコ 6 6
アーサー 3 4
マルコ・ポーロ 2 3
イヴァン雷帝 2 3
ランスロット 1 3
武蔵坊弁慶 2 3
織田信長 3 3
ドレイク 1 2
始皇帝 2 2
アレキサンダー 1 2
カエサル 1 2
カメハメハ 2 2
アリストテレス 1 2
ナポレオン 2 2
ベートーヴェン 1 2
安倍晴明 2 2
アキレス 1 1
エンキドゥ 0 1
ベディヴィエール 1 1
モンテズマ 1 1
ジェロニモ 1 1
三蔵法師 1 1
ガウェイン 0 1
ガラハド 0 1
ギルガメシュ 1 1
ジャンヌ・ダルク 1 1
ハンニバル 1 1
ベイリン 0 1
ヤマトタケル 1 1
源義経 0 1
石川五右衛門 0 1
ヴラド・ツェペシュ 1 1
ウィリアム・キッド 0 1
パーシヴァル 0 1
ワイナカパック 1 1
ダ・ヴィンチ 0 1
フビライ・ハン 1 1
クック 0 1
コロンブス 1 1
ティーチ 1 1
ネロ 1 1
ノストラダムス 1 1
パラメデス 0 1
ラスプーチン 1 1
アトラス 0 0
ヘラクレス 0 0
ボールス 0 0
孫六兼元 0 0
カール大帝 0 0
ジークフリート 0 0
チハヤ 0 0
上杉謙信 0 0
カンビュセス 0 0
クーフーリン 0 0
トリスタン 0 0
モードレッド 0 0
呂布 0 0
アショーカ 0 0
ユーウェイン 0 0
伊能忠敬 0 0
アルキメデス 0 0
ビリー・ザ・キッド 0 0
ガリレオ 0 0
ケイ 0 0
マゼラン 0 0
コペルニクス 0 0
ツタンカーメン 0 0
ディオゲネス 0 0
ハンムラビ 0 0
ファウスト 0 0
孫子 0 0
太公望 0 0

(※)3PのHイベント及びキャラクリCGは、双方に1回ずつあったものとみなす(例:フビライ&マルコのエロシーンがあるなら、フビライ1回、マルコ1回と数える)。メインストーリーを進行する上で得られるCGは、カウントしない。また、みんなで入浴したり、海水浴に行ったりするCGも含まない。

1-2-2. 地域ミッション

地域ミッションは、資金と宝具を得るための地域別ミッションだ。本作が歴史・伝説上の英雄を題材としている以上、史実や伝説のネタを絡めたエピソードが望まれるところである。

しかし、残念ながら、地域ミッションの多くは、出来の悪い観光ガイドブックのような内容に終始している。世界各地の史跡を巡ったり、ご当地グルメを食べてまわるだけのミッションだ。はっきり言って、時間と行動ポイントとスキルの無駄だから、この程度の出来なら無くていい。

1-2-3. 行動ポイントとスキル


ミッションを遂行するには、一定量のスキルが必要。画像はクリックで拡大。

ミッションを観るには、行動ポイントとスキルを支払わなければならない。

行動ポイントは、ミッションを一回観るたびに、1ポイントが消費される。ゲーム開始時点では2ポイントしかない行動ポイントだが、終盤には4ポイントにまで増える。

スキルは、そのミッションを観るのに一定量要求されるものだ。英雄は、それぞれ研究・交渉・作成・探索・航海・登山の6つのスキルを幾らか有している。ミッションには一定のスキル量が遂行条件として設定されており、そのミッションに参加する最大8人の英雄のスキル総量が遂行条件を満たしていなければならない。

このミッション遂行条件がクセモノで、多くの場合、遂行条件は無駄に多くのスキルを要求している。それ故、能率的なミッション遂行のためには、乏しいスキルをやりくりする必要がある。メインストーリーとは無関係なミッションであっても遂行条件は厳しいので、微妙な三文芝居を観るために万全の遠征を妥協せざるを得ないという理不尽な選択を強いられる。

また終盤になると、行動ポイントが4ポイントになって4回行動できるわけだが、ミッションの遂行条件も格段にきつくなった結果、そもそも4回行動するためのスキルが足りないという状況に陥りやすい。行動ポイントを残したままターン終了すると、倒すだけ無益な山賊が集団で襲ってくるので、ウザいことこの上ない。

1-3. 評価

メインストーリー自体は良く出来ているが、ミッションは「がんばりましょう」。

力の入り具合がミッションによって全然違うので、投げやりに作るくらいならむしろ減らしてほしい。終盤はアホほど増殖していくミッションのせいでゲーム進行が阻害されるので、中途半端な出来のエピソードを読まされるたびにストレスが溜まるのだ。

あるいは、この膨大な数のミッションをそのまま消化させたいなら、メインストーリーを一本道にせず、ルートを分けたほうが少しは気楽に進められたかもしれない。エンディングを観た後は、宝具を引き継いでハード難易度で遊べるものの、それ以外は一周目と同じなので、やる気が出ない。私も一度は、未消化のミッションを二周目で消化することを考えたが、二周目があまりにもつまらないので、結局一周目の終盤で消化することにしたのだった。

2. ゲーム性

ゲームは、シミュレーションパートを軸に進行する。この項目では、シミュレーションパートと戦闘、それとUIについて解説・批評する。

2-1. シミュレーションパート

シミュレーションパートでは、兵力の回復・増強、宝具の装備、ミッションの遂行が行える。兵力増強と宝具の装備は難易度の低下を意味するので、任意の難易度調整的な役割もある。一部の宝具はひどい壊れ性能であるため、装備するとゲームバランスが崩壊する。ご利用は計画的に。

2-1-1. 侵攻と防衛

地域侵攻は、ミッションとして行う。

本作の地域侵攻は、一方的である。相手国は、こちらがミッションを進めて敵対しないかぎり、攻めてくることはない。また、戦争状態となっても、相手国は基本消極的だ。侵攻された地域を取り戻すためにちまちま軍を送ってくるが、雑魚すぎて勝負にならない。

侵攻するにしても防衛するにしても、相手の布陣を見てから、後出しジャンケンで対応できる。しかもユニットの駐留という概念がないため、対応させる戦力は全軍の未行動ユニットの中から選び放題だ。敵がどこから攻めてこようと、逆にこちらからどこへ攻めようと、常に全軍で事に当たっているようなもの。ただ、一回の戦闘に参加できるユニットの数が制限されているという枷があるだけだ。

2-1-2. 地域制圧型SLGとしての自由度

侵攻にあたっては侵攻ルートがかなり限定されており、地域制圧型SLGとしての自由度はとても低い。宣戦布告して侵攻しない間は兵力増強し放題なので、決して詰んだ状況には陥らない。地域制圧型SLGというよりは、地域制圧型RPGとでも呼ぶほうが実情に近いと思う。

2-1-3. 高難易度ボーナス


高難易度ボーナスの取得は任意。

侵攻の仕方によっては、高難易度ボーナスが発生する場合がある。ボーナスとして宝具が取得できるが、その代償として難易度が上昇する場合もある。とはいえ、難易度上昇宝具の取得は任意であり、そもそもマゾい侵攻ルートをあえて辿らなければ発生しないボーナスであるため、あくまでオプションである。

問題なのは、この高難易度ボーナスの発生条件が伏せられていることだ。何が楽しくて、難易度を上げるために自ら発生条件を手探りしなければならないのか? 初回プレイで難易度を選べないなら、この手のボーナスの条件は予め公開しておくべきだ。

2-1-4. ミッションの発生と蓄積


どんどん増え続けるミッション。

序盤はそうでもないが、中盤以降、ミッションの発生頻度が段々と高くなってくる。EU侵攻後は、1つの都市を落とすたびにミッションが発生し、前座イベントが乱発して非常にウザい。ミッションをまじめに全部消化していくプレイスタイルだと、本当にイライラさせられる。ミッション一覧を開いた時、20以上のミッションが常にずらりと並んでいるのをみると、やる気が失せてくる。

2-2. 戦闘


未行動ユニットから好きなように選んで配置できる。

上画像のように戦場に最大6体のユニットを配置し、ターン制限以内に敵ユニットを全滅させるのが唯一の勝利条件。ターン制限超過は、こちらの負けとなる。ユニットには1つの属性が定められており、それぞれの属性には相性がある。

2-2-1. ブレイブシステム

ユニットがブレイブ技を使うには一定数のブレイブポイント(以下、BP)が必要で、強力な技ほど多くのBPを消費する。戦闘で以下の行動を取ると、BPが溜まっていく。

・相手の弱点でない属性で攻撃する(与ダメージ量に比例し、BP増加)。
・弱点属性の攻撃を受ける(被ダメージ量に比例し、BP増加)。
・何らかの行動によりターンが経過する(両軍ともに若干のBP増加)。
・チャージ等のBP増加技を発動させる(技の性能に応じてBP増加)。

攻撃によってBPを得るには弱点を狙ってはいけない」というところが、このシステムの肝である。そうであるからこそ、一見弱点だらけの属性であっても利用価値が生まれてくるからだ。

ブレイブシステムがうまく機能していれば、ゲーム性を重視するプレイヤーも納得の、戦闘の駆け引きが楽しめたはずだ。しかし残念なことに、2-2-2で述べる理由により、このシステムは最大限に活かされなかった。

2-2-2. ゲームバランス

制作者の意図や潜在的なゲーム性がどうあるにしろ、戦闘の実際的なゲーム性はあまり高くない。

ゲーム序盤では、いちいち計画的にBPを溜める意味がない。というのは、弱点属性による攻撃は、与ダメージ量が2倍になるのに対し、序盤で使えるブレイブ技の倍率は”高くて2倍”なので、相手の弱点を積極的に狙ったほうが速やかに殲滅できるからだ。序盤においてBPは溜めこむものではなく、適当に攻撃して溜まってきたら、その都度放出すべきものなのである。

BPを気にする必要が出てくるのは、ゲームも後半になってからだ。もし高難易度ボーナスを取りながら能率的にゲームを進めていたなら、ゲーム後半の敵ユニットの兵力は自軍を大きく上回っているはずである。そうなると、弱点を狙ったゴリ押しでは逆にこちらが全滅してしまうので、彼我のBPに注意を払いながら敵の殲滅を図るようになる。この域に達するのは、大体ヴィンランド~ロシアを攻めている頃で、私の所感ではこの頃が一番楽しかった。

しかし、自軍に優秀なユニットが出揃い、英雄技と呼ばれる超強力な技の使用が当たり前になってくると、そんな楽しさも段々と変質してきた。こうなると、もはや一部の有用な補助技を除けば、高ダメージ倍率または広範囲の英雄技以外使うメリットがない。戦闘は、如何にさっさとBPを溜めて攻撃系の英雄技をぶっ放すかという方向で進行するので、非常に大味な戦いになるのだ。

しかも、同じ英雄技であっても、その有用性には相当な格差がある。例えば、広範囲の雑魚どもの兵力を一発で蒸発させたり、ボスですら一撃で瀕死に追い詰められる英雄技がある一方、威力低倍率・微妙範囲の英雄技もある。にもかかわらず、どちらも消費するBPは同じなのだ。攻撃系などまだマシなほうで、一撃必殺級の英雄技が存在する以上、補助系の英雄技はせいぜい局所的にしか利用価値がない。

要するに、本作の序盤ではブレイブシステム自体がまともに機能しておらず、終盤では技の性能バランスが崩壊しているので、ある一時期を除けば大雑把な戦闘になってしまうというわけなのだ。「大雑把でも爽快ならいい」という考え方もあるが、本作の場合はシミュレーションパートの時点ですごくユルいので、戦闘だけはもう少し緊張感のある内容に仕上げてほしかった。

2-2-3. 戦闘演出


予め分かっていたこととはいえ、もう少しユニットが可愛いければ……。

戦闘は、ビジュアルこそ貧弱だ。英雄技のエフェクトは派手だが、肝心のキャラクターのビジュアルは小さく、細々とした張りぼてのようで、動きに乏しい。英雄萌えをウリにしている作品ならば、もっと可愛くデフォルメされた英雄たちに、派手に立ち回ってほしいところである。

だが一方、戦闘BGMや声優の掛け声による音の演出は、かなり良い。技を繰り出すたびに声が入り、戦闘地域が変わればBGMも変わる--まるでコンソールゲームのような演出だ。

どんなに良い戦闘演出でも見慣れれば飽きてしまうものだが、その点、本作は演出を高速化することができる。演出の高速化は倍率を細かく設定できるので、「戦闘をよりスピーディに遂行したいが、演出を極端に省きたいわけではない」という繊細な欲求にも応えられる仕様である。

2-3. ユーザビリティ

戦闘UIの操作性は、体験版で批判されただろう部分については、Ver.1.01の時点で概ね改善されていた。例えば、戦闘配置を英雄リストからのドラッグ&ドロップで行える点や、ユニットにカーソルを合わせると通常技の選択範囲が一目でわかる点がそうである。発売日までにUIの問題点を確実に改善してくれたことについては、とても好感が持てる。

しかし、体験版では触れなかったシミュレーションパートについては、ユーザビリティが低いと言わざるを得ない。宝具リストは見づらくて目当ての宝具を探すのに手間がかかるし、英雄が新しい技を覚えてもこのパートでは確認する手段がないので、技の内容を確認するのにも一手間だ。


技名は確認できても、肝心の効果が分からない。


一覧にずらりと並んだ装備品。種別ごとにタブで分けるくらいの工夫は欲しい。

追記. Ver.1.02aの場合

4月12日に公開された1.02aパッチにより、いくつかの欠点が改善された。注目に値するのは、「ミッション一発編成機能」と「技詳細データの一覧表示機能」が追加されたことだ。これにより、まだ本作をクリアしていないプレイヤーは、1.01よりはいくらか快適にプレイできるだろう。ただ、このパッチがリリースされたのは、私がコンプリートし終わってレビューをほとんど書き終えた後なので、このレビューの評価には影響しない。


兵力管理画面などから、技の効果も確認できるように。


いちいちスキルの組み合わせを考えなくても、自動で編成してくれる。

2-4. 評価

面白くなれる要素はあったのだけれども、残念ながらそれを十分に活かすことはできなかった、という印象。一つ一つは致命的でない問題でも、積もり積もってストレスを感じさせるゲーム性になっている。

  • 総合評価 125/200点
  • シナリオ 20/40点
  • グラフィック 40/60点
  • 音声 40/40点
  • システム 25/60点

作品情報

CGの詳細
タイトル 英雄*戦姫
ブランド 天狐
発売日 2012年3月30日
ダウンロード販売 DMM
パッケージ通販 Amazon 駿河屋