魔法少女カナタTS 感想

魔法少女カナタTS

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概要と評価 100/200(可)

本作のあらすじ
魔法が原子力のようにエネルギー源として扱われている世界。この世界では、魔法使いとしての資格を持たずに魔法を行使することは違法らしい。主人公(円)の幼馴染であるカナタは、魔法犯罪者たちを狩る魔法少女だ。

ある日、円は魔法犯罪に巻き込まれた。そして円の精神は、彼を助けようとしたカナタのなかに取り込まれてしまう。こうして円は、男の心を持ったまま、魔法少女として暮らすことになった。

感想の要旨
本作は、魔法少女+異種姦とTSFを融合させようとした結果、破綻した作品だ。曲がりなりにもTSFとして成り立っているのは、序盤と一部のイベントだけである。それ以外は、TSFを抜きにしてみても不出来だ。

エロシーンの属性
異種姦+TSF(性転換を題材にした創作物)。憑依。異種姦以外に、(正気を失った)男達との輪姦・乱交もある。妊娠→出産もあるが、孕んでいるのは卵であることに注意。人体改造っぽい要素(乳房肥大化、フタナリ)もあるが、それは魔法の効果による。

目次

  1. TSFとして
  2. 異種姦その他として
  3. ビジュアルについて
  4. ストーリーについて

1. TSFとして

一部の日常イベントでは、女になってしまった円の戸惑いがちゃんと描かれている。

例えば、男のときには分からなかった臭いを嗅ぎ取ったり、突然の月経に慌てふためいたりする。心は男のままなので、男のように振舞った結果、恥ずかしい思いをすることもある。男子更衣室の汚臭で興奮してしまうこともあるが、エロゲーのヒロインとしては真っ当な”女としての反応”といえるだろう。

本作にはこのように、日常においては、TSFらしいイベントが盛り込まれている。しかし、肝心のエロシーンでは、TSFらしさがほとんど感じられない。何故なら、エロシーンにおけるほとんどの心理描写が、「イカされてしまって悔しい」とか「感じたくないけど感じてしまう」、あるいは「カナタに申し訳ない」という内容に終始しているからだ。

男が男(または雄)に犯される気持ちや、男と女の快楽の違いについては、あまり言及されない。さすがに序盤のエロシーンではある程度描写されているが、それも捻りのない表現や、真偽不明の使い古された性知識をちょこちょこと織り交ぜているだけで、何の新鮮味も面白味もない。

また、男なのに女としての快楽に溺れていく過程が十分に描かれていない。主人公は最初から抗えない快楽を感じてしまう。しかも、男なのに女の体で過ごすこと、女の快楽を感じてしまうことへの葛藤も乏しい。「男なのに感じてしまう」などという脊髄反射的な表現は、葛藤を描いたうちに入らない。

これではただ単に、一人称が”オレ”の可愛らしい魔法少女が犯されているだけだ。テキストの質が低い。ヒロインが正真正銘の”女”だったとしても通用するような内容を、TSFの文脈で描くべきではないのだ。求められているのは、TSFならではの表現だ。

2. 異種姦その他として

では、TSFではなく、異種姦を中心とするハードエロとしてみた場合はどうか。この場合も高く評価することはできない。

エロシーンのテキストは、基本的にグダグダ。そのわりに、行為が本格化してから射精や絶頂に至るまでの描写に十分な尺が取られていないから、少しも股間に響かない。このことは、異種姦に限らず、人間とのセックスでも同様である。極一部に使えるシーンもあったが、所詮は一部にすぎない。

3. ビジュアルについて

エロシーンにおける多くのビジュアルは、過激だ。

例えば、肛門から侵入した触手が口から飛び出し、ヒロインが白目を剥いたりする。子宮内に卵を孕まされるなどして、ボテ腹になったヒロインを描いたCGもいくつかある。ただヒロインが激しく犯されるCGが欲しいのであれば、満足できるコンテンツかもしれない。

4. ストーリーについて

最後に、ストーリーについて触れるが、はっきり言ってこれはまともに読む価値がない。

魔法少女になった円は、それまでただの一般人として過ごしてきたから、彼女に――そしてプレイヤーに――状況を説明してくれる存在が他に必要だ。しかし、作中にはそうした役割を担う特定のキャラクターがいない(本来ならば魔王がそのポジションだが……残念ながら、機能していない)。

そのため、ストーリーは、アホな円の視点や、他の人物が時折もたらす情報をもとに理解していくしかない。そもそも何のために戦っているのか、誰が何の目的で暗躍しているのか、どうすれば元に戻れるのか、そういうことは曖昧にされたままだ。訳が分からない。おまけに、少し話が進むと、もう一人のヒロインが愚行に走る。彼女はたぶん重要なキャラなのだが、理解しがたい動機で勝手に自滅への道を歩んでしまう。

終盤は、ルートが大きく2つに分かれる。これらはパラレルな展開になっている。そして、どちらの展開も腐っている。三下じみた黒幕どもが重要な事実を唐突に明かし、

ややネタバレ
何やらすごい魔法を巡ってしょぼい戦いをふっかけたり、あるいは雑魚のように死んだりする。飛ばせないクレジットのあとには、ひどい蛇足を感じさせる真のエンディングが待っている

……これはLiLiTHの作品だから、ある程度つたないストーリーは覚悟していたけれども、予想以上にひどい話だった。

  • 総合評価 100/200点
  • シナリオ 5/60点
  • グラフィック 55/80点
  • 音声 30/40点
  • システム 10/20点

作品情報

CGと声優の詳細
CG・エロシーン
原画 SASAYUKi
CG枚数 40枚
エロシーン数

24本

内訳

カナタ 19/忍 1/カナタ+忍 4
※ここでいう「カナタ」の精神は、基本的に円であることに注意。

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声優リスト
カナタ 氷室百合 桃也みなみ
タイトル 魔法少女カナタTS
ブランド Lilith
発売日 2013年05月24日
ダウンロード販売 DLsite DMM
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