レビュー
橘木ヤマトと白鳥姉妹(深琴、武)は、学生にして『退魔屋本舗黒猫支店』所属の退魔師。ある日、退魔の仕事で春秋学園に単身出向いていた白鳥武から、事務所へ援護要請が入った。ヤマトと深琴は、武のピンチを救うために、春秋学園に転校し妖魔退治に乗り出す。
『淫妖蟲 凌触学園退魔録』は、異種姦に特化した作品だ。触手や蟲などの気持ち悪い姿をした妖魔が、ヒロインたちの体中の穴という穴を犯す。ヒロインは、膣や腸内に大量の液状の何かを注ぎ込まれたり、幼蟲や卵を植えつけられたりして、ぼて腹になる。幼蟲や卵を植えつけられた(または妊娠させられた)場合は、それが中から出てくるところまで描かれる。
妖魔に犯される部位は、膣・肛門がメイン。そのほか口・尿道・臍(へそ)・乳頭を、触手が嬲ることもある(乳頭責めはわりと多め。臍姦は武に1本。尿道責めは入り口を嬲る程度。口内は意外と少ない)。人間を交えての輪姦や主人公との和姦もあるが、あまり多くない。エロシーンのメインはあくまで異種姦だ。
日常は基本的に主人公視点だが、エロはヒロイン視点が主。というのは、本作のエロシーンの多くはバッドエンドに当たるので、主人公はその時点で死んでいるか、蚊帳の外にいるからだ。大切なひとが妖魔に犯されることになるから、その意味では寝取られ物といえるかもしれない。実際、水依ルートのBAD END(6)は、寝取られ物に近い内容だった。
ヒロインは、肉体的にはすぐに墜ちる。エロシーン≒バッドエンドという構成の都合上、深琴と水依の処女喪失にはいくつかバリエーションがある。ヒロインが精神的にも墜ちていく過程は丁寧に描かれていない。過程がある程度しっかりしているのは、武ルートと、水依ルートの一部だけだ。
『淫妖蟲』のストーリーは、マニアックな異種姦物というイメージに反し、90年代のギャルゲーやアニメのようなテイストである。基本は不条理で軽いノリのラブコメディであり、ご都合主義によってピンチに陥り、ご都合主義によって状況が打開される。2014年現在の価値観では、このストーリーを素面でまともに読み切るのは難しい。
基本CG枚数は、枠で数えるなら80枚と一見標準的な数だ。が、これには単なるエフェクトやタイトル絵なども含まれている。また、非エロのCGも数多い。明確にエロに分類されるCGだけでいうと、実は半分の40枚程度しかない。当時の定価で考えると、抜きゲーとしてのコストパフォーマンスは劣悪であり、ダウンロード版が3千円台で買える現在でようやく少し買い得といえる程度だ。
いま本作に手を出すなら、多くのことを妥協しなければならない。古臭いコメディ、唐突で過程の乏しい展開、低い解像度とネガティブなポイントはたくさんある。しかしながら、本作は異種姦エロゲーの世界で長らく語り継がれてきた作品というだけあって、所々光るものはある。
例えば、武ルートは無用なコメディがなく陵辱に徹しており、いま観ても十分使える内容だと思う。「妖魔がヒロインの体内に何かを植えつけ、それが中から出てくる」というエロシーンへの並々ならぬこだわりも感じられる。
ちなみに、もし本作を購入するつもりがあるなら、パッケージ版は止めておいたほうがいい。パッケージ版が正式対応しているのは、XPまでだ。現在の最新OS(Windows8.1)では正常にセットアップできない。XP環境を用意できないなら、対応OSに7や8が含まれるDL版にしておこう。
作品情報
タイトル | 淫妖蟲 ~凌触学園退魔録~ |
ブランド | TinkerBell |
発売日 | 2005年10月14日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |