死神の接吻は別離の味 感想

死神の接吻は別離の味

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ストーリー概要

主人公は、幼い頃、最愛の幼馴染を自分のせいで亡くしてしまったと思い込んでいる。彼の母親は再婚し、義父の連れ子である雫は彼の義妹となった。主人公は雫を可愛がり、学園の女の子たちにも密かにモテていたが、彼自身は昔の彼女のことをずっと忘れられないでいた。彼女の代わりに自分が死ねばよかった、とさえ思っていた。

あれから10年以上が過ぎたある日、主人公の前に、死神の鎌を持つ不思議な少女が現れた。彼女は、これから死んでいく者にしか見えないはずの存在だ。では、なぜ主人公は彼女を見えるのか? 「あなたの死に顔を見たい」と、少女はいう。主人公と死神少女の甘く切ない物語が、こうして幕を開けた。

総評 105/200(可)

参加スタッフの地味な人気に甘えた愚作。シナリオとCGの質・量ともに、価格と釣り合いがとれていない。ライターも絵師も活かしきれていない。スタッフよりもブランドに対して文句を言いたい、まともに評価するなら酷評せざるを得ない出来の作品だ。

シナリオ 40/80点

まず序盤は良かった。ヒロインは全員可愛らしく、キャラクターも立っていた。登場人物どうしのかけあいが非常に面白く、こちらをなじるような台詞でさえ愛らしく思えた。

あざとくもおかしいヒロインたちの台詞を読んでいると、「ああ、やっぱりおるごぅるさんは変態だなぁ」と思いつつ、ニヤニヤしていられた。ずっとニヤニヤしすぎて、顔面の筋肉が引きつったように痛かったが、それはそれで幸せだった。

物語の締めくくりとなる琥珀ルートも、なかなか良かった。こじつけているところもあったが、目を瞑ってもいいと思える程度だった。

「胸が小さくて、腰もくびれていない」
「人間の男は、そういう子が好きだわ」

たいへんズレたことを、平然とのたまう琥珀は可愛かった。そしてその可愛らしさゆえに、切ない物語だった。面白かった、そう思いたかった。しかし全体的にいって、出来の良い作品だとはとても評せないのだ。

では、何が不満なのか?

不満なのは、最初で最後の選択肢以後の展開だ。琥珀ルートには選択肢が存在しない。だから、この不満は主にほのか・雫ルートにぶつけられる。

まず、ふざけるな。そう言いたい。何だこれは? ほんとうに同じライターが書いたというのか。然もありなん、とはとても言えない。

何だこの整合性の取れてない展開は……。

雫ルートでは、初エッチする際の強引な展開が非常に不自然だ。なぜ、あれほど兄妹の関係を維持しようとしていた主人公が、あの程度のことで折れてしまうのか? そこは拒絶してはぐらかすところではないのか? そもそもお前は死んだ幼馴染に惹かれすぎて、そう簡単に恋愛をできないはずではないか。

それまでのはなしは丁寧に描かれていたのに、この部分だけ無理がありすぎる。そして、その無理は後々にまで尾を引いている。まるで、もっと長かったはずの物語を無理やりに短くするために、後から端折ったかのような違和感がある。

また、ほのかルートでは、劣化したSchool Daysのような展開がほんとうにあり得ない。あんな、まるで独創性のない同人作家が作ったような、これぞヤンデレ、ヤンデレはこれ以外認められない、そう言わんばかりの、紛うことなきテンプレート展開。しかも締めくくりは、取ってつけたような大団円だって?

冗談だろう、と思った。序盤をあれだけ面白く、丁寧に描けるライターが、なぜこんなゴミみたいな展開に持っていけるのか。ほんとうに不思議なことだ。

エロシーンは、全然おるごぅるさんらしくない。

それまでのライターの作品と比べてみて、明らかに劣化している、というより、まるで別人が書いたような内容である。ある程度それっぽく書かれている部分はあるけれども、あまりに当たり障りがなさすぎる。エロシーンへの導入も無理やりで、どこぞのシナリオ重視(といわれている)美少女ゲームのそれのように、エロの必然性を読み取れない。

これは何かの間違いだ、そう思いたかった。これが単独名義による最終の作品になるなんて……残念だ。

グラフィック 20/60点

基本CG枚数は46枚。エロシーンは、ほのか・雫・琥珀ともに3本ずつで合計9本ある。

本作品はフルプライスでないといっても、7000円級の作品である。基本CGが46枚しかないなんていうのは、いくらなんでも甘えすぎだ。しかも、差分は多くなく、大きな変化に乏しい。やたらと短いシナリオと合わせて、どれだけ低予算で作ったものを高値で売りつけてくるのか。

CG一枚一枚のクオリティには、バラつきがある。服を着た状態ではそれほど悪くないが、全裸または半裸になると、やけにバランスが悪くなる。塗りもあまり良くない。一部のCGについては、同人作品だといわれても違和感を覚えない。

女の子の表情は、台詞や展開と一致していないことが多い。稀にそうだというのではなく、ほんとうに多い。それでいて同じCGを何度も使いまわしてくる。エロシーンの導入でさえも使いまわされる。表情や仕草の変化も乏しく、これほど見ていてつまらない絵はない。

音楽・声優 30/40点

BGM15曲+ボーカル1曲。ボーカル曲名は「Le baiser de l’ange-天使のくちづけ-」、歌い手はRita。曲数は美少女ゲームにしては少なめだが、きちんと空気を読んでいて好印象。声優さんの演技については、特に問題なし。

ほのか 鮎川ひなた 五行なずな
琥珀 夏野こおり 十六夜 一色ヒカル
ミルフィ 榎津まお 鈴田美夜子

システム 15/20点

クイックセーブ有り。セーブとシステムがメニューで一纏めにされているが、どうせ選択肢はひとつなので問題ない。

エッチ内容について

エロシーンの詳細
ほのか(3)
処女喪失
黒下着姿で騎乗位
教室でフェラ&セックス
雫(3)
処女喪失
おはようフェラ
後背位&スパンキング
ソフトSM(両手拘束&目隠し)
琥珀(3)
処女喪失
フェラチオ&後背位
一緒にお風呂

(留意点) 全員処女・独占。

タイトル 死神の接吻は別離の味
ブランド ALcotハニカム
発売日 2009年04月24日
ダウンロード販売 DLsite DMM