概要と評価 90/100(秀)
作品のあらすじ
平田誠人は、女子に人気のある不良然とした長谷川翔と、不本意ながら交友関係がある。長谷川の本性はヤリチンで、誠人は、長谷川と学園の美少女たちの性交を何度も目撃してしまう。長谷川は、誠人の想い人(竹本典子)や幼馴染(虹原みずき)にさえ手出ししようとするが、誠人はそれを傍観するばかりで……。
感想の要旨
シナリオとグラフィックが質量ともに充実している。ヘタレな傍観者主人公が男としての劣等感を募らせ、ヤリチンの虜となったヒロインがどんどん淫らになっていく過程が見所。主人公、ヤリチン、ヒロインの3者の視点から描かれるエロシーンは、それぞれの視点の違いがしっかり反映されている。
エロシーンの属性
基本はノーマル。中出し重視。アナルセックス、お掃除フェラ、パイズリフェラ、拘束放置プレイあり。4Pあり。
目次
- ヘタレな傍観者が抱く男としての劣等感
- エロシーンについて ~メインヒロインが堕ちてからが本番~
- コメント
ヘタレな傍観者が抱く男としての劣等感
『イロヨリドリ』は、ヘタレな主人公が、嫌いなヤリチン野郎に何人もの女の子たちがオンナにされていく様子を傍観する作品だ。ヤリチンが中出しする相手には、主人公の想い人や幼馴染までも含まれる。それでも主人公は、ヘタレな性根ゆえに傍観し続けるのだ。
本作の間男役(長谷川翔)は、とんでもないヤリチンである。長谷川は学園の美少女の多くとセックスしており、その数は3桁にも及ぶ。飽きた場合はすぐに捨ててしまうが、女心を理解している彼は、本格的な修羅場を上手く回避しているようだ。中出しにこだわりがあり、もし中出しを拒否された場合は、その女を捨てることも厭わない。
一方、主人公(平田誠人)は、人付き合いの悪い童貞少年だ。幼馴染の虹原みずきから好意を寄せられているが、誠人の好きな相手は別にいる。みずきのことは恋愛対象として見ておらず、そもそも彼女のあからさまな気持ちにさえ気づいていない。
出典:人生通行止め『イロヨリドリ』
チャラい外見に似合わず、暴力ではなく言葉でアプローチ。
長谷川は、自宅や学校の屋上で、女生徒を取っ替え引っ替えセックスする。その中には、誠人の知り合いや想い人まで含まれている。誠人はその現場を偶然目撃するどころか、長谷川が目当ての女の子を口説き落としていく過程すら間近で見ているが、ヘタレな誠人は長谷川の蛮行を止めようとはしない。
そうして、ついには大切な幼馴染のみずきにさえ手を出されそうになるが、それでも誠人は動かない。何故なら、誠人は男子中高生にはありがちな願望の持ち主で、幼馴染が自分と一緒にいるのは当たり前だと思っており、彼女が長谷川に靡くとは考えていないーーいや、考えたくないからだ。身勝手な願望を否定したくないからこそ、彼はみずきを引き止めるどころか、逆に突き放すような言動さえ取ってしまう。
年齢を考慮してもなお幼稚な誠人に対し、長谷川は経験豊富なサイコパスである。長谷川は大勢の女の子をやり捨てることに罪悪感がなく、仮にも友人の誠人の幼馴染も同じ目に合わせることに抵抗がない。そんな長谷川に対し、誠人が出来ることといえば、小さなチンポを握りしめて、彼らの情事を覗き見ることだけだ。
出典:同上
堕とした女の痴態は、長谷川のSNSにアップロードされる。
イロヨリドリでは、主人公は基本的に傍観者ポジションにある。それでいて、誠人は長谷川の行いに反感を抱いており、同時に男としての劣等感を抱いてもいる。長谷川はそんな誠人のことなど気にせず、彼の後輩、想い人、そして幼馴染にまでも手を出す。そしてその度に、誠人は男としての劣等感を募らせてゆき、みずきに顔を合わせるのも苦痛になっていくわけだ。
主人公には他に取り得る選択があったにもかかわらず、それを敢えて避け続けたがために、どんどん不幸にはまっていく。この主人公にあまり同情の余地がないところが、プレイヤーによっては彼に対する感情移入の妨げになるかもしれない。
出典:同上
どのタイミングで真実を告げるかによって、エンディングが分岐。
しかし、誠人の不幸は自業自得であるにしても、みずきや典子といった女の子たちは被害者の側にいる。悪い男に引っかかり、彼のペニスに依存していく彼女たちの姿は実に憐れなものだ。誠人にいまいち感情移入できないとしても、長谷川の立場から誠人と女の子たちの人生を嘲笑うように読み進めれば、出来の良い寝取りものをプレイしているかのような満足感を得られるだろう。
エロシーンについて ~メインヒロインが堕ちてからが本番~
イロヨリドリの序盤は、5人のサブヒロインたちと長谷川の情事を描いている。二村春奈と明坂鞠花については1エロシーンのみの使い捨てだが、後輩の河内瞳、片思い相手の竹本典子、チアリーダーの卯月愛菜については、口説かれていく過程も用意されている。エロシーン数でいうと、二村1、明坂1、河内2、竹本5、卯月3となっている(合計12)。
虹原みずきについては、メインヒロインらしく27ものエロシーンが用意されている。しかも、そのうち過半数は、みずきの心が誠人から離れ、長谷川に本格的に依存し始めてからのエロシーンだ。
みずきは、誠人に突き放されたトラウマから、いつか長谷川から捨てられてしまうことを恐れている。そのため、みずきは長谷川を自分のもとに引き留めるために、彼好みの女の子になろうと精一杯努力する。そうして女としての自覚がいまいち薄かった彼女は、化粧などにも気をつかうようになり、長谷川好みのエッチに積極的な女の子へと身も心も開発されていくのだ。
出典:同上
こうなってからが長いNTRものは、本当に貴重。
エロシーンは、誠人の覗き視点、長谷川から誠人への伝聞、長谷川提供の動画を観る誠人視点、ヒロイン視点から描かれる。みずきについては、例えばみずき視点でエロシーンを進めた後、長谷川視点で彼の感想を聞かされるという流れになることもある。これらのエロシーンからは、女の子たちと長谷川の温度差、所詮は傍観者でしかない誠人の負の思いが充分伝わってくる。
エロシーンの内容は、どのヒロインについてもエロゲーとしてはノーマルなものが多い。ただし、行為後のお掃除フェラ、精飲、中出しセックスに力が入っており、そこにフェティッシュな情念が感じられる。イロヨリドリで最も過激なEND(3)は、誠人としては完全敗北、長谷川としてはやり遂げた感のある内容で、とても良かった。
出典:同上
垢抜けしていない娘の生い茂った陰毛。いいね!
グラフィックについては、ヒロインの陰毛の生え具合にこだわりを感じる。色恋に不慣れそうな子たちの陰毛が盛んに生い茂っている一方で、ちょび髭状に手入れされた陰毛を持つ子たちもいる。無邪気な卯月などは、今が生えかけなのではないかと思われる。
基本CG枚数は37枚もあり、これは価格から考えて相場の2倍近い。さらに差分も非常に充実している。ヒロインの表情が生き生きとしており、肉体の瑞々しい質感にも唆られるものがあった。量的にも質的にも素晴らしいCGだ。
コメント
シナリオとグラフィックは、質量ともに満足できる仕上がりだった。CVはサブヒロインが1人2役になっているが、特に違和感はなかった。本作には、低価格にもかかわらず6人ものヒロインが登場するが、どのヒロインにもストーリー上の存在意義があるところに好感が持てる。『人生通行止め』の次回作にも期待している。
- 総合評価 90/100点
- シナリオ 25/30点
- グラフィック 30/30点
- 音声 20/20点
- システム 15/20点
作品情報
タイトル | イロヨリドリ |
ブランド | 人生通行止め |
発売日 | 2016年12月09日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |