感想と評価 65/100(可)
ある日、主人公は妹の親友に告白された。兄に恋する妹は、彼らが恋仲になるのを阻止するため、「精神崩壊するほどの調教を施したい」という主人公の欲望に対し、自らの肉体で応える。
強制露出・羞恥調教に特化した作品として、エロに関する部分はかなり良く出来ている。フェティッシュなエロシーンのみにこだわるならば、名作級とも思える。
しかしながら、それ以外の部分に無視できない欠陥があるため、総合評価は低くならざるを得ない。採点時の気持ちを一言で言い表すなら、「残念な名作」だ。
1. 心の痛みこそが性的興奮
本作には、5つのエンディングが用意されている。そのうち1つは丸く収まるが、残り4つは救いがたい内容である。
4つのエンディングにおけるヒロインの扱いは、あまりに可哀想だ。私はたいていの悲惨な結末を受け入れられるが、これらの結末を観終えたときはさすがに心が痛かった。プレイしている間、胸の動悸は高鳴ることを止めず、何度も勃起させられた。
唯一の攻略対象である姫月は、口は悪いが、ほんとうに一途な妹である。
姫月に対する兄の露出調教は最初のうちソフトだが、徐々にエスカレートしていく。最初は下着を身につけずに登校させられる程度だったものが、ある日突然、人通りの多い街道で裸になれと命令される。ルートによっては兄以外の男達との性交を命令され、それで処女を失ってしまうことにもなる。
しかし飽くまで、兄の命令に従うか従わざるかの決定権は姫月自身にある。ほんとうに無理だと思うなら、断ってもかまわない。だがそうすると、兄との約束は破棄され、兄は自分の親友と結ばれてしまうだろう。
そうなるくらいなら、理不尽な調教で自分の心が壊れるほうを選ぶのが、姫月という妹だ。プレイヤーは、正真正銘の人間のクズである兄の立場から、姫月という最高の妹を辱めて壊すのである。
そそられる展開だと思わないだろうか? この質問に迷わずYESと答えられるなら、貴方は本作を心から楽しめる人だ。
2.以降の批判を読むのは時間の無駄だから、販売サイトでとっととポチってくるべきだと思う。自力攻略は止めておけ、ということだけ覚えておけばいい。しかし答えを躊躇するようなら、本作の問題点も知っておくのも、あるいは有益かもしれない。
2. 本作の残念なところ
本作にはいくつかの問題点があるが、ここで細かい問題点をいちいち列挙することはしないでおく。重大な問題点としては、a.シナリオの分岐構成が拙い、b.回想モードがない、という2点がある。
2-a. お粗末な分岐構成
本作の全エンディングを観ることは、存外に難しい。
ストーリーの全容を予め把握している制作者ならともかく、前知識なしのプレイヤーが選択肢の内容からルート分岐のポイントを見出すのは困難だ。また、初期の選択が、物語がかなり進んだ後の分岐に影響するので、どの選択肢が誤りだったのか気づきにくい。
さらに悪いことには、選択肢の選び方によっては、ストーリー展開上の飛躍が発生する。各ルートのストーリー展開上前提となるだろう場面を観なくても、あるいは不適切な場面を観てしまっても、各ルートに入ることが出来てしまうからだ。
初プレイ時、私は姫月関連の選択肢だけを選び、食事は屋上で食べ、輪姦ルートに入ったが、そこで何故主人公があれほど豹変してしまったのか理解不能であった。姫月に対する主人公の憎悪の根源が、さっぱり分からなかったからだ。
コンプリートした今では、その根源が何であったかは一応理解している。しかしあの時は、正直、ひどくつたない展開としか思えなかった。
選択肢の選び方を最適化して進めるなら、このような違和感は多少和らぐだろう。もっとも、最適化したところで、ストーリー展開の根本的に拙い部分(e.g. 露出後の姫月の葛藤が弱い)までもが解決されるわけではないし、別ルートを観ているかどうかで感想も違ってくるだろうが。
しかしそれでも、手探りで進めるよりは遥かにマシな流れになるだろう。自力攻略は止めておけ、と先に言ったのは、そういうことである。
2-b. 回想モードの不存在
本作には、回想モードが存在しない。それ故、エロシーンごとにいちいちセーブしておかないと、すぐにお気に入りの場面を観ることが出来ない。これは、低価格ゲームの「手頃なおかず」という利点に反しているし、そもそも回想モードがないなど時代錯誤にも程がある。
評価とコメント
強制露出・羞恥プレイのシチュエーション作りは神がかっていた。そこまでやるか! という鬼畜の所業には興奮させられ、テキストからはヒロインの悲痛な思いがひしひしと伝わってきた。しかし露出後の姫月の葛藤が弱いことや、すでに述べた問題点は看過できない。声優については同人ならOKだが、BGMの使い方はもう少し工夫してほしい。
- 総合評価 65/100点
- シナリオ 20/30点
- グラフィック 25/30点
- 音声 15/20点
- システム 5/20点
作品情報
タイトル | 妹調教日記 ~こんなツンデレが俺の妹なわけない!~ |
ブランド | NANACAN |
発売日 | 2011年8月14日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |