感想と評価 145/200(良)
アイドルの沢音遥は何者かに強姦され、しかもその様子がアダルトビデオとして流出してしまう。アイドル生命の危機にさらされた遥は、「あの遥は偽者だと証明するため、AV女優”ハルナ”としてAV出演しろ」という所属事務所社長の提案を呑む。
シナリオにしろグラフィックにしろ、やや物足りない面もあるけれども、総合的には佳作といっていい作品だ。エロは特定の性癖に特化せず、ソフトからハードまで様々な種類のプレイが詰め込まれている。今のところ実売価格が6千円~7千円と安いので、わりとお買い得ではないかと思う。
1. メロドラマ的な展開
ストーリーは、降って湧いたような悲劇、そして後に明かされるショッキングな事実と、実にメロドラマ的な展開になっている。エロを除けば、まるで一昔前のテレビドラマを観ているかのようだ。衝撃的な話を追求し過ぎて、逆に陳腐で、到底納得できない展開を含んでいるところも、そんな感じである。
エンディングは9つもあるが、ルートは大別して2つに収まる。各ヒロインの個別ルートはない。どのルートもあくまで遥が主役で、それに各ヒロインのエピソードがついてまわる流れだ。
エンディングは1つ除けば、他は全部、バッドエンドに近い。とはいえ、客観的にみれば悲惨な状況であっても、ヒロインの主観ではそこそこ幸せなのかもしれない。どうしようもない現実を受け入れた後は、そこに今の自分――性奴アイドルとしての幸せを見出すからである。
2. 強姦、そして諦観
エロは凌辱中心だが、必ずしもヒロインが激しく抵抗するわけではない。当初は反抗的であったヒロインも、脅迫された後はAV出演を甘受する。以後は演技的にも協力するようになり、視聴者の目線で和姦だとみなせる程度には凌辱感が薄れる。
もちろん、ヒロインは自ら望んで演技しているわけではない。心のなかでは恥辱と嫌悪に悶えてはいるものの、だからといって現実に歯向かえるわけではないのだ。
そのため、特に控えめな性格の遥の場合、少し話が進むと諦観し出す。快楽を少しずつ受け入れ、ルートによっては視聴者のために良い演技をしようとさえする。こうなるともう、当初の凌辱劇の悲惨な印象はすっかり消え失せ、脅迫されているだけのヌルい凌辱に思えてしまう。
しかし、このヌルさにやや飽きてきた頃に、不意打ちの獣姦という強烈な場面があったことは、ある程度中だるみの解消にはなった。また、気の強い勇那は心が折れるまで反抗心を隠せなかったし、レミは彼女たちとはまた別の意味で被虐的だった。
こうしたことをトータルでみると、凌辱作品としてのエロのバランスも一応は取れていたのではないかと思う。
3. 一番嫌いで、一番使えたヒロイン(ネタバレ注意)
本作のヒロインのなかで、私はレミが一番嫌いだ。この女は自己中心的な理由から、遥の前所属事務所の社長を破滅に追いやり、しかも指摘されるまで罪の自覚が乏しかったからだ。
しかし、全てのエロシーンのなかで一番興奮させれたのも、レミのものだった。
レミは、遥や勇那と違って、自分の意思で処女を喪う。だが、決して喜んで捧げたわけではない。彼女は後先を考えない性格なので、黒幕の甘言にうっかり騙され、後には引けない状況になって仕方なく捧げたのである。
表面上は自分でやっていることなのに、レミの嫌悪感や苦痛、悲愴感は尋常でない。これは、シチュエーションもそうだが、声優さんの演技の力によるところが大きいだろう。
痛がり泣き叫びながらも、もはや後戻りできない、はやく終わってほしいという痛ましさが、私の股間に強く伝わってきた。AV出演してからも、その悲愴感は衰えることがなく、ずっと興奮させられっぱなしだった。
4. 足りないCG
本作の一枚絵は、表情や構図がやや流行と異なるように感じるけれども、これはこれで良いものだった。表情は分かりやすいアヘ顔に頼らずとも十分に魅力的であったし、差分等による演出は要所要所を的確におさえていた。
しかし、ボリュームの不足はどうしようもない。本作は、一応フルプライスなのに、基本枚数が72枚しかない。もう少し枚数があれば、使い回しの量もおさえられたはずなので残念だ。
評価とコメント
ずば抜けた個性も致命的な欠点もなく、全体的にそこそこの水準でまとまっている。エロはけっこう種類が豊富なので、特定の性癖に強いこだわりがない限り、自分にあったエロシーンもいくつかは見つかるだろう。
- 総合評価 145/200点
- シナリオ 35/60点
- グラフィック 65/80点
- 音声 30/40点
- システム 15/20点
作品情報
タイトル | 脅迫3 ~遙かに響く光と影の淫哀歌(うた)~ |
ブランド | アイル |
発売日 | 2011年9月9日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | 駿河屋 |