総評 130/200(可)
エキセントリックな登場人物たちが繰り広げる、ドタバタ学園コメディ。
シナリオはどう好意的に評価しても並以下だが、それ以外はとても素晴らしい。声優さんの演技や演出の良さが、シナリオの拙さをばっちりフォローしている。そのおかげで、『てとてトライオン!』は、”まるで良作のような”雰囲気のある作品に仕上がっている。
『てとてトライオン!』を心から楽しめるかどうかは、エロゲの何を重視するかで分かれる。
物語の完成度よりもキャラクターの魅力――つまり、萌えを重視する方々には、本作品をオススメできる。しかし逆に、緻密な設定や物語の妙を重視する方々にとっては、本作品は駄作以外の何物でもない。
シナリオ 25/80点
PITAシステムで管理されたリゾート学園 獅子ヶ崎学園――その学園の各施設で次々と起こるトラブルを、獅子ヶ崎トライオンの面々が解決していく、という話。
ヒロインは、夏海・手鞠・鈴姫・一乃の計4人。それ以外の女の子たちは、どれだけ魅力的であっても攻略不能である。
キャラクターについて
『てとてトライオン!』の魅力は、キャラクターの魅力だけでもっているようなもの。好きなヒロインがいなければ、シナリオは塵以下なので注意してほしい。
私のお気に入りは、生徒会長と副会長。会長は生徒の前では威風堂々と見せかけているのに、恋愛事になると臆病なところがすごくいい。そんな会長を支える副会長も捨て難いが……彼女の個別ルートは存在しないのが残念だorz
シナリオ構成について
オープニングは詰め込みすぎ。ヒロインたちの顔見せを最初に済ませておくのは基本だが、何の脈略もなしにどんどん登場されても困る。こちらが置いてけぼりを食らわないためには、公式サイトのキャラクター紹介を予め読んでおく必要がある。
シナリオ構成は、序盤から終盤にかけて、「学園施設で問題発生⇒獅子ヶ崎トライオンのメンバー召集⇒手と手を重ねてTry on!で解決」のループ。各ヒロインの個別ルートに入ると、前述のループの合間に、恋愛っぽい展開が挿入される。
個別ルートの出来は、ピンからキリまで……といっても、団栗の背比べであることは否めない。まあ、夏海ルートの”打ち切りにされた萌えアニメ”のようなエンディング以外なら、そこそこ楽しめるとは思う。
『てとてトライオン!』のシナリオ展開は、終始ヌルい。この作品をプレイし始めた当初は、こういう作風なのだろうとも思えた。だが、一乃の過去を丁寧に描き切れていないあたり、実は書き手からみて創るのが面倒そうな展開を全部避けてきた結果ではないか、とも思える。まあどちらにせよ、物語の起伏に乏しいというだけで問題有だが。
テキストについて
『てとてトライオン!』のテキストは、ほとんど会話だけで成っている。こういうテキストはコメディ場面では良いとしても、恋愛のように繊細な心理描写が要求される場面には向いていない。また、一人称の長所である主人公の主観描写が殺されるため、主人公の主体性の無さが際立ってくる。
エロシーンについて
エロシーンは、取ってつけたようなものが多い。CGのほうはかなり頑張っているのに、テキストのやる気の無さが本当にどうしようもない。
CG 55/60点
基本CG枚数は97枚、ただしそのうち30枚は演出用のデフォルメ絵。エロシーンは、ギャラリーでは各ヒロインごとに3~5本となっているが、ストーリー的には2回である。
演出について
表情豊かな立ち絵が頻繁に入れ替わり、デフォルメ絵が要所要所でヒロインたちの愛らしさを引き立てている。コメディシーンはテキストだけ読むと寒いが、CGと音声の演出のおかげで、ニヤニヤできる程度には面白くなっている。
エロCGについて
エロCGは、表情がエロくて実用性ばっちり。粘着感と透明感のある精液の描写もグッド。3行3列目(夏海)の上半身の崩れたCGを除けば、最高に良い。
モザイクは、見えてはいけない部分の形に添って、丁寧にかけられている。
音楽・声優 35/40点
BGMは31曲。テーマソング有。夏らしく爽快な曲が多い。
声優さんは、有名声優やベテランばかり。役に嵌った優秀な演技のおかげで、ろくにエピソードを掘り下げられていない登場人物たちが、活き活きと喋りだす。
システム 15/20点
基本システムはとても快適で、特にセーブ関係の機能が充実している。クイックセーブ&ロードはもちろんのこと、オートセーブ機能もある。クイックとオートのセーブ枠はそれぞれ5枠もあるので、不幸なアクシデントでデータ消去してしまったときも安心だ。
また、『カーソルの自動移動』や、『非アクティブ時の動作』をON/OFFできるのも良い。あとはメッセージ枠の透過機能と、スキップ速度の調整機能があれば完璧だと思う(願望)。
エッチ内容について
エッチの内容は、基本的にはオーソドックス。一乃だけアナルセックスがある。