- 2009-11-29 (日) 22:26
- 商業エロゲーム レビュー | 鬼畜・陵辱ゲーム レビュー
構成について
(3)本作の構成は、大きく3つのパートに分けられる。第1パートが『Took ill Thursday』の扉(中盤)までで、第2パートはそれ以降の本編、第3パートはゲームクリア後に閲覧できる『未詳ノ記録』である。第1~第2パートまでは、完全にヒロインの主観で語られる。
第1から第2まで、つまり本編のほうの完成度は凄まじかった。冒頭のモノローグが流れた際には少し不安を覚えたが、それは杞憂であった。序盤を終えた立場からいえば、これはこれでいい――いや、これだから良いのだ。
(4)通常、この手の調教物は中盤からマンネリズムに没することが多い。特に商業の低価格ソフトだと、終始適当なエロシーンを描くだけのつまらない作品となりやすい。
しかし本作の場合、商業低価格ソフトであるにも拘らず、そうはならない。序盤だけでも優れた内容であるというのに、中盤からが本番で、さらに面白くなっていくのだ。
序盤に張り巡らされた、というよりは、暗示されていた謎が集約され、その意図を理解できていくというこのカタルシス! ヒロインの精神を追い詰めていくサディズム! あからさまに「ここから解答編ですよ」と提示されるよりも、少し頭を使えば想像できるというこのさじ加減が素晴らしく良い。
(5)ただそういう意味では、第3パートは蛇足であったように思う。それまで桜桃の主観であったのに、ボイス無しの管理人がでしゃばるのはいただけない。
また、あんな近未来ディストピアのような設定は、乙女のデカダンスを一人称で描いた本作においては、作中でみだりにプレイヤーに知らせるべきではない。それを打ち切り漫画やアニメよろしく、「実はこんな設定もあったんですよ!」と嬉々として見せびらかすような真似は、私個人の美的感覚からするとスマートではない、と思うのだ。
テキスト、音声について
(6)テキストについては、本作の場合、音声と切り離してレビューすることは出来ない。だから例外的に、ここでは、テキスト、声優、音楽についてのレビューを統合している。
(7)本作のテキストは、『未詳ノ記録』を除けば、女性主観で記述されている。地の文は独白的な文体であり、これは全部、声優(芹園みや)によって読み上げられる。台詞はエロゲーにしては多くないが、喘ぎ声などはBGVで再生される。
(8)本作の台詞や地の文は、そのまま黙読すると、くどい印象がある。例えば、こんな具合である。
私が今目にしているもの……それもまた、知識の中では知っていただけのもの。確か、この器具は……穴を、無理矢理拡げるために器具だ。名前は、よくは憶えていないけれど、そんな器具。
その冷たい銀色の輝きがあまりに無機的で、そしてその冷たさが私に触れたときの感覚を想像してしまい、思わず顔がこわばってしまう。背中に水をかけられる、なんてものじゃない、もっと根本的な部分に当てられる冷たさ。
これはノベルならいいかもしれないが、ADVのメッセージウィンドウに表示される状況でならば、読みづらい。あの画面比7:3程度の枠内でゴシック体文字を読む場合には、なるべく短文で、台詞の多いほうが読みやすい。そうすると、このテキストはその真逆をいっているように思える。
(9)しかし、これが感情の込められた音声によって朗読されるとするなら、事情は違ってくる。そして、それにタイミングの合ったBGVが加われば、普通のADVテキストよりも効果的に、いやらしいエロスを表現することができるのだ。
苦痛にもがき快楽に喘ぐBGVが、決して煩くなりすぎない程度に聞こえるなか、冷静に己を見つめる少女の内心が、飽くまで冷静に、しかし感情を込めて読み上げられる。そのギャップから生まれる官能さといったらない。まるで、少女がモノのように犯されるのを追体験しているかのような気分に浸れてしまう。
しかもそこへ、それはもう異様な一体感で、BGMが鳴り響く。このBGMは、低価格ソフトにしては珍しく、単体でも鑑賞にたえる出来で、それが絶妙なタイミングで用いられてくる。本作のエロシーンが最高に昂ぶるとき、BGMの効果は見逃せない。







