お兄ちゃんにはぜったい言えないたいせつなこと。

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Summary 140/200(良)

本作のあらすじ
柏原幸人と明日奈は義理の兄妹。幸人は才能のある脚本家で、明日奈は女優の卵でモデルもやっている。共通の夢に向かって邁進する二人は両思いだが、血は繋がっていないとはいえ、近親恋愛の壁は高い。二人の関係がなかな進展しないなか、明日奈は、有名映画監督の毒島に目をつけられた。毒島は、自分の地位と権力を最大限に利用し、明日奈を手篭めにすべく奸計を巡らせる。

レビューの要旨
頭の弱いヒロインを受け入れられるかどうかが、評価の分かれ道。寝取り側の視点が強いので、ルートによっては「寝取られ」というより「寝取り」物に近い。エロシーンは、一部除けば、基本的に心理描写が濃厚でよろしい。

エロシーンの属性
寝取り、寝取られ。抜きゲー的には、ハードとはいえないシーンが多い。コンドームプレイがやや多め。

目次

  1. シナリオについて
  2. エロシーンについて
  3. 総評

1. シナリオについて

1-1. 共通ルート

体験版でも遊べる序盤は、素晴らしい出来だった。

明日奈はプロ意識の高さゆえに、他人にも自分にも厳しい。血の繋がらない兄(幸人)を脚本家として尊敬し、また男として愛している。兄への愛情はまったく隠しきれていない一方で、兄妹の壁を乗り越えられないもどかしさが良く表現されていたと思う。

幼馴染の歌穂は、実現が困難な恋と夢の敵対者だ。歌穂は明日奈よりも役者としてのスキルが上であり、幸人に強く恋している。明日奈にとって、彼女は恋敵であり、役者としてもライバルだ。それは歌穂にとっても同じことであり、二人の目的は基本的に相容れない。どちらが夢を叶え、そして恋を成就させるのか。歌穂がいればこそ、恋に仕事にと、緊張感のあるストーリー展開が期待できる。

ここまでくれば、仕込みは十分だ。困難な恋と夢を成し遂げようとする健気な二人のどちらが寝取られても、私は心の底から不愉快な快楽を味わえるだろう。

幸いなことに、寝取りを仕掛ける毒島監督は、正真正銘のクズ野郎だ。こんな男に妹と幼馴染を辱められたあげく寝取られてしまったなら、その時は嫉妬と絶望と快楽との区別がない領域へとトリップできるかもしれない……。そんな不安と期待と期待を胸に抱いた私は、途中の展開で多少残念な気持ちにさせられつつも、どうにか分岐点に辿り着いた。

シナリオは、中盤から「明日奈ルート」「母娘ルート」の2つに分岐する。一方のルートには壊れかけた幸せが待っており、もう一方にはただひたすらに空虚な失望が待っている。そして私が最初に選んだのは、よりにもよって、「母娘ルート」であった。

1-2. 母娘ルート

このルートを辿った私の失望は、寝取られた悔しさから来たのではない。そもそも、母娘ルートの内容は、「寝取られ」展開だとは言いがたい。何故ならば、このルートでは、寝取られの被害者であるはずの主人公の存在感が発揮されていないからだ。

代わりに、毒島視点のテキストが、かなりの頻度でしゃしゃり出てくる。毒島はもともとアクの強いキャラクターなので、彼が前に出てくると、当たり障りのないキャラの幸人の存在感など空気に等しくなる。

その結果、「寝取られ」的な情緒は「寝取り」のノイズにかき消されてしまった。そうしてこのルートは、中途半端な「寝取り」物になり下がってしまったのだ。

母娘ルート(明日奈ルートもそうだが)の酷さは、他にもある。それは、エンディングが不完全燃焼なことだ。尺が足りなかったのか、エンディングに至るまでの一部過程がかなり端折られていたり、余韻を持たせるにしても尻切れな終わり方になっている。

1-3. 頭と股のゆるい娘と母

本作のプロットには、ストーリーが大きく転換する地点で強い違和感を覚える。その原因は主に、明日奈とその母(奈々子)の、頭と股が緩すぎるということにある。頭と股が緩すぎて、転換点における彼女たちの心情を理解しかねるのだ。

なにせこの母娘ときたら、訳の分からない理由で毒島に身を差し出してしまう。演技指導を受けるために身を委ねるとか、勃起不全の治療として自宅でペニスをケアするとか、意味が分からない。確かに、毒島はそれ以前にあれこれと仕込んではいるが、しかし、あの程度の仕込みで人並みの思考力のある女性が身を委ねるとは到底思えない。

母娘がヒステリーを起こしたり、自暴自棄になったりする程度もおかしい。確かにそのような状況になればショックを受けるかもしれないが、周りがまったく見えておらず、あまりに極端に走りすぎている。

こうしたヒロイン像は、低価格帯の作品にはよくあるタイプだ。ヒロインの頭が弱ければ弱いほど、無茶苦茶なストーリー展開でも正当化しやすい。また、頭の弱いヒロインにもそれなりに需要があるから、制作期間と構成力に欠ける制作者には重宝されるのだろう。ひょっとすると、そんなヒロインがいるからこそ、話が面白くなることもあるかもしれない。

そのあたりの事情も踏まえていうと、私は一律に、この手のヒロインを全面否定しようとは思わない。しかし、後述する理由もあって、本作の母娘に対する私の印象は悪い方向へと流れてしまったのだ。

1-4. 丁寧な心理描写

本作のプロットは褒められた出来ではないが、ヒロインの心理描写については、日常・エロともに、かなり好感が持てる。日常のすれ違いや、毒島との行為に抵抗がなくなっていく心境の変化が、ヒロイン視点のテキストで叙情的かつ丁寧に描かれていた。この濃厚な心理描写だけに焦点を当てるなら、本作のシナリオはとても良い出来だった、と評価することもできただろう。

しかし皮肉なことに、心理描写が丁寧すぎることが、逆に”頭と股のゆるい母娘”に対する違和感を増幅させていったのだ。

心理描写が丁寧であれば、それだけヒロインの心境の変化を追いやすい。だからこそ、こちらも丁寧にテキストを読み取っていけば、ストーリーの転換点における不自然さも余計に際立って見える。

そして、感情移入の状態がリセットされて、ふと冷静になって思うのだ、こいつら馬鹿じゃないか? と。なんでそこで股を開くんだ? なぜそんなに極端なんだ? と。

心理描写が丁寧すぎるために、普通の抜きゲーであれば無視するような不自然さが強く目立ってしまう。テキストの良さがプロットの穴を拡大しているあたり、だいぶ残念な感じだ。

1-5. 明日奈ルート

母娘ルートのエンディングを全て回収し終わった後、シナリオに対する私の評価は、そろそろ不可を下回ろうかという段階だった。総合的にも一時は優評価を暫定としていたが、徐々に下げていった。穴だらけのプロット、一部雑なグラフィック、多機能だが妙に面倒なシステムなどが、私のやる気を削いでいったのだ。

明日奈ルートには、もはや欠片ほども期待していなかった。母娘ルートをみれば、このルートの出来も知れたものだ。実際、明日奈ルートでも彼女のイカれ具合は発揮されていた。しかし、ストーリーを進めていくと、これには見所もあると思うようになった。

明日奈ルートでは、幸人もそれなりに存在感を発揮する。彼なりの見せ場がちゃんと用意されている。それ故、このルートは「寝取られ」物として楽しむことができた。

エンディングに関しては、グッドエンディングはそこそこ良かったと思う。このエンディングに至る道だけは、ひどく不自然にはならない程度に描かれていた。

具体的に何が良かったのか、重度のネタバレになるため語れないのが歯がゆい。代わりと言っては何だが、私が気に入っている『LEWDNESS』の台詞をここに引用しておきたい。

有栖
清純なものを、清純だからと愛するのは、まやかしの愛。
相手が汚れても朽ちぬ愛情こそが、真の愛情なのではないでしょうか?

有栖が言っていた文脈とは違うけれども、グッドエンディングで表現されていたものは、この主張に近いと思う。

1-6. 評価

総合的にみて完成度の高いシナリオだった、とは言いがたい。

しかし、心理描写は丁寧であり、これはエロシーンで生きている。母娘ルートは「寝取り」としか認識できなかったが、明日奈ルートに関してはちゃんと「寝取られ」があった。エンディングの大半は取ってつけたようだが、一部は良かった。

全部ひっくるめて、並ということにしておきたい。ただし、だいぶ頭が弱いタイプのヒロインに抵抗がなければ、これはこれで良作シナリオだと言えるのかもしれない。

2. エロシーンについて

エロシーンは、ほぼ毒島の独占。残念ながら、近親姦のエロシーンは口淫くらいしかない。エロシーンは母娘だけで9割近くを占め、幼馴染とのエロシーンはほとんどない。

毒島は、母娘を罠にはめる段階では、和姦に持ち込もうとする。しかし、いったん犯した後は和姦にこだわらなくなるので、それ以降は<性交を強要するような形になる。

2-1. 心理描写は良い

心理描写が丁寧なことが幸いして、エロシーンでは母娘の心の動きをじっくり観察できる。さっくり言えば、「こんな奴に犯されるなんて悔しい……でも、からだは感じちゃう」という心理が、主にヒロイン視点で詳細に描かれる。

プレイ自体はノーマルなものが多いが、心理描写が濃厚なため、ヒロインの悲壮感はひしひしと伝わってくる。

2-2. 不満点

一部のエロシーンは中途半端。ストーリーのテンポを重視したつもりなのか、犯されている過程がだいぶ端折られていることがある。また、一枚絵の使い回しが目立つ。それどころか、一枚絵とは呼べない代物を使ったエロシーンが延々続くこともある。

彩色は、精液の質感がおかしい。特に肌にかけられた際、体表面の立体感がうまく表現できていない。酷いものになると、まるでただの写真にぶっかけたかのように見える。

動画は、元の絵はともかく、動きはあまり良くない。FPSを上げようが下げようが、ぬるぬる動くのとは程遠い。

2-3. 評価

一部のエロシーンを大目に見れば、全体的にはなかなかの出来だ。しかし、まだまだ改善の余地がある。

3. システムについて

システムは多機能なのは良いが、デフォルトの設定を見直すべきだ。セーブやゲーム終了のために、手順を無駄に多く踏ませないように。音声はクリックでOFFではなくて、音声継続をデフォルトにしたほうが良い。

また、バックログに現在のテキストが表示されなかったり、選択肢表示時にメッセージウィンドウのアイコンからセーブできなかったり、スキップの継続を左クリックで解除できなかったりする仕様も見直すべきだ。他ブランドのシステムとはやや使い勝手が違うことが、ストレスになっている。

4. 総評

本作は、良作とも駄作とも言いきれない、かといって凡作でもない、微妙な位置にある作品だった。美点と欠点の所在がはっきりしているので、そのどちらを重視するかで印象が変わってくるだろう。

頭と股のゆるいヒロイン像を受け入れられるか否かは、本作を楽しむ上で最も重要なポイントだ。受け入れられるなら、良作以上の作品として楽しめるのではないかと思う。

  • 総合評価 140/200点
  • シナリオ 25/60点
  • グラフィック 65/80点
  • 音声 35/40点
  • システム 15/20点

作品情報

CGと声優の詳細
タイトル お兄ちゃんにはぜったい言えないたいせつなこと。
ブランド Mink EGO
発売日 2013年1月11日
ダウンロード販売 DLsite DMM
パッケージ通販 Amazon 駿河屋