概要と評価 115/200(可)
本作のあらすじ
幼馴染の姉(千鶴)が久しぶりに主人公(皆人)の家にやって来たのは、結婚の報告をするためだった。千鶴は酒にとても弱く、少しでも飲むと大胆に絡んでくる癖があった。千鶴を独占したい皆人は、あの手この手で彼女に酒を飲ませて、その肉体を弄ぼうとする。
感想の要旨
単独ヒロインものなのに、そのヒロインのキャラクターがぶれすぎ。エロシーンは、優れたビジュアルのおかげで実用性を確保できている。
エロシーンの属性
人妻もの。いちおう寝取りものでもある。アナルセックス、イラマチオ、妊娠ぼて腹あり。中出しセックスはほとんどない。
目次
- 理解できないヒロイン
- ビジュアルについて
- エロシーンについて
1. 理解できないヒロイン
千鶴は、私には理解できないキャラクターだった。
夫を心から愛している千鶴にとって、皆人はただの弟でしかないはずだった。だが、酔っ払った彼女は、自分から皆人とディープキスしたり、フェラチオをしてあげたりする。彼女は酔うと大胆になるという設定だが、そのとき彼女は理性と記憶のすべてを失っているわけではない。皆人とエッチしながらも、夫を何かと気づかう描写が散見される。彼女がそのときの記憶を全部失っているわけではないことも、作中の記述から察せられる。
彼女は皆人とペッティングを重ねた理由を、後に「皆人君をからかいたくなってたの……」と説明する。だが、ただ弟をからかうために、例えば自分から女性器を弄らせたりするものだろうか? そうした行為に説得力をもたせるなら、彼女は相応に淫らな女でなければおかしい。しかし、彼女は、皆人との初セックスで何度も絶頂した翌日になると、なぜか今更、「私は身持ちのかたい女」とでも言いたげな言動をみせる。今後こんなことを続けるなら、皆人とはもう会えないという。
出典:LiLiTH「受精してよ千鶴さん! ~人妻と恋するひと夏~」
何を今更。
これはつまり、彼女にとってペッティングはただの”からかい”にすぎなかったが、セックスこそは超えてはならない一線だった、ということだろうか。だいぶ苦しい解釈だが、そんな価値観に生きている女は絶対にいない、とは言い切れない。制作者のキャラクター造形の甘さを叩くことはできるが、それならそういう存在として理解してやれなくもない。
ところが、千鶴はそういう女ですらなかった。彼女は、皆人との肉体関係を拒絶してから間もなく、ベタな危機的状況を彼に救われる。すると感激した彼女は、なんと自分からセックスの誘いをしてきたのだ! しかも夫婦の寝室で!
出典:同上
真夏でも、女心は秋の空。
はぁ……。まさに舌の根も乾かぬうちのお誘いである。もうこの瞬間から、この千鶴とかいうヒロインは、”理解しがたいキャラクター”から”理解できないキャラクター”へと降格した。この女は、身持ちがかたいのか、それともド淫乱なのか、全然分からない。ストーリーの進展に合わせてころころと態度が変わりすぎだ。
最悪なのは、こんなのが単独のヒロインだということだ。彼女が理解できなければ、誰も魅力を感じられる相手がいない。ひどい地雷を踏んだ気分だ。
2. ビジュアルについて
ビジュアルそれ自体は、満足のいく出来だった。浴室や夕暮れのもとでまぐわう肌の艶やかさが美しかった。涙を浮かべながら唇を噛んで、必死に喘ぎ声を抑える千鶴の表情はキュートだ。まんぐり返しにされて、膣から出てきたあり得ない量の愛液が太ももをつたっている様子がいやらしい。
出典:同上
こんな感じの表情がすごく良かった。
過去にのぶしとさんが係わった作品のなかで、私的に一二を争う良ビジュアルだった。これなら、別に期待していなかったシナリオが最底辺の出来だったとしても、良質な音声付きCG集を買ったつもりでいられる。
3. エロシーンについて
エロシーンについては、序盤はとにかく微妙に思えた。先述したとおり千鶴のキャラクターがぶれているので、エロさ以前に違和感のほうを強く感じていたからだ。
しかし、千鶴と皆人が積極的に肉体関係を持つようになると、こちらの気分も少しだけ高まってきた。というのは、ここから終盤までは、会ってセックスしてを繰り返すだけの構成になっているからだ。この時期の千鶴はただの不倫女とみなせるので、キャラクターのぶれについては何とか意識から外せるようになった。単なる手抜きでしかない中盤以降は、このひどいシナリオにあっては救済だった。
千鶴と皆人は、いちおう避妊だけはする。ただし、コンドームを付けるかどうかはその場次第だ。コンドームを付けるよりは、むしろ生挿入して外出しする場合がずっと多い。コンドームを付ける場合は、避妊目的というより「そのほうがエロい絵になるから」付けている、といった感じだ。ちなみに、中出しとアナルセックスは終盤のみだ。
エロテキストは、やや冗長。BGVと大差ない喘ぎ声を台詞として水増ししているように思えてならない。ビジュアルのエロさのおかげで成り立っているようなエロシーンばかりだった。
- 総合評価 115/200点
- シナリオ 5/60点
- グラフィック 70/80点
- 音声 30/40点
- システム 10/20点
作品情報
タイトル | 受精してよ千鶴さん! ~人妻と恋するひと夏~ |
ブランド | Lilith |
発売日 | 2013年07月20日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |