あらすじ
真村志乃は、とある事情により自分という存在が許せなくなっている。それゆえに、真村は自分を傷つけずにはいられなかった。主人公の偶然の介入により自殺は未遂で終わるが、彼女は自分という存在を消去しない代わりの罰を彼に求めた。それが、「私を壊す」ということである。
真村がそれを願ったとき、主人公は”彼女に対し何をしてもいい”権利を得た。彼女がどれだけ泣こうが喚こうが、気の済むまで陵辱し、壊してくれてかまわないというのだ。
真村の執拗な挑発を受けて怒った主人公は、彼女の望みどおりに犯してやった。しかし犯されている間、彼女は、陵辱される痛みに苦しみ泣き喚く。「私を壊してほしい」と自分で言い出したはずなのに、いざ犯してみれば「いやだ、痛い」と泣き言をいってくるのだ。
結局あれは乙女の妄言だったのかと思いきや、次の日にはけろっとして主人公のもとを訪れる真村。そして彼女は性懲りもなしに、また「私を壊してほしい」だの「私を好きにしていい」だのと言ってくる。
いったい、この女は何なのだろうか? 何が目的なのか。さっぱり分からないが、犯されて傷ついていく真村の姿をみて嗜虐に目覚めた主人公は、それ以降、彼女を「壊す」ための行為をエスカレートさせていく。
総評 85/100(優)
『ココロのクサリ』の第3弾は、この人気シリーズに相応しい完成度を誇る。一枚絵は、他ではなお真似できない圧倒的な枚数を維持しつつ、よりfetishなエロさが追求されている。テキストは簡潔ながら、調教の場における緊張感をひしひしと伝えてくる。
本作は、商業ではあり得ない、同人ならではの魅力を感じさせる傑作だ。そのクオリティの高さにおいて、前2作に勝るとも劣らない。あとは残念すぎるシステムの仕様さえ改善されれば90点台なのに、と思う。
シナリオ 25/30点
あらすじにまとめた内容からも分かるように、本作のヒロイン(真村)のキャラクター性は、かなり特殊である。
その特殊さは、『公衆快楽施設』の三島冴子にも通じるものがある。実際本作をプレイし始めたとき、私の脳裏をよぎったのは、「このヒロインは冴子みたいな女だな」ということであった。冴子ほど真剣に「自分を壊したい」と思っているわけではないようだが、自傷行為の手段を他者に委ねるという点では同類である。
本作では、まさにその手段を委ねられた主人公の視点で、物語が進行する。精神の病んでいる女に絡まれた潜在的サディストの心境が地の文で語られ、良識から倒錯へと気持ちがシフトしていく過程がすらすらと読める。それでいて淡々とすることなく、むしろ感情の起伏に富んでいて、常に緊張感のある”自傷行為の代行”を堪能できた。
本作においては、ストーリー性とエロは両立するものではなく、融合して不可分なものである。濡れ場のやりとり=物語の展開という関係が成立しており、性的興奮を覚えると同時に物語を堪能できる。凡庸な作品においては、エロがストーリーに溶け込みすぎると実用性が消失するものだが、本作ではむしろ実用性が増しているという奇妙な化学反応が発見されたのだった。
本作のシナリオは、実用志向の同人ゲームとして非常に優れている。そこに疑いはないが、たった一つだけ欠点がある。それは、ヒロインが自傷する理由そのものであり、物語の根本に関わるものであるから、購入前に読まれることを前提とする当サイトの記事では扱えない。
しかし私は、これだけは言っておきたいのだ、「いや、その理由はおかしいだろう」と。それはまあ本人からしてみれば罪深いのかもしれないけれども、物語的にはもう少しドラマチックな理由であってほしかった。そこでかなり興醒めしたので、満点から減点して25点とした。
グラフィック 30/30点
基本CGは、52枚。相場の4倍に相当する超ボリュームである。
エロシーンは、18本(すべて真村×主人公)。ちなみに、いくつかのエンディングをクリアすると、メガネモードで回想を楽しむことができる。
多くのCGを少ないエロシーンに集約する演出の素晴らしさは、今更言及するまでもない。一枚絵のクオリティは、絵師の技術の向上が一目見て分かるくらいに上がっている。
しかし今回特に褒めたいのはそこではなく、射精した後の演出について。普通のエロゲでは、口淫・性交後は差分によって表現されるだけだが、本作ではわざわざその部分だけに一枚絵が割り当てられている。そのことによって、精液を口に溜めたままの真村の堪えた表情、あるいは中出しされて干涸らびた蛙のように疲れた彼女の姿をはっきり拝めるようになっている。私はこれを観たとき、「あなたが神か」という例の台詞が、ついつい頭に浮かんでしまったものだ。
モザイクによる修正は、サンプル画像よりもずっと薄い。製品版には、あんな大粒のモザイクはかかっていない。肛門は無修正だが、本作にはアナルプレイがないので、そこは注意しよう。
音楽・声優 20/20点
BGMは、同人ゲームとしてかなり優秀。作品の雰囲気の変化に合わせて、しっかり演出に貢献している。声優さんは、特にすごい演技をするわけではないが、声質がキャラクターに合っている。
真村志乃 | ノエル |
システム 10/20点
スキップ機能はあるものの、自動スキップすると、演出の切り替えごとにいちいち止まる。あまりに止まる頻度が高すぎて、実用性は殆どない。
中出し/外出しの選択が分岐を左右するにも拘らず、そこではセーブできない。
おまけでメガネモードを回想に用意してくれるのはいいが、そのCG回収がとても面倒くさい。回想中にも分岐があるのだが、回想中にはセーブができないので、何度もやり直しさせられる。
作品情報
タイトル | 自虐願望 ~ココロのクサリ3~ |
ブランド | ネガティブギャング |
発売日 | 2010年11月26日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |