概要と評価 150/200(良)
本作のあらすじ
主人公は、元総理大臣の息子。現総理の高井田に父を殺されたあげく、主人公は父親殺しの濡れ衣を着せられた。主人公は自らの死を偽装し、「東雲和輝」として第二の人生を歩む。すべては高井田に復讐し、ついでに日本国総理の座を奪うためである。
感想の要旨
『姦白宣言』の本伝にあたる、同じような趣向の作品。政争劇と監禁調教を描く。ストーリーと調教過程の出来は『姦白宣言』にやや劣る一方、エロシーンに関しては本作のほうが良いかもしれない。今回も自力攻略は面倒なので、攻略チャートやセーブデータの利用をオススメする。
エロシーンの属性
監禁拘束プレイを重視。拘束具にこだわりがある。浣腸、フィスト、輪姦なども。
目次
- 『姦白宣言』のような作品
- 『HOTOTOGISU』と『姦白宣言』の差異
- 面倒なゲーム性
- コメント
1. 『姦白宣言』のような作品
本作は、『大阪CRISIS』『姦白宣言』と世界を共有する作品だ。時系列的には、『姦白宣言』(過去)と『大阪CRISIS』(未来)の中間に位置する。ただし、前2作と世界を共有するといっても、その登場人物が顔見せする程度だ。他のシリーズ作品の内容を知らなくても、ストーリーの理解に差支えはないので、どの作品からはじめてもいい。
本作のシナリオは、端的に言えば、前作(姦白宣言)の焼き直しである。
もちろん、主人公の目的や舞台などの設定レベルでは多少の差異はある。例えば、前作の主人公は大財閥の総帥の座を狙ったが、本作の主人公は、現総理への復讐ついでに、日本国総理の座を狙う。
しかし、舞台は違えど、どちらも政治闘争をテーマにしているし、主人公がそれぞれの舞台でのし上がっていく過程は、かなり似通っている。しかも、エロは監禁調教(拘束)を重視している点で共通している。さらに、エロシーンや、自力で攻略する場合の欠点のあり方すらも同じだ。
そういうわけで、本作は”『姦白宣言』のような作品”といえる。あの作品が楽しめたなら、おそらく本作もそれなりに楽しめるだろう。ただし、ストーリー、エロシーン等の各要素の詳細に焦点を当てるなら、まったく同じような内容だとは言えない部分もあるので、以下ではそうした点に言及していく。
2. 『HOTOTOGISU』と『姦白宣言』の差異
本作と『姦白宣言』は、どういった点で違いがあるのか。そして、どちらのほうがより面白いのか? 結論を先に言えば、ストーリーや調教の過程を重視するなら、『姦白宣言』のほうがオススメだ。しかし、個別のエロシーンに関しては、どちらかといえば、私は本作のほうが良いと思う。
2-1. 政争劇としての出来
本作のシナリオは、『姦白宣言』と同じく政争劇を描いている。どちらも面白いとは思うが、構造的には『姦白宣言』のほうがよく出来ている。
何故ならば、本作は前作と比べて敵対勢力の存在感が薄いからだ。
闘争の緊張感は、自軍と敵軍とのせめぎ合いのなかで形成されるものだ。前作では、敵が敵なりの立ち位置をしっかり持っており、しかもわりと有能だった。時には敵が主人公を窮地に追いやることもあり、油断ならない展開をみせた。それ故、私は徹夜するほど話にのめり込み、最後まで楽しむことができたのだ。
一方、本作の場合、こちらの攻勢がほとんど一方的である。敵はこちらを警戒してはいても、こちらを潰すことには消極的だ。また、敵方のボスは、権力者ではあっても何だか小物臭い。そのため、『姦白宣言』と比べると、緊張感が欠けているように思える。
2-2. 調教過程
本作と『姦白宣言』は、どちらも監禁調教を重視している。しかし、ヒロインを堕とす方法に関しては、違いがある。
前作では、監禁調教によって衰弱したヒロインを洗脳し、ヒロインの依存の対象を主人公にすり替えることで、彼女を堕とした。
一方、本作では、洗脳よりむしろ媚薬の力に頼って、ヒロインを堕とす。強力な媚薬漬けにされたヒロインは、快楽の虜となる。そして、自分を調教した主人公への恐怖もあって、彼に逆らえなくなるのだ。
本シリーズは一貫して、監禁前の甘いコミュニケーションを大事にしている。ヒロインを洗脳して堕とすなら、このやり取りは洗脳の前準備として必要だろう。しかし、媚薬漬けにするなら、いったい何のためにそのやり取りはあるのか? 結局クスリの力で堕とすなら、さっさと拐って、薬漬けにしたほうが合理的だ。本作は、この不合理を孕んでいる点で、調教過程の作りが甘いといえる。
もっとも、調教過程を都合良く解釈するなら、媚薬だけでは心理的に屈服させることが難しいので、調教前に、主人公に対しなるべく好意を抱かせておく必要があった、と、考えることもできるが、それでもいまいち説得力に欠ける。
2-3. エロシーン
本作のエロシーンは、『姦白宣言』のそれとよく似ている。
どんなプレイがあるかについては、前作のレビューに書いたのと大体同じだ。今回も様々な拘束具を用いて、同じような調教をする。乳首ピアスをつけられるし、つけないこともできる。ただし、前作のヒロインの反応が基本的に苦痛系であるのに対し、本作は苦痛系+薬物による快楽覚醒系だという点に注意しよう。
私は、どちらかというと、前作よりも本作のエロシーンのほうが好きだ。理由は2つある。
1つは、フルプライスである本作のほうが演出面で贅沢だということだ。前作も低価格にしては多くのCGを収録していたが、それはエロシーンの量を増やすのに必要だったからにすぎないだろう。本作のCGは差分抜きで128枚もあり、局部や表情のクローズアップのために使うなど、贅沢に用いられている。
別の理由は、同種のエロシーンにみられる差異である。前作のエロシーンは、拘束具の種類が違うだけで、どのヒロインに対しても、やっていることはパターン通りのプレイばかりだった。本作のエロシーンも、同じくパターン化されている点は否定できない。しかし、種類的に同じプレイを順番に行なっているにしても、シチュエーションや方法といった面で、前作より差が大きく感じられる。
例えば、浣腸シーンで比べてみよう。前作では、主人公がヒロインを浣腸器で浣腸してアナルを犯す、という流れが、4人のヒロインで共通だった。一方、本作では、2種類の浣腸器具が用いられ、浣腸液の見かけ上の注入量、浣腸する状況、排泄方法、排泄物の形状など様々な点で多くの違いが見受けられる。
もちろん前作にも多少の違いはあったものの、本作ほどではない。特定のプレイに興味がないなら、こうした違いは”どうでもいい”かもしれないが、それを好む者にとっては、たいへん重要な違いである。
3. 面倒なゲーム性
本シリーズは一貫して、自力攻略が面倒くさい。それも、ルート分岐条件を見つけるのが難しいというわけではない。むしろ分岐条件を見つけるだけでいいなら、すごく簡単だ。問題なのは、何をすればいいのか条件が分かっていても、特定のエンディングに至るまでの道程が不必要に長いことと、妙なところに埋まっている差分を、すべて掘り起こす作業が辛いということだ。
本作の場合、なぜか重要な選択肢の一つが第二幕序盤に埋まっている。第二幕序盤の時点では、全体の尺の4分の1すら経過していない。ここに重要な選択肢があるせいで、ルートを切り替えるために、わざわざこの時点まで戻らなければならない。
また、差分は、シーンスキップや回想閲覧では回収できない。よって、射精差分、一部のピアス差分などを回収するためには、ゲーム中で該当箇所を1つずつ拾っていかなければならない。しかも、シーンスキップでは差分を回収できないから、不用意にシーンを飛ばすと、回収地点も飛ばしてしまうことになりかねない。
4. コメント
何だかんだ言っても、このシリーズは面白い。が、攻略の面倒臭さを考えると、自力で攻略する場合はソフトを起動するのも億劫になる。ただ、攻略作業自体をもっと簡略化するか、一度観たシーンは一度観ただけですべての差分を回収できるようにしてくれるだけでいいのだ。ここのところを、いい加減改善すべきだ。
- 総合評価 150/200点
- シナリオ 40/60点
- グラフィック 70/80点
- 音声 35/40点
- システム 5/20点
作品情報
タイトル | HOTOTOGISU 滅せぬもののあるべきか |
ブランド | つるみく |
発売日 | 2012年8月31日 |
ダウンロード販売 | DMM(ULTRA PATRIOT) |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |