(※)本作には選択肢がありませんので、攻略記事は執筆しませんでした。
感想と評価 140/200(良)
妹(蜜花)に恋する主人公は、かつて、彼女から距離を置くために黙って田舎を出た。しかしそれでも、妹への情念は完全には消えなかった。あれから歳月が過ぎ、ひとり帰郷した主人公は、女として愛らしく成長した蜜花と再会。主人公にすでに婚約者がいることを知った蜜花は、彼を引きとめるため、からだで誘惑する。
本作はあまりにも唐突な発売告知ゆえに出来が危ぶまれたものの、実際にはなかなか良い出来であった。シナリオは地味ながら短編として丁寧に作られており、一枚絵もこの価格帯にしては良いほう。エロは、シーン単位で勃たせる趣向ではないので、主に回想で実用する用途には向かないかもしれないが、決して出来は悪くない。妹の誘い受けとなる近親相姦ものが好きなら、わりとおすすめの作品だ。
じわじわとくる近親姦の背徳、そして不安
本作をプレイした第一印象は、10年くらい前のビジュアルノベルに触れているような印象だった。それは、別に悪い意味ではない。最近のADVないしビジュアルノベルは、シーンごとの整合性よりも分かりやすい派手さを重視する傾向にあるが、本作はその傾向からやや外れている。
シナリオは、低価格ゲームでありながらも、いくつかの見せ場を切り貼りしたあからさまなパッチワークではなく、場面ごとの繋がりがある程度感じられる構成だ。反面、ヒロインのキャラクター性やストーリーには古臭さがあるものの、基本的に丁寧な話づくりには好感が持てた。
エロについては、最初のほうは主人公の意志が弱くて振り回されすぎるところや、エロシーンでの豹変ともとれる肉食ぶりに違和感を覚えた。が、中盤以降、徐々に興奮できる内容へと発展していった。
ただ、”発展”といっても、エロシーンそのものがDLdou基準で過激といえるほど激しくなるわけではない。ストーリーが進むにつれて主人公に対する蜜花の危うい想いが滲み出、それに性技巧みな彼女への主人公の疑念などが絡み合うことで、近親姦の背徳的官能と不安感が増してくるのである。
エロシーンにおけるテキストは、台詞よりも地の文に力が入っているようで、卑語等への依存が最近の抜きゲー?にしては弱い。それゆえ、エロはもっぱら卑語等の台詞回しで興奮するとか、シーン鑑賞でしか楽しまないという方にとっては、本作の実用性は微妙かもしれない。しかし、ストーリーを追いながらじっくりエロを堪能するなら、これはこれで使える内容である。
本作の欠点については、先に述べた違和感のほか、表情差分の少なさがあげられる。本作では1本のシーンに複数の一枚絵が投入されているが、あまり贅沢な演出には思えない。というのは、一枚絵ごとの表情差分が不足しがちで、「ここで表情が変わるべきなのに、どうしていつまでも同じ表情をしているのか」という気持ちにさせられるからだ。このような気持ちを引きずったまま次々と異なるビジュアルが表示されても、それはまるで場面進行に合わせた一枚絵のスライドショーのようにみえるのだ。
とはいえ、このブランドの規模や知名度、低価格であることを考慮するなら、そのあたりの安っぽさは妥協すべきかもしれない。私はむしろ、本作の想像以上に丁寧なつくりのシナリオ、比較的綺麗なビジュアルには十分満足している。
次回作があるなら本作と同等、いやそれ以上のクオリティを期待したい。
- 総合評価 140/200点
- シナリオ 35/60点
- グラフィック 60/80点
- 音声 25/40点
- システム 20/20点
エッチ内容について
作品情報
※本作には、完全版があります。
タイトル | 蜜壺 ~兄さん……わたしこんなに大きくなりましたよ~ |
ブランド | スナック・ファクトリー |
発売日 | 2012年5月1日 |
ダウンロード販売 | DLsite DMM |