感想と評価 120/200(可)
恭一郎(学生)の最愛の姉である咲(女教師)が、学園内で何者かに強姦されてしまった。保険医にして闇監査官の闇子が語るには、この件には学聖会の秘密が絡んでいるという。姉の仇討ちに燃える恭一郎は、闇子の助手となり、学聖会の闇を成敗するため奮闘する。
前作『懲罰指導 ~学園令嬢更性計画~』の流れを汲む作品。といっても、前作の主人公が顔見せする程度なので、本作からやり始めても何の問題もない。
前作と同じく、凌辱はあくまで手段であって目的ではない。そのため、本作に本格的な凌辱劇を求めるなら肩透かしとなるだろう。
私はわりと本作を好いているが、それでも詰めの甘い作品だと評せざるを得ない。本作にはメインヒロインが3人いるけれども、潤ルートのストーリー展開はだいぶおかしい。初回は空ルートから入ることをおすすめしたい。
凌辱しているはずなのに……
本作のエロシーンには和姦もあるが、凌辱中心だ。犯されているヒロインは快楽よりも嫌悪を感じているし、「成敗」が成立するまでなかなか堕ちない。凌辱行為の内容も、ハードプレイの部類に入るだろう。しかし、実際のプレイ感としては、本作がそれほど凌辱的な内容だとは感じられないのだ。
その理由としては、まず「本作の雰囲気がとてもコミカルだ」ということがあげられるだろう。時折ある闇子とのコメディ、テーマ曲の軽快さ、コミカルそのものの成敗演出がそういう雰囲気を作っている。
また、「凌辱は成敗の手段にすぎない」ということ。罪を憎んで人を憎まず――成敗とは、心の闇に取り込まれてしまった者の凶行を止めて、その闇から救い出すことにある。典型的な凌辱ゲームとは違い、ヒロインを性奴隷にすることが目的ではなく、むしろその逆、更正させることが目的なのだ。
さらに、主人公は、復讐心はあっても性根がヘタレで、通俗フェミニスト的な考え方をする。男を暴力で制裁することは許されるが、女にそうすることは許されない。成敗のためヒロインを犯しても、事後には後味の悪さを覚えて、うじうじと思い悩む。そして闇子との会話では、人の心の闇云々と、やたらと説教されてしまう。
雰囲気がコミカルで、凌辱が手段にすぎず、主人公がヘタレ。エロシーンが凌辱的であっても、ストーリーが全力で妙な道徳を押し付けてくるので、プレイ感としてはヌルめに感じられる。そこが魅力といえば魅力なのだが、典型的な凌辱ゲームを求めている方とは相性が良くなさそうだ。
潤ルートから入るのはおすすめしない
若菜・潤・空の3人には、それぞれ2つのエンディングが用意されている。エンド2は実質バッドエンドであり、エンド1はトゥルーエンド等に繋がっている。まず潤か空を攻略し、彼女らのエンディングを観た後で若菜ルートに入り、そこからまたトゥルーエンドや闇子エンドに分岐するという構成である。
私は、最初に潤を選んで攻略したが、彼女のシナリオは酷い出来だった。姉の仇にちょっと中出し一発決めたくらいで、これで復讐は終わり、むしろ彼女は可哀想な子、心の闇から救ってあげようという主人公の思考の流れは、いくら何でもおかしい。
また、潤は、咲以外の女達に対しても重罪を犯している。主人公ら闇監査官は、潤の罪を清算するくらいのことを言っておきながら、咲以外の女達に対する罪はまるで考慮していない。最後の成敗は、潤が馬鹿にしてたファン達に奉仕させられる程度だった。
仮にも凌辱ものならば、そこは泣き寝入りした女達の恨みを少しでも晴らす形で成敗すべきだろう、と思う。それでは結局、君らは成敗という名の凌辱を楽しみたいだけなんじゃないかと。
空-若菜ルートはまあまあ
潤ルートは酷いものだったが、次の若菜ルートはそれほど悪くなかった。歪んだ道徳の押し売りみたいな潤ルートと違って、若菜ルートでは主人公の復讐心がより剥き出しになっている。かといって、闇監査官にとっての成敗の目的もブレすぎてはいない。
2周目は空ルートからやってみたが、最初から潤ではなく空から入れば良かったのに、と思った。空ルートでは、主人公が復讐から彼女を更生させようという気持ちに変わるまでの心の動きが、あまり不自然でない。ヘタレゆえに初期の成敗に躊躇し、時には成敗の目的と違えて暴行に走ったり、黒幕の虜となっている彼女を救おうとしたりする気持ちは一応理解できる。何より黒幕の存在が強調されることで、空に対する恨みはやわらぎ、潤ルートでは超展開でしかなかったラストもそれなりに楽しめた。
エロシーンレベルでも、若菜や空のほうが潤よりも出来が良かったように思う。潤のエロシーンは嗜好性がブレていて、性癖の理解もないのに、適当なエロシーンを詰め込んだという具合であった。それに対し、若菜と空はそれぞれ特定の性癖に特化している。若菜は真性のマゾヒストであり、空は性欲旺盛の臭いフェチである。
若菜については、特に茶器を利用してのエロシーンがたいへん良かった。膣を茶碗に見立て、膣内に濃茶を入れ、茶筅で愛液とかき混ぜたものを頂戴するシーンなどはとてもフェティッシュだ。
空はその性欲の強さと、臭いに対する敏感さが、一部のシーンではよく表現されていた。ちなみに、本作で最終的に一番酷い目にあうのは、咲ではなく彼女である。
前作から改善されたこと
攻略難度が鬼畜だった前作と違って、本作はだいぶ簡単になった。何故ならば、ヒロインの成敗度が数値として見えるようになったからだ。ヒロインを成敗するには、成敗度を一定期間内に求められる数値以上に上げればいいだけ。総当りで何十周としてようやくクリアした前作と比べたら、楽な作業である。
とはいえ、選択肢の内容からは、一体どれが成敗度を効率よく上げる選択肢なのか分からない。それゆえ、間違えた場合にロードを繰り返す作業感があることは否めない。また、一部の闇子エロシーンは発生条件が分かりづらい。前作より簡単といっても、面倒くさいことには変わりないから、自力でやるのはあまりおすすめできない。
- 総合評価 120/200点
- シナリオ 20/60点
- グラフィック 60/80点
- 音声 30/40点
- システム 10/20点
エッチ内容について
作品情報
タイトル | 凌成敗!~学園美少女制裁秘録~ |
ブランド | TinkerBell |
発売日 | 2011年10月21日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |