感想と評価 115/200(可)
京一は常磐家に居候の身であり、伯母の常磐冴子(女教師)と秘密の恋人関係にある。京一のクラス担任である照島は、京一と冴子の淫らな写真をネタに脅迫し、冴子を手篭めにしてしまう。そして何も知らない京一のもとへは、サエコと呼ばれる女性の浮気報告メールが次々と送られてくる。
LiLiTHの寝取られ作品第二弾。寝取られの典型をなぞり、他社作品のアイディアを良いとこ取りして構成したような作品である。
しかし、良いとこ取りしても、それを活かせるほど性癖の理解があるわけではないようだ。テキストは淡白で、寝取られ特有のねっとりとした背徳感がまるで伝わってこない。ストーリーは、典型をなぞりつつも、寝取られの核となる部分が欠けている。”表と裏”のある構成にはそうする必然性がなく、ただ攻略を面倒にしているだけだ。
主体性のない主人公
本作の主人公である京一には、主体性がほとんどない。
京一は、どれだけ浮気メールを受信しても、自らその真偽を積極的に確かめようとしない。浮気メールの内容はかなり具体的で、しかも浮気相手の名前がサエコであるにもかかわらずだ。
また、冴子や志帆が脅迫されたそもそもの原因を作ったのは、京一自身だ。彼は卑劣にも、気絶している冴子の胸を犯し、それが脅迫の材料とされてしまった。こんな間抜けな性犯罪者に、同情の余地はあるのか?
寝取られものでは、主人公に同情できることが重要だ。同情できるからこそ寝取られの苦痛を共有でき、寝取られという精神的マゾヒズムに酔えるからだ。
もし彼に同情できないのであれば、それはすなわち感情移入できないということであり、寝取られを十分に味わうこともできない。彼が後に寝取られの事実を知って精神的苦痛を味わうにしろ、知らないままにしろ、同情できない主人公にかける言葉は「ざまぁみろ!」だ。
私は、京一のような主人公に感情移入などできない。彼が少しでも主体性を発揮したのは、冴子への例の強制わいせつと、
くらいだ。彼の主体性とは、都合の良い物語進行のためだけに発揮される、制作者の怠慢の現れにすぎない。
グラフィックに不釣合いなテキスト
グラフィックは、さすがリリス、かなりハイクオリティだ。
ユキカゼでやらかした男尻表現は一切なく、一枚絵は、艶のある表情や性器をクローズアップした構図が徹底されている。ピストン動作は、何度もカクカクと腰を振り喘ぎ声が遅れて聞こえるのではなく、1ストロークに収まっている。汁表現は、量がやや多すぎる気もするが、好みの問題で片付けられる程度だろう。グラフィックだけでも相当エロい、テキストが駄目でも実用できるほどには。
一方、エロシーンにおけるテキストは、本当に酷い出来である。
特に、冴子の序盤から中盤にかけてのシーンが酷い。いきなり強姦された場面で冴子視点なのに、嫌悪感や動揺を伝える心理描写が弱い。ほとんどありきたりな台詞や状況描写だけで語られ、リアルタイムで犯されているのに冴子の思考はやけにクリアだ。
寝取られの定番を用いるタイミングも呆れたものだ。最初の強姦で、強姦魔のペニスを見つめて、「京一君のより、大きい……っ」と驚くのは、着眼点がおかしいとは思わないだろうか。
冴子の口淫シーンにおけるテキストの酷さは、口淫好きには耐え難いものがある。射精するまでのテキスト量があまりにも少なく、口淫時の台詞や喘ぎも酷くあさっりとしている。これほどつまらない口淫シーンは、リリスでは久しぶりだ。
グラフィックはとても良い仕事をしているのに、テキストはそれに相応しい水準にない。一枚絵に描かれている場面は過激なのに、テキストは淡白だから、チグハグに感じられる。もっとも、冴子が快楽にある程度染まってからは多少マシになるが、それでも序盤~中盤の酷さは大幅な減点対象だ。
エロシーンはやや肛門責め多し
本作のエロは、リリスらしく、いろいろなプレイの詰め合わせだ。ただ、どちらかといえば、肛門を使ったエロシーンが多めになっている。
アナルセックスは、冴子と志帆、どちらにもある。冴子なら、精液浣腸されたまま夜まで我慢させられ、衆人環視のなか排泄する場面もある。志帆は、実は強姦される前からアナニーをしていた少女。ということで、そもそも志帆のエロシーンはだいぶ少ないのだが、肛虐的な表現が強めになっている。
また、本作では汁描写が濃く、全身または局部が精液・愛液塗れになっている絵が目立つ。精飲では、志帆のペットボトル1本分の精液一気飲みなどがある。
冗長で無意味な三段構成
本作は、プレイヤーに少なくとも3回の周回プレイを強制する。1周目は、京一のみの視点からストーリーを追っていく。2周目は、京一の知らないところで、冴子がどう凌辱されて変わっていったかを描く。3周目になると、ようやく全てのルートが開放される。
2周目までならともかくとして、3周目の必要性については疑問がある。これは、攻略手順を煩雑にしているだけではないのか? ヒロインたちの”表”の表情をみせてから”裏”返すだけなら、この内容なら制限は2周で良かったはずだ。
本作の攻略は、とても面倒くさい。選択肢の内容が曖昧すぎて、どれを選んでいいのか分からない。その上、選んだ選択肢の正否が反映されるのは、ストーリー終盤となっている。無意味な三段構成のせいもあって、自力で攻略すると何度も同じルートを往復するハメになるだろう。
評価とコメント
シナリオが駄目駄目。正直、リリスが重厚な寝取られストーリーを作るとは期待していなかったが、まさかテキストまで酷いとは予想していなかった。攻略に関しては、お手軽がウリのブランドで、ここまで面倒な構成にする意味が分からない。
- 総合評価 115/200点
- シナリオ 10/60点
- グラフィック 65/80点
- 音声 30/40点
- システム 10/20点
エッチ内容について
作品情報
タイトル | 俺と冴子さんと寝取られメール |
ブランド | Lilith |
発売日 | 2011年10月21日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |