女装海峡 感想

女装海峡

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概要と評価 155/200(良)

本作のあらすじ
中津島には女装の風習があった。中津島の巫女(巡)とロシア人ハーフ(七生)の男の娘2人は、禁足地の隠津島に渡り、そのまま帰って来なかった。厳島響は女装の島を出て内地の大学に通っていたが、実の姉妹のように慕う2人の安否が気がかりだった。2人が行方不明となって一年後、響は、大学の研究のため島に行きたがっていた主人公(幸人)の依頼に便乗し、2人を探すため隠津島に向かう。

感想の要旨
仏作って魂入れず。前作と比べて期待はずれの感あり。主に斬新さという点で問題がある。しかし、前作と比べなければ、かなり良い部類の作品ではある。

エロシーンの属性
男の娘特化。前作と同じでマイルドなエロシーン。男による男の娘に対するフェラシーンあり。ハーレムなし後のパッチでハーレム追加。

目次

  1. 『女装山脈』と『女装海峡』
  2. 斬新さの欠如
  3. 退化と停滞
  4. 総評

1. 『女装山脈』と『女装海峡』

前作『女装山脈』は、それはそれはエキセントリックで狂気に満ちていて、クレイジーな制作者たちのリビドーの塊のような作品だった。「男と男どうしは結婚できないが、男と男の娘なら結婚できる」。「男の娘は妊娠できる」。そんな馬鹿げた設定を破綻させることなく押し通した類まれな名作として、極一部の変態の業界に知れ渡った『女装山脈』の偉大さは、今更語るまでもない。

そして、『女装海峡』である。これは『女装山脈』の流れを受け継いだ作品だ。であれば、前作で訓練された良きアルピニストは、未だ見ぬ海原への不埒な期待をせずにはいられなかっただろう。『女装海峡』の制作が知られてから約1年と半年の間、そうした期待はひたすら膨らみ続けた。しかし、残念ながら、『女装海峡』は、その膨らみすぎた期待に必ずしも応えられなかった。

公平に言って、『女装海峡』はむやみに否定されるべき駄作ではない。むしろ良作の部類に属する作品である。そんな本作のエッセンスを抽出すると、こうなる:

孤島で男が1人と男の娘が3人、男は彼女たちのなかから1人選んでセックスせねばならない。そうしなければ、彼と彼女たちは島から出ることができない。

男と男の娘のからだの相性は最高である。いったん男のおち○ぽミルクの味を覚えた男の娘は、もはやそれなしの人生など考えられない。男の娘のからだは「性別:女」とする以上の快楽を男にもたらす。それ故、男のほうも、もはや男の娘以外ではイクことができない。真実の愛で彼と結ばれた彼女は、女性器などなくても妊娠できる……。

このように、『女装海峡』は、『女装山脈』のフォーマットを確かに受け継いでいる。この奇抜な内容には、相変わらず変態趣味を刺激するものが感じられる。しかし、それだけだ。『女装海峡』は、前作の優れたフォーマットを継承してはいるけれども、前作にはあったより根本的な魅力が欠けている。

2. 斬新さの欠如

前作にあって本作にないもの、それは斬新さだ。もちろん、本作はシリーズの2作目なのだから、ある程度の斬新さが損なわれるのは仕方ないと言える。むしろ、前作からそのまま受け継いだ要素が、かえってユーザーを喜ばせることもあるだろう。しかし、本作の場合、あまりにも前作のフォーマットに依存しすぎていることが問題なのである。

前作と本作のプロットを比較してみると、その大きな違いは「山か海(島)か」という違いでしかないことが分かる。ある空間に閉じ込められた男と男の娘は、セックスをしなければならない。男の娘は一人を除いて乗り気だけれども、男のほうはそうではない。伝奇もどきの設定が物語の根底にあり、奇跡を生む――などといった大筋が一致しており、エンディングに至る構造も似通っている。そのため、前作を知っているなら、本作の筋は最初から最後まで見え透いてしまうのだ。

また、エロシーンの展開(魅せ方)もあまり変わらない(ただし今回、こちらが調教されていく感は小さい)。性欲を刺激されることはされるが、前作ほどではない。まるで何度も使ったお気に入りのおかずを再利用しているかのような感覚だ。

3. 退化と停滞

もっとも、私はかつて、実質的にはシリーズ物でプロットが似通っている作品を、前作以上に評価したことがある。それは、『姪少女』という作品である。

『姪少女』は、一見すると、前作の娘が姪に置き換わっただけの作品だ。にもかかわらず、この作品が素晴らしかったのは、前作よりも性的嗜好を追求していたからだ。エロシーンが単に過激だというだけではなく、そのテキストからはより一層の狂気が感じられた。加えて、グラフィックも、前作以上のハイレベルで仕上げられていたのである。

では、『女装山脈』に対して、『女装海峡』にはどのような質の向上が図られているのか? まず目につくのは、解像度の向上とワイド化である。前作の800×600から、1280×720にワイド化された。このことは、数字だけ見れば喜ぶべきことだ。しかし、エロゲーを長らくやっていると、どうしても気がかりな点が1つあり、そしてそれは本作にも当てはまることだった。

私は、『女装海峡』の解像度向上は歓迎しても、ワイド化は評価しない。もちろん、ワイドであれば、最近のPCディスプレイの画面を完全に活かせるので、それ自体は良いことだと思う。しかし、エロゲーでそれをやると、肝心の絵の作画がやたらと乱れたり、構図が限定されすぎてしまい、単調な、つまらない絵になってしまうことがある。

本作の場合が、まさにそれだと思う。私は、『女装海峡』の絵が嫌いではないし、むしろ好ましいとさえ思うが、前作と比べてどうかというと、やはり魅力に欠けると言わざるを得ない。

エロシーンのテキストに関しては、前作と似たような雰囲気がある。しかし、評価は前作と同じではない。前作であれだけ絞り尽くされた後では、”前作と似たような”だけではもはや物足りない。プラスアルファが欲しい。

もちろん本作にも、前作にはなかった趣向のプレイはいくつかあるし、「これは使える」と思うものもあった(e.g. Replay 七生2,響3)。しかし、前作のエロシーンが全部素晴らしかったことを考えると、もう一押しも二押しも欲しいところである。あるいは、これまでとは少し違った方向性から攻めていって欲しい。

4. 総評

忌憚なく言えば、『女装海峡』は『女装山脈』の劣化版である。前作にはあったアグレッシブな狂気が薄れ、シリーズを守ろうという類の理性ばかりが感じられる。評価としてはこの点数で、良作~名作の部類ではあるのだが、やはり前作がすごすぎた。アルピニストは、フィッシャーマンになることが出来なかった。

  • 総合評価 155/200点
  • シナリオ 40/60点
  • グラフィック 65/80点
  • 音声 35/40点
  • システム 15/20点

作品情報

CGと声優の詳細
CG・エロシーン
原画 あおぎりぺんた
CG枚数 35枚→38枚(→は、ハーレムルート追加パッチ適用後)
エロシーン数

24本→25本

内訳

巡 8/七生 9/響 7/ハーレム 1

アナル修正 肛門修正済
声優リスト
鈴谷まや 七生 手塚りょうこ
桜川未央
タイトル 女装海峡
ブランド 脳内彼女
発売日 2013年5月31日
ダウンロード販売 DLsite DMM
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