大阪CRISIS ~姦楽街開発プロジェクト~ 感想

大阪CRISIS ~COMEBACK & COMES A NEW HEROINE~

(※)記事内の商品リンク先は『大阪CRISIS ~COMEBACK & COMES A NEW HEROINE~』(以下、復刻版)になっていますが、レビューは『大阪CRISIS ~姦楽街開発プロジェクト~』に基づいて書かれています。そのため、復刻版とは内容が若干異なる場合があります。特に、新ヒロイン『福麗華(フウリーファ)』については一切触れておりません。

ストーリー概要

主人公は、裏社会では”黒い刃”と呼ばれるほど恐れられている冷血漢である。素材の良い女をみると、性奴隷に調教してやりたいという欲望に駆られる真性サディストでもある。彼は現在、大阪の裏機関である『再開発事業局』の局長を務めている。

主人公はある日、大阪代表である橋本柿本から、「大阪の財政再建のため、性欲に塗れた一大歓楽街を作りたい。そこで働かせるための女を見繕って、奴隷に仕立てあげて欲しい」(要旨)と要請される。

歓楽街を作るためには、まず予定地の住民たちを立ち退かせねばならない。そこで主人公は、立ち退きを渋る連中に不当な圧力をかけて立ち退かせ、ついでにその中から目ぼしい女を選んで拉致監禁し、歓楽街のための性奴隷に仕立てあげていく。

総評 145/200(良)

『大阪CRISIS』を手に取る者は一切の道徳を捨てよ。本作は、サディストによるサディストのための作品である。ノーマル属性のユーザーにはまったく向いていない。

ただ短絡的な抜きゲーには満足できない、エロに到るまでの過程が重要だ、そう思う変態紳士はこれを購入するといい。きっと価格以上の満足感がもたらされることだろう。

シナリオ 45/60点

本作のシナリオの趣旨は、「優男のように振る舞って目当ての女を垂らしこみ、その女をもっとも惨めにさせる罠に嵌め、地下室に監禁して鬼畜な調教を施し、最終的には主人公専属の奴隷か、歓楽街用の売春婦に仕立て上げる」というものである。

①~②の過程が、このシナリオにおいて最も肝心なところだ。まるで多重人格者のように裏表の激しい主人公が、如何に標的となる女に近づき、如何に劇的な罠に嵌めて、女を絶望のどん底に叩き落すか? この過程を堪能することが、ヌルい人情劇を排し鬼畜に徹した本作の醍醐味なのである。

標的となるヒロインについて

標的となるヒロインには、同じアパートの住人と大家、大財閥のお嬢様、権力犯罪取締官、たこ焼き屋の娘の5人がいる。彼女たちはすっかり優男の主人公を信頼し切っており、並々ならぬ好意すら抱いている。

しかし主人公のほうは、彼女たちを単なる調教対象の雌としか認識していない。日々彼女たちに対して思うことは、「どんな罠に嵌めてやるのが最も劇的で、最も絶望的か」ということのみである。そして絶好の条件が揃えば、主人公は優男の仮面を脱ぎ捨てて、彼女たちを捕獲するための行動に出る。

主人公のやり方は、他の鬼畜ゲーにありがちな短絡的強姦とは比較にならないほど、陰険で邪悪で鬼畜である。「鬼畜もそれなりにいける」程度のユーザーなら、間違いなくドン引きするだろう。彼が女たちに情けをかけることなどあり得ないし、文字通り「人を人とも思っていない」のだから。

だからこそ、本作のシナリオは、サディストのご同類なら楽しめるだろう。この徹底した鬼畜こそが、鬼畜ゲーとしては何よりも素晴らしいと思うのである。

それ以外の2人について(※ややネタバレ)

上述の5人以外にも、特異な二人の存在が物語のマンネリ化を防ぐことに貢献している。

そのうち一人は、主人公を命の恩人として慕う少女である。彼女は家庭環境のせいもあってか主人公に心底依存しており、彼からどのような仕打ちを受けても、それを喜びとして受け入れることができる。彼女は他の5人と違って、調教前から本来の主人公に懐いており、自分で奴隷になる覚悟も決めている。また、主人公から特別扱いされている点でも、他のどのヒロインとも違う。

いま一人は、『再開発事業局』にあだなすスパイである。かの存在があればこそ、ただ女を騙して調教するだけでない緊張感が物語全体に漂っている。

エロについて

地下室に監禁して鬼畜な調教を施す場面(エロシーン)についても手抜かりはない。当初、裏切られた怒りと悲しみから主人公を罵倒していた女たちが、主人公の容赦ない調教に屈服し、結局は従順な性奴隷となるという調教物の様式美も、きっちり仕上げられている。

エロテキストは、質・量ともに上等である。大阪に因んだ”愉快な”調教や輪姦、SMスカトロプレイを中心に楽しむことができる。どの調教にしても生半可ではないから、ガチな調教物ファンでも満足いく出来だと思われる。

攻略について(※本作の欠点)

攻略の面倒さというか、ADVとしての完成度の低さが、本作のアキレス腱であり減点事由である。無駄に多いエンディング、投げやりな選択肢、無意味な2周前提の構成が本作の価値を貶めている。

本作のエンディングはかなり多いけれども、エンディングを観る直前までの過程はほぼ同じである。エンディングの発生条件は、「誰を何回調教したか、またはどの系統の選択肢を何回選んだか」という、馬鹿馬鹿しい条件に過ぎない。それに、エンディングはすべて回想に登録されてしまうから、攻略のモチベーションを維持しにくい。

グラフィック 65/80点

基本CG枚数は97枚。

エロシーンの総数は98本。ただし、特定の人物の登場や乳首ピアスの有無などを重複シーンとみなして除外するなら、実質的なエロシーンの総数は71本となる。その内訳は、千鶴(9)、忍(9)、綾乃(9)、真希枝(9)、可憐(9)、涼子(9)、夕璃(9)、千鶴&忍(1)、綾乃&可憐(1)、涼子&真希枝(1)、真希枝&千鶴(1)、可憐&涼子(1)、忍&夕璃(1)、夕璃&可憐&綾乃(1)、全員(1)となっている(※計算方法:同名EDは、A~Dの分類に関係なく、全部で1つとして数える。出荷EDは、エロシーンとみなさない。複数ヒロインが関係するエロシーンであっても、回想分類上の名義となる人物が一人なら、その人物のみのエロシーンとして数える)。

CG一枚一枚の出来は、大きく崩れることもなく安定している。ぷりぷりとした肉体の質感の表現もなかなか良い。絵柄に癖が少ないので、多くの人に受け入れられやすいと思われる。差分の数は(重複をかなり含むが)多く、表情も頻繁に変化する。

不満点は、ヒロインが苦悶する表情が間抜けに見えることと、ワンパターンすぎること。本作は鬼畜系作品なのだから、苦痛を感じている表情はもっと悲痛かつ豊富であってほしい。

モザイク処理は普通程度。アナルについては、肛門も腸内もすべて無修正となっている。

なお、本作の豊富なスカトロシーンは、ほぼ全て排泄の描写を伴う。排泄物は浣腸液等の混ざった下痢状に描かれており、修正は無い。

音楽・声優 30/40点

BGMは8曲。ボーカル曲は「Inoccent Gate ~背徳への序幕~」1曲。BGMは効果的に演出に用いられており、作品の雰囲気にもしっかりマッチしていた。ただ、曲数が少ないためにか、やや無理矢理に感じられる場面もあった。

声優さんの演技については、おおむね良好であった。信じていた者に裏切られた感じが、なかなか良く表現できていたように思う。

千鶴 櫻井ありす 椎名ヨオコ
綾乃 野々村紗夜 可憐 越智悠
真希枝 野宮香央里 涼子 このは
夕璃 ももぞの薫    

システム 5/20点

射精箇所の選択肢が頻出するシステムなのに、クイックセーブがない。セーブ枠はサムネイル表示型で見やすいが、1ページに4枠しか表示されないため、過去のセーブデータを探しにくい。

次の選択肢まで一気にスキップできる機能はありがたい。だが、この機能を使って未読スキップすると、その間にあったCGは回収できない。

CGの差分が多いのに、本編中でその差分を表示させていない場合にはその差分を回収できない。乳首にピアスをつけているかどうか程度の違いで、いちいち何度も差分回収作業しなければならないのは面倒だ。

作品情報

タイトル 大阪CRISIS ~姦楽街開発プロジェクト~
ブランド つるみく
発売日 2009年3月27日 / 2011年9月30日(新版)
ダウンロード販売 DLsite FANZA
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