概要と評価 75/100(良)
本作のあらすじ
性欲絶倫の主人公は、愛する妻(涼香)とのセックスだけでは満足できず、精液フェチの晴と肉体だけの関係を結んでいた。ある日、ホテルからの帰り道で、主人公は車に轢かれて入院してしまう。彼の入院先の担当看護師は、なんと晴だった。入院中、主人公は晴のザーメンサーバーとして扱われながら、毎日訪れる妻ともセックスしなければならなくなった。
感想の要旨
入院中、妻と密かにセックスしながら、妻にばれないように浮気と援交にも精を出す作品。商品としての外観は控えめに言っても微妙だが、中身は良く出来た作品だった。
エロシーンの属性
精飲系のエロシーンが比較的充実している。一部エンディングには寝取られ要素がある。3P、ハーレムあり。
目次
- 『トイレの神様、募集中』が好きだから
- 『愛してるけど恋したい、あと援助交際も』の意味
- 不満点
- コメント
1. 『トイレの神様、募集中』が好きだから
本作の商品画像を一見して思ったのは、相変わらず地雷が埋まっていそうな作品、ということだ。抜きゲーにおいて、エロシーンの属性が明確でない作品は往々にして地雷なのだ。
『愛してるけど恋したい、あと援助交際も』――なんて自信のなさそうな、投げやりなタイトルだろう。どんなコンセプトの作品なのか、まるで分からない。これに手を出しても良いものだろうか?――散々クソゲーを掴まされてきたエロゲーマーなら、当然持っているべき嗅覚が、本作購入の危険性を伝えてきた。
しかし結局、私は本作を予約したうえで購入した(注)。なぜかといえば、主要なクリエイター陣が『トイレの神様、募集中』と同じだからだ。あれも一見して地雷が埋まっていそうな作品だったが、中身は素晴らしかった。そこから類推すると、本作も相変わらず胡散臭いけれども、実際にプレイしてみれば買って良かったと思える作品に違いない、と考えたわけだ。
果たして私の読みは正解だった。本作は、『トイレの神様、募集中』と同じく、丁寧に作られた良作だ。あの作品とはかなり味付けが違うけれども、これはこれで面白いと思えた。
(注)本作は、発売当初はDMM独占であり、DL版予約の対象になっていた。
2. 『愛してるけど恋したい、あと援助交際も』の意味
本作の主人公は、妻の涼香を愛しているし、彼女とのセックスの”質”については不満がなかった。けれども、彼の性欲が強すぎるせいで、セックスの”量”については不満が残った。そこで彼は、晴という涼香とはまるで違うタイプのボクっ子と浮気することで、欲求不満を解消していた。
晴は、精液フェチの変態看護師だ。彼女とのセックスはたいていコンドーム着用だが、そうすることには妊娠のリスクを避ける以外の目的もある。晴は、コンドームに溜まった精液をあとで飲み干すのが好きなのだ。彼女にとって精液とは栄養ドリンクのようなものであり、看護師の激務を乗り切るための活力源である。特に主人公の精液は濃厚で、飲めばとても元気になれるそうだ。
そういうわけで、晴とのエロシーンは、精飲が重視されている。コンドームに溜まったザーメンを飲む以外にも、精飲のパターンはいくつかある。しかも、精飲シーンには、それ用の一枚絵が当てられていたりする。別に精飲に特化しているわけでもない低価格作品でありながら、そこにこだわってくれるのは大変喜ばしいことだ。
入院生活がはじまってしばらくすると、一見して褐色女子校生のナツミが登場する。彼女は、会うたびに全身の傷が増えていく謎の美少女だ。なかなかおめでたい性格をしていて、相場よりずっと安い価格でからだを売ってくれる。彼女自身、主人公とのセックスが好きらしく、彼を「パパ」と呼びながら積極的に求めてくる。ナツミのからだは、他2人と比べて華奢で小さく、膣の具合もきつそうだ。彼女とまぐわうときは、未成熟な娘を犯すように背徳的な快楽が感じられる。
晴やナツミに対する主人公のスタンスは、ある程度割り切ったものだ。愛しているのは妻だけで、他2人とはあくまで肉体だけの関係にとどめておきたいと思っている。それ故、彼は、晴やナツミの個人的な事情には、積極的に立ち入ろうとはしない。
こういった点に限っていえば、本作の主人公の態度は、『トイレの神様、募集中』の主人公のそれに似ている。しかし本作の場合、病院という閉鎖空間で長い間3人と交わるためか、あの作品ほど割り切った態度を一貫させることはできなかったようだ。本作の主人公は、あの作品の主人公と比べると、少しだけ深くヒロインたちとの関わり合いを持つ。
さて、入院中の主人公にとって、毎日妻が病院に訪ねてくることは、嬉しい災難だったろう。夫の性欲を思えば入院中は大変だろう、と考えた涼香は、入院中の夫の性欲処理を申し出る。足が折れてしまった夫の姿に母性本能が呼び覚まされたのか、彼女はふだん家でいたすよりも積極的な様子だ。そうして行為を重ねるごとに、いつもとは違った妻の性質も浮かび上がってくる。そのことは、性欲絶倫の主人公にとって、かなり嬉しい変化であったに違いない。
しかし、嬉しい一方で、それは非常にまずい状況でもあった。何しろ主人公は、入院中、浮気・援交相手にもザーメンを提供し続けなければならないからだ。晴との関係を妻に露呈させないための予防的な意味合いもあるから、晴とのセックスは避けられない。また、現役の女学生と思われる、しかも格安でセックスできるナツミも手放したくはなかった。
入院中、いつもより積極的な妻とのセックスを楽しみながら、ばれないように浮気も援交も満喫する――そういう危うい関係を堪能してほしいというのが、『愛してるけど恋したい、あと援助交際も』というタイトルに込められた意味だろう。プレイ前は訳の分からない曖昧なタイトルだと思ったが、プレイ後は逆にしっくりとくるタイトルだった。
3. 不満点
・涼香のキャラクターボイスには不満がある。ヘッドホンで聞くと、通信機ごしに聞いているかのように声が若干掠れていて、ノイジーな違和感がある。多少の音の悪さは同人にはありがちなことだが、本作の場合、他2人のCVはクリアに聞こえるので、相対的な違和感がだいぶ強かった。
・作中では、「妻に不審がられないように、かつ浮気相手に不満を持たれて暴走されないように、適度に会わなければならない」という趣旨のことが示唆されている。しかし、このことは実際のゲームには反映されていない。そもそも特定のヒロインと会える回数が決まっているため、それに気づくと、ばれたらどうしようという緊張感が無くなってしまう。
・シーン回想では、本来繋がりのあるエロシーンがむやみに分割されてしまっている。特に、晴のエロシーンで、精飲シーンを別枠に分けてしまったのが痛い。あれはその前のエロシーンとの繋がりがあるからエロいわけで、分割すると魅力が半減してしまう。
4. コメント
何か特定の性癖に特化しているわけではないので、どういう層にオススメとは言えない。ただ作品の質自体は良いと思うので、興味があればやってみてほしい。
- 総合評価 75/100点
- シナリオ 20/30点
- グラフィック 30/30点
- 音声 15/20点
- システム 10/20点
作品情報
タイトル | 愛してるけど恋したい、あと援助交際も |
ブランド | 劇團近未来 |
発売日 | 2013年12月28日 |
ダウンロード販売 | DLsite DMM |