感想と評価 130/200(可)
主人公(教壱)は、義母と連れ子姉妹、そして実の父からも虐げられていた。ある日、教壱は義母をレイプしようとするが、途中で義姉に見つかってしまう。教壱はレイプ未遂の罰として離れの蔵に押し込められるも、そこで実母と出会い、御調家の伝説的調教師”狂樂斎”の二代目として覚醒する。
様々な種類のハードプレイを詰め込んだカタログ型の調教作品。エロシーンに関して注目すべき点は、4つある。(a)緊縛・拘束された状態でのプレイが目立つことと、(b)ヒロインによっては前の処女を残したまま終盤までアナルだけを開発できること、(c)快楽の奴隷となってからのエロシーンが充実していること、(d)ヒロインを複数交えてのプレイが全体の4割程度あることだ。
本作の攻略ルートは、攻略するヒロインの順番によって大きく二つに分かれる(便宜上、パート別レビューでは、「瑞乃」パート後に「舞衣つぐみ」へ行くルートをAルート、その逆をBルートとよんでいる)。シナリオの完成度はルート、パートによって差があり、特にBルートの「舞衣つぐみ」パートはひどく出来が悪い。
エンディングは9個もあって、なかにはヒロインの名を冠するものもあるが、実質的な意味での個別エンディングはない。タイトルに謳われているように、本作のテーマは”家族”の淫らな”姦系(関係、系図)”を描くことにあるから、どのエンディングにしても過程において特定のヒロインとの関係が偏重されることはない。
総合的に言って、本作はシナリオの出来があまり良くないけれども、ビジュアルは素晴らしい作品である。ビジュアル上、縄縛や拘束の締めつけ、無理な体勢のきつさや痛々しさがよく表現されていた。欲を言えば、もう少し縄が肉に食い込んでいるほうが好みだが、このままでも良い絵であることには変わりない。
音声付きのエロ画集として買うなら、けっこうレアなプレイもいくつか拝めて、たいへん宜しい。ただし、エロ絵の枚数は64枚と、フルプライスにしてはかなり少ないので、そこは妥協する必要があるが。
1. 「瑞乃」パート
瑞乃は、旧来的な「家」の倫理観の強い元教育者にして、舞衣、つぐみの実母。教壱にとっては継母にあたる。教壱に対して実子と変りなく平等に接しようとする態度をみせるが、所詮は「家」を守る母としての体裁を整えているだけかもしれない。実の娘にも教壱にも、常に上から目線で物を言う。
夫の悦治はあまり家に帰らず、夜の営みは独りよがりで、瑞乃は感じている演技をするだけだ。性欲を持て余すも本人の強い貞操観念がそれを拒み、常に良き妻であろうとしている。
教壱が瑞乃を堕とす際には、もちろんその弱点をついていく。脅迫のネタとしては彼女の「家」に対する倫理観を利用し、良き妻の仮面を剥ぐように追い詰めていく。心の拠り所が独りよがりの夫から、快楽をもたらす教壱へと変わっていくのを許せない、という貞操観念の強さが良いスパイスになっている。
シーン単位でみると、瑞乃は他のヒロインと比べてかなり多めの個別のエロシーンが用意されている。というのも、瑞乃は姉妹を堕とす媒体になるか、あるいは娘たちをすっかり篭絡された後で孤立するポジションにあるからだ。瑞乃のシナリオの出来は、AルートにしろBルートにしろ比較的安定しているから、彼女目当てに買ったならそう大きくは外れないだろう。
2. 「舞衣つぐみ」パート
舞衣とつぐみは、同じパート内で攻略する。個別パートはない。一方を堕としてからもう一方を、という流れになる。
舞衣は文武両道の才女で、(教壱以外の)家族への執着が深い。母の瑞乃から大きな期待を寄せられており、本人もそれに応えることを喜びとしているようだ。妹のつぐみにも信頼されており、彼女に対して過保護な様子もある。
そんな舞衣だからこそ、彼女は家族から拒まれることに慣れていない。実際、堕とされた家族の急変ぶりに最も狼狽してみせるのは、舞衣である。それまで舞衣を信頼していた家族からはじめて疎んじられると、アイデンティティを否定されたかのように感情を暴走させる彼女の姿は痛ましい。そんな彼女をますます精神的に追い詰めていくのは鬼畜の所業である――つまり、”抜ける”ということだ。
舞衣のエロシーンは、彼女単体のものは少ない。その点、舞衣個人を目当てに買った人にとっては残念なことかもしれない。しかし、舞衣の心の拠り所がどこにあって、それをどう崩すと最も惨めかを考えれば、彼女のエロシーンは他の家族と絡めるのがむしろ自然だと思われる。
一方、つぐみのほうは、瑞乃に次いで単体でのエロシーンが豊富だ。それは、瑞乃と調教計画上の役割が似ているからでもあるが、つぐみ自身が性欲旺盛な天然淫乱だからでもある。彼女は、マニアックなアダルトビデオを観ている教壱を馬鹿にする一方で、そういうビデオに興味津々であり、こっそり彼の部屋から盗んできて、夜のおかずに使ったりもする。
しかしはっきり言って、ストーリー上のつぐみの扱いは、どのルートでも微妙である。そう思えるのは、つぐみの性質のせいもあって、瑞乃や舞衣のように精神的に追い詰めていくような展開が弱いためだろう。Bルートにおいては処女のままアナルを開発されるという偏った調教で存在がアピールされているものの、こちらはテキストのクオリティがただただ低くて、残念な出来だ。
Bルートにおける「舞衣つぐみ」パートのストーリー展開は、理解に苦しむ。ねちっこく責め続けた結果、次第に堕ちていったというよりは、こちらが気づかないうちに堕ちていたという感じだ。
日常でもエロシーンでも、テキストがヒロインたちの心情をまるで描き切れていない。エロシーンにおけるテキストは、見せ場をうまく演出できていない(例えば、つぐみが一晩我慢させられた排泄を許された場面では、わずか数クリックでいきなり脱糞してしまったので、何のカタルシスも味わえなかった)。
3. 「ハーレム」他
本作は、全員堕ちてからのエロシーンが充実している。というのは、主人公の教壱が調教師という役目を負っているからで、調教といえば奴隷の出品、すなわちオークションやショーでお披露目するという大事な場面が残っているからだ。
オークションやショーでは、奴隷はボンデージに身を包み、過激で惨めな見世物として観客を楽しませなければならない。このパートには本作のエッセンスが凝縮されており、ストーリー的にもエロシーン的にも最大の見せ場となっている。もっとも、自分の可愛い奴隷を下衆に提供したくないのであれば、奴隷たちを独占するという選択もあり得るが……まあ、そこまでのネタバレは避けておくとしよう。
4. 自力攻略は非推奨
本作の抱える欠点については、先にも指摘したように、まずシナリオの完成度の差がある。どのルートでも共通してダメなのは、ヒロインが教壱の調教を受けざるを得ない状況だということに説得力がないことだ。ヒロインたちの内心の事情があるにしても、客観的にみてこれは従うしかないという脅迫ネタを用意できなかったのは詰めが甘すぎる。
もう一つ大きな欠点は、本作を自力攻略するのはかなりしんどい、ということだ。私が作成した攻略チャートをみてもらうと、とてもたくさんの選択肢が並んでいることが分かる。しかし、これは相当調整してあるからこの程度の量ですんでいるのであって、自力で攻略したならもっと大量の選択肢を選ぶ作業を強いられるだろう。
本作のMAPは、要はヒロインを気遣う選択肢を何回選んだかによって分岐するようだが、それら選択肢の内容の違いが曖昧で、どれを選んでいいのか分からない場合が多い。また、どの選択肢を選ぼうと、分岐点に到達するまでの展開はほぼ同じなので、選択ミスに気づきにくい構造になっている。さらに、MAP上にいくつエンディングがあるかは公開されていないので、分岐点がどこにあるのかも不明という理不尽な仕様なのだ。こんなものを自力で攻略するのは、もはや苦行である。
評価とコメント
本作と同じ原画系の『懲罰指導』から『凌成敗!』への変化をみて、プレイヤーの都合を少しは考えて作るようになったかと思ったら、本作ではますます自力攻略の難度を上昇させてきた。いい加減、ストーリー展開から分岐点を探れないような構成は、ゲームではなく作業だというふうに認識を改めてほしい。TinkerBellの貧弱なシステムで作業をやらされると、不快感倍増である。
- 総合評価 130/200点
- シナリオ 20/60点
- グラフィック 70/80点
- 音声 30/40点
- システム 10/20点
エッチ内容について
作品情報
タイトル | 或ル家族ノ姦系図 |
ブランド | TinkerBell |
発売日 | 2012年4月20日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |