概要と評価
作品のあらすじ
主人公は泉尾憂希から酷いいじめを受けていたが、学校側はそれを隠蔽していた。ある日、主人公のもとにブ男が現れ、ブ男は彼に『スタンドゥ』と呼ばれる催眠能力を授けた。主人公はこの能力を使って、泉尾へ復讐することを決意。まずは試しに、同じいじめられっ子である久喜宮真央を手に掛けることにした。
感想の要旨
催眠特化のエロシーンはなかなか良かったし、ストーリーにも意外性があった。しかし、ゲーム性があまりにも作業的なので、自力で攻略するのは辛い。
エロシーンの属性
催眠特化。陵辱ものとしてはヌルいプレイが多い。乱交、3P、妊娠ボテ腹あり。
目次
- 制限のある催眠能力でヒロインを堕とす
- 自力攻略は非推奨
- コメント
1. 制限のある催眠能力でヒロインを堕とす
『ヒュプノスファック』は、催眠に特化した作品だ。作中で用いられる催眠は、主に常識改変。久喜宮は主人公を信頼できる相談相手と誤認し、相談中は様々なエッチなことを受け入れるように常識を改変される。一方、泉尾は、相手が一番辛いと感じるいじめをするのが当然だと常識改変され、エッチなことをされるのが主人公にとって一番辛いことだという認識を植え付けられる。一部のプレイでは、幼児退行や成りきりが行われることもある。
エロゲーの催眠は相手の精神を無制限に操れる万能型が目立つが、本作の催眠はそれらと比べるとだいぶ制限されている。正気の相手が強く拒絶するだろう思考操作は容易には行えないので、望む状態へ導くためにはそれなりの手順を踏む必要がある。また、催眠の深度ははじめのうちは浅く、長い間催眠状態にし続けることはできない。これらの制限は、後で述べるように、ゲームシステムにも反映されている。
エロシーンは、ストリップやオナニーなど比較的抵抗の少ないものから行われていく。セックスはすぐには行われず、いくつかの前戯を重ねた果てにヒロインの処女喪失があるのだ。エロテキストには主人公の独りよがりな性格が色濃く反映されており、ねっとり舐るようなエロシーンを段階的に楽しめる。
エロシーンの内容は、陵辱ものとしてはヌルい。愛撫、手コキ、69、正常位・後背位・騎乗位などノーマルなものが多い。エンディング扱いだが、久喜宮、泉尾の乱交、主人公との3P、妊娠ボテ腹状態でのプレイがある。おまけとして、ゲストのお嬢様、OL、ギャルなどのエロシーン(乱交など)が12本ある。
ストーリーについては、いじめられっ子といじめっ子をただひたすら調教するだけのものではなかった。ヒロイン本人、学校の生徒や教師から情報収集していくと、久喜宮と泉尾の意外な関係が浮かび上がってくる。ミステリーを期待して読むべきではないが、ヤンデレ好きなら興味を持って読める内容だったと思う。
2. 自力攻略は非推奨
『ヒュプノスファック』のゲームシステムは、ヒロインとエッチするまでに3段階のプロセスを要求する。すなわち、ヒロインと会話し初期誘導催眠を行うサイコマーキング、心の迷路を踏破するメンタルダイブ、そして4つの催眠言語を組み合わせて具体的な命令を行うヒュプノス・ファックの3つだ。これらのプロセスは、ヒロインと一回エッチする度に繰り返されることになる。
ゲームシステムとしての出来はさておき、プレイヤーが能動的に催眠に係わられる機会を設けたこと自体は、良い試みだったと思う。それなりに苦労して催眠にかけるからこそ、ヒロインを堕としたときの達成感も増すのかもしれない。実際、最初の1、2周目くらいまでは、多少の不満を抱きつつも、私もそれなりに楽しんでプレイしていた記憶がある。
しかし、本作にはなんとエンディングが11個もあるのだ。ゲーム期間は、休日も含まれるとはいえ、26日間もある。これを自力で攻略したならば、幸運に恵まれてある程度効率よくエンディングを回収できたとしても、先述のプロセスを「100回程度で済めばいいですね^^」というくらい何度も繰り返す羽目になるのは、想像に難くないだろう。もちろん、本作の自力攻略難度はそう生易しいものではないのだが。
本作は引継ぎ要素を設けることによって、この気が遠くなるような作業を、若干だが緩和している。しかし、実際にすべてのエンディングに到達し、それらの条件をすべて検討した私から言わせると、本当に欲しいのはそれではない。本当に必要なのは、サイコマーキングとメンタルダイブを2周目以降簡略化できる機能だ(Ver.1.16.1.14の場合)。
サイコマーキングは、はっきり言ってクソゲーである。会話の選択肢はランダムであり、相手のハートを掴めるかどうかは成功率によって決まる。同じ選択肢が何度も登場し、支離滅裂な文脈で繰り返され、運が悪ければヒロインに逃げられる。会話のパターンは1周目を終えないうちに底をつくほど少ないというのに、どうしてこんな不毛なやり取りを何度も何度も繰り返さないといけないのだろう?
メンタルダイブは、サイコマーキングほどではないが、すごく面倒なゲームだ。迷路のパターンは限られているようだが、出口と途中経路のいやらしい配置が実に腹立たしい。パターンを覚えても、スタート時点で出口の位置を特定できるとは限らない。とにかく操作性の悪いアバターで走り回らせようとデザインされているようなので、周回プレイを重ねることが苦痛になった。
3. コメント
私は体験版のレビューで「購入は保留」と言ったのに、どうして結局買ってしまったのか? それは、レビュー時に試した体験版151230と比べて、体験版160106bがだいぶ親切で簡潔な内容になっていたからだ。体験版160106bでは、サイコマーキングの選択肢が固定されており、ヒュプノス・ファックのヒントが表示されるようになっていた。これなら大丈夫だと思って購入したのだが、今となっては考えが甘かったとしか言いようがない。
誤解のないよう言っておくが、私は、『ヒュプノスファック』の隅から隅までが全部クソゲーだと言いたいわけではない。ストーリーとエロシーンについてはなかなか良かったと思っているし、2でも述べたように最初の数周はゲームシステムも少しは楽しめたのだ。
しかしそれでも、本作を自力攻略するのは苦行だ。その酷さは、私にとって全ての美点を凌駕するほどだった。ただし逆に言えば、自力攻略しないなら、「たぶん楽しめるんじゃないか」と思える程度には、本作には美点があるということだ。
幸い、本作のギャラリーでは、日常を含むほとんどのイベントが閲覧できるようになっている。作業ゲーが嫌いな方でも、セーブデータを入手できるなら、それを見て楽しむことができるだろう。また、私にはやや理解が及ばないことだが、この手の作業がむしろ大好物だという方にとっては、本作のゲーム性は素晴らしいと感じられるかもしれない。
作品情報
タイトル | HYPNOS FUCK-ヒュプノスファック |
ブランド | ベルゼブブ |
発売日 | 2016年01月12日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |