概要と評価 175/200(優)
本作のあらすじ
無人の辺境惑星での支援訓練中、マコトは谷底に落ちて遭難してしまった。味方に救助されないまま6日以上がすぎ、危うく死にかけた頃、超豪華プライベート船『パールバティー』に拾われる。船主のマイザール母娘は、衰弱しているマコトと奴隷契約を結び、彼を搾精用の船員として飼うことにしたのだった。
感想の要旨
理不尽なストーリーと理不尽なエロシーンが秀逸。ビジュアル、音楽、声優さんの演技も素晴らしい。ただ、基本CGの枚数が少なすぎることが不満である。
エロシーンの属性
マゾ向けでもあり、サド向けでもある(両属性持ち推奨)。エロシーンは快楽系・苦痛系の両方があり、精神崩壊する場合もある。多くの変態属性を網羅しているが、特にスカトロが重視されている。食糞(女→男)、顔面糞(女→女)あり。尿道プレイあり(女→女)。チューブ連結もどきのプレイもある(対象は女,食糞あり)。獣姦を含む異種姦もある(人外→女)。
目次
- 理不尽との戦い
- 苦痛と快楽のエロシーン
- ビジュアルの魅力と不満
- コメント
1. 理不尽との戦い
主人公は意識が混濁している間に、奴隷契約を結ばされた。その瞬間から、彼は搾精玩具として存在する以外の価値を失った。もしマイザール母娘が望むだけの量のザーメンを提供できなければ、容赦なく宇宙空間に放り出されてしまうのだ。
序盤からぶっ飛んだ展開をみせるストーリーは、小気味の良いBGMのリズムに乗って終局まで駆け抜けた。素晴らしいテンポの良さで、中だるみを感じさせない。前作『LEWDNESS』のように中途半端な形で思想を語ることなく、最初から最後まで理不尽なエロスを貫いた。
本作は、まさに理不尽との戦いだった。敵であるマイザール母娘は、法を破り、人を殺めることを何とも思っていない連中だ。かつて全てを奪った男をあえて船員とすることで力を誇示し、接触禁止のファーゼライト星人の牝を奴隷として飼っている。希美子・マイザールは精液狂いの異常者で、その娘の亜美は処女にしてアナル快楽に目覚めた変態だ。気まぐれでマコトのザーメンを好きなだけ搾り取り、イリーザや智子の悲痛に満ちた痴態の観賞を気晴らしにしていた。
このままではいずれ殺されるかもしれなかった。プレイヤーはその前に、この船から脱出しなければならない。しかし、それはそう簡単なことではない。普通のADVなら一番良識のある選択肢をただ選んでいけばいいが、本作ではその手の選択肢は罠の可能性がある。それを選んだが最後、そのままバッドエンディングへ直行するかもしれない――あるいは遅効性の毒のように影響して、後々の展開が詰まってしまうかもしれない。
理不尽な母娘は、実のところ、船員の謀反をまったく考慮せずに我儘であり続けるほど甘くないのだ。彼女達は狩る側の化け物であり、我々は狩られる側の小動物なのだと認識させられる。なんて恐ろしい。その恐ろしさはストーリーで描写されるだけでなく、ゲーム攻略の適度な難しさでも表現されているようだ。
何度も失敗を繰り返してトゥルーエンドに辿り着いたときの、あの気持ちを、何と言えばいいだろう……制作者はきっと確信犯だと思った。ここまで理不尽に晒されてきたあげくの、あのベタなオチには脱力させられた。これもまた理不尽の1つなんだろうか。最初から最後まで、本作のシナリオには振り回されっぱなしだった。しかし、それは不快な感覚ではなく……むしろ快楽だった。
2. 苦痛と快楽のエロシーン
エロテキストは、『LEWDNESS』のように淡白ではない。『STARLESS』に近い狂気が感じられる(注)。ライターについて本作以前の経歴が確認できないので、プレイ前はテキストの出来が不安だった。しかし、実際のテキストはなかなか良い出来だと思う。母娘に搾精される際は快楽以上の痛々しさを感じ、イリーザや智子が辱められる際には興奮とともに憐憫を覚えた。過激なエロシーンを、優れたビジュアルありきの代物で終わらせない、狂気を伝えるテキストだった。
マイザール母娘は、極一部の例外を除けば、常に責め手だ。哀れなマコト、気の毒なイリーザ、廃棄一歩手前の智子は、マイザール母娘の玩具でしかない。母娘に生殺与奪を握られており、気分次第でいつでも殺される可能性がある。宇宙の塵になるだけで済むなら、まだマシだ。精神が壊れるくらい激しく犯された末に、文字通りゴミとして捨てられるかもしれない。そうならないためには、母娘のどんな理不尽な辱めをも、甘んじて受け入れなければならないのだ。
母娘にとって、マコトは搾精用の玩具である。亜美が開発した搾精器具の実験台にされることもある。彼が奴隷となって間もなく、真空吸引器のようなものでザーメンを大型シリンダー3杯分も搾り取られたときは、唖然とした。しかもそれは、これからずっと続く搾精遊びの、ほんの手始めにすぎなかった。常人であれば、1日持たずに死んでしまうような搾精シーンばかりだった。観ているだけで股間が痛くなるような光景だ。
だがそれでも、ひょっとするとマコトは、マイザールの玩具としてはそこそこ良い待遇を受けていたのかもしれない。というのも、イリーザと智子は、もっときつい扱いを受けていたからだ。
母娘は事あるごとに、イリーザと智子の肉体だけでなく、心も辱めようとする。母娘は、命令にしたがって痴態を晒している玩具達を、容赦なく罵る。罵倒の内容が理不尽で、矛盾があったとしても気にしない。玩具が心底嫌そうな態度をみせると、さらに嫌がるような命令を嬉々として飛ばしてくる。
この母娘は、ただイリーザや智子を”使って”遊びたいだけなのだ。それで楽しめれば、後のことはどうでもいい。無茶な責めを与え続けた結果、彼女達の心が壊れたり、死んでしまったとしても気にしない。まるで人の心がないかのように振る舞う母娘だ。
無慈悲に辱められる2人の姿を観ていると、本当に可哀想に思う。おかげで何度も勃起させられた。苦痛と快楽の入り混じった、えげつないエロシーンが多くて、とても実用的だった。
[バレ]気に入ったエロシーンは、例えば、イリーザがウシブタに犯されるシーン。あれだけ可愛がっていた家畜を狂わされ、無残にレイプされるイリーザの姿は哀れだった。智子に関しては、膀胱に利尿剤を注入されたあげく、尿道にタピオカを詰め込まれて栓をされるシーンにそそられた。
それから、何といっても素晴らしいのは、2人が強制妊娠装置で化け物の子供を孕まされそうになるシーン。詳細は文章で説明すると長くなるから省くが、あんなイカれた仕置を考えつくなんて、マイザールの人々は本当に外道だ。
(注・追記7/2)ただし、同質・同程度のテキストではない。あくまで私が感じた「狂気」の度合いが「近い」。さすがに、フェティッシュの程度でいえば、『STARLESS』には及ばない。テキストの濃さは、『STARLESS』 > 『DominancE』 >> 『LEWDNESS』といったところ。『LEWDNESS』よりずっと濃い内容で、『STARLESS』よりは一般寄りだ。
3. ビジュアルの魅力と不満
聖少女さんが描く絵は、まるで精巧に作られた人形のようなキャラクターデザインが魅力的だ。この人形じみた造形は、特にファーゼライト星人というイリーザの個性によく馴染んでいる。彼女は、生身の人間らしからぬ完璧な容姿を持つことによって、例えば獣耳や尻尾といった安直なギミックに頼らずとも、宇宙人らしさを体現している。また、聖少女絵は、見方によっては不気味にも思えるが、それが逆にむごたらしい責めの狂気を増幅させているようにも思える。
一枚絵は、総じて素晴らしい出来だ。差分も豊富である。エロシーン1本につき一枚絵1枚しか用いられないが、それでもダイナミックな責めの移ろいが感じられる。
しかしながら、残念なこともある。まず、本作には基本絵が60枚(CG枠は64)しか収録されていない。これは、フルプライスよりもミドルに近い枚数だ。いくらビジュアルの質が良くて差分が充実していても、さすがにこの枚数では物足りなさを感じる。
また、智子の陰毛の特徴について、テキストとビジュアルで食い違いがあるのも気になる。テキストによると、智子の陰毛は、アナルの方まで濃く茂っていることになっている。しかし、ビジュアル上は、智子の陰毛はそれほど濃くは描かれていない。
4. コメント
テキストよし、ビジュアルよし、音楽よし、声優よし。クオリティにおいては、ほとんどの要素が優れた作品だった。ただ、CG枚数については、せめてあと15枚以上は増やしてほしい。聖少女原画のEmpressの次回作も楽しみにしている。
- 総合評価 175/200点
- シナリオ 50/60点
- グラフィック 70/80点
- 音声 40/40点
- システム 15/20点
作品情報
タイトル | DominancE |
ブランド | Empress |
発売日 | 2013年6月28日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |