感想と評価 180/200(秀)
山奥のトンネルを抜けると、女装の村だった。行き倒れの主人公を救った巫女は、主人公を”御使い様”としてまつりあげる。”御使い様”は、村を過疎から救うため、村の若者と子作りをする宿命にある。しかしここは女装村、一人もいない女の子ではなく、男の娘(おとこのこ)を孕ませねばならない。
今や二次元界では広く認知された男の娘だが、ジャンルとしては未だニッチの極北に位置する。そんなジャンルに特化し、さらに孕ませ属性を付加した本作は、ニッチのなかのニッチ、北アルプスの頂のような作品である。この山を征服したときの快感は間違いなく最高だが、踏破するには標高が高すぎるように思えるかもしれない。
だが、恐れることはない。男の娘にまだ抵抗のある初心者でも登りやすいよう、3人の娘たちが進んでリードしてくれる。彼女たちの話術や熟練のテクニックにかかれば、軟弱な変態紳士見習いであっても、気がつけばアルプスの頂上に到達していることだろう。ただし、下山は困難だが。
1. 男の娘のからだは全身性器
男の娘は女性器を有さないが、女の子よりも多くの性器を有している。男の娘の口腔は消化器であるとともに性器であり、ぺったんこな胸も性器である。また、小さな陰茎はもちろん性器であり、肛門は排泄器ではなく生殖器である。
全身をもって”御使い様”の精液を搾りとり、”御使い様”専用の性処理器に身体を変えていく。精液の匂いを嗅いだだけで発情し、”御使い様”のことを寝ても覚めても想わずにはいられない男の娘の身体に。
静樹
「嘘じゃないよ……御使い様に射精してもらえるように……僕たち男の娘は、全身がオチ○ポ搾るためのエッチなオマ○コなの」
史緒
「確かに男同士は結婚できません。でも、男と男の娘なら(結婚も妊娠も)OKですよね」
と、巫女とその親友は語る。史緒や静樹にとって、男と男の娘はセックスできるし、当然妊娠もできるものなのだ。
そんな馬鹿な設定があるか、と思うかもしれない。もしこれがただの凡作なら、設定倒れに終わったことだろう。
しかし本作の場合、テキストがとても秀逸なので、こんな設定にも妙な説得力を感じる。本作は全ての要素が優れた作品だが、なかでも最高殊勲はテキストにある。
このテキストにかかれば、「男の娘は全身性器」「男の娘は妊娠できる」という一見あり得ない設定が、プレイを進めるにつれて、「ああ、そうかもしれない……」と思えるようになってくる。ぶっ飛んだ会話やエロシーンで興奮した脳の隙をつくように、我々の常識を洗い流す言葉が刷り込まれていく。
2. 互いを調教するエロシーン
本作のエロシーンは、基本的に男性受けである。3人のヒロインが、男の娘に抵抗のある主人公に、男の娘のからだの気持ち良さを手取り足取り教え込む。
「男の娘とのエッチは女の子とするよりも気持ちいい」
「一度味わったらもう戻れない」
何度も何度もその事実を体感させられ、主人公は、もはや男の娘でなくては射精できない身体に調教される。
しかし、オスマ○コへの挿入は直ちに許されるわけではない。最初はお口や手足で、次に胸や腋などの快楽を堪能させてもらう。
史緒
「だって、このまま弱いオチ○ポで、私のオスマ○コに挿入したら、行人さんはすぐに射精することになるじゃないですか」
男の娘のからだは、女の子に未練のあるうちは刺激が強すぎるのだ。最初からあまりに強い刺激を与えると、耐性のない者は逃げ出してしまうだろう。だから、最初はお口や手足など女の子に近い部分で刺激し、すっかり慣れたころにオスマ○コという未知の刺激を与えるのである。
このステップアップ式の調教により、男の娘への拒否感情は性欲に変換される。女装山脈に挑む前は軟弱であった見習いたちも、「女の子よりも男の娘!」といって憚らぬ、立派なアルピニストへとランクアップするのだ。
女装山脈に挑む者は、このようにして調教されるわけだが、調教されるのはその者だけではない。3人のヒロインもまた、1.で述べた男の娘の性質ゆえに、”御使い様”専用の性処理器として調教される。互いが互いを調教するというのは、なかなか新鮮味を覚える関係で面白い。
3. 本作を評価する理由
すでに述べてきたように、本作のシナリオは、「いかに男の娘という属性を受け入れさせるか」という方向性で徹底的に練られている。凡百の馬鹿ゲーのように設定倒れにならず、ヒロインのキャラクター性も個別に際立っており、ストーリーはエロを阻害しない程度にきっちりまとめられている。ほとんど隙のない内容である。
一方で、ビジュアルが本作の高評価に寄与した面も大きい。恍惚としてペニスを貪るヒロインの表情は、「”御使い様”の精液の匂いを嗅いだだけで欲情する」男の娘そのものだ。また、からだの瑞々しい肉感は「全身がオマ○コ」というに相応しい。設定とビジュアルがよく調和していて、実にエロティックだった。
ヒロインたちの挑発的で蠱惑的な台詞まわしを熱演する声優さんの演技も素晴らしかった。声の合わないヒロインは一人もいなかったし、全員とても魅力的に感じられた。
システムも非常に使いやすいものだった。クイックセーブやウィンドウ透過等の基本的な機能はもちろん備わっており、その他かゆい所に手が届くような機能もちゃっかり実装されている。私の立場でみると、選択肢通過後のスキップ継続、クリックしてもオート解除されない、非アクティブ時動作のON/OFFなどは、あればかなり助かる機能である。
また、ウィンドウモードで画面サイズを自由にストレッチできるのも、地味に嬉しい。CLOCKUPのように何でもかんでも弄れるわけではないが、シンプルに必要な機能を用意したシステムには好感が持てた。
こうしてみると、本作は、褒めるべき点は数多くあるが、欠点らしい欠点の少ない傑作であると思う。敢えて不満点を指摘するなら、モザイクが大きすぎることや、ハーレムシーンでのビジュアルが弱いことがある。それらはもちろん減点対象だが、そのぶんを差し引いても、本作を非常に優れた作品とする評価に変わりはない。
- 総合評価 180/200点
- シナリオ 55/60点
- グラフィック 70/80点
- 音声 35/40点
- システム 20/20点
エッチ内容について
作品情報
タイトル | 女装山脈 |
ブランド | 脳内彼女 |
発売日 | 2011年6月17日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |