概要と評価 155/200(良)
本作のあらすじ
主人公(由人)はSMに強い関心があり、様々なSMグッズを密かに所持していた。由人にはマンションの隣に住む幼馴染の恋人(あやか)がいたが、彼女とはノーマルな肉体関係しか持っていなかった。
ある日、由人は、自室に隠しておいたSMグッズが誰かに荒らされていることに気づいた。そこで彼は罠を張り、犯人を見つけ出そうとする。すると、まんまと罠に引っ掛かったのは、あやかとも姉妹のように親しい由人の姉(彩華)だった。彩華にもSM性癖があることを知った由人は、あやかには内緒で、実の姉と関係を持つことになる。
感想の要旨
メロドラマ仕立てで、登場人物の行動や心の動きが極端なところはいつものNoesis。しかし、和姦SMに特化したエロシーンからは、本気でSMを描こうとする意思が伝わってくる。お互いの呼び名を鍵として、日常と非日常が切り替わるという演出は上手く機能していた。
エロシーンの属性
和姦SMに特化(独占)。ヒロインの衣装は、制服、ブルマ、ボンデージ、縄化粧。羞恥・露出系のプレイ、スパンキング、口淫(イラマチオを含む)が目立つ。アナルプレイ、浣腸、剃毛、妊娠セックス、電気責めなどもある。3Pもあり(ただし、おまけのような扱い)。
目次
- 極端な登場人物たち
- 日常と非日常の切り替わり
- エロシーンについて
- コメント
1. 極端な登場人物たち
Noesisの低価格作品の第5作は、相変わらずメロドラマ的な要素をストーリーに取り入れていた。
主人公は実姉をプレイメイト、幼馴染を恋人として、二股をかけている。しかし、プレイメイトとのセックスは浮気ではない、と本気で思い込んでいる彼には罪悪感がなく、そもそも浮気をしている自覚もない。もっとも、自分のやっていることが世間的にまずいことには気づいているので、実姉とセックスしていることは恋人にも隠しているわけだが。
実姉は、SM願望を抑えきれず弟との関係を断ち切れない。実の妹のように親しいあやかに嫉妬したりもする。あやかの方はあやかの方で心の問題を抱えており、どのルートを辿ろうと、メロドラマ的なドロドロ展開は避けられない。
出典:Noesis『ラブesエム』
2人の邪魔となるもの、たとえ身内であろうと排除すべし。
登場人物たちの行動や心の動きは、傍から見て極端に映ることが多かった。例えば、主人公と彩華がプレイメイトとなるまでの流れは、かなり唐突で強引に思えた。Noesisは、いつもながら、シリアスを書きたがるわりには自然なストーリー展開が苦手なようだ。
2. 日常と非日常の切り替わり
本作では、お互いの呼び名が日常と非日常を切り替える鍵となっている。
主人公とヒロインは、普段、恋人同士または家族としてのゆるい日常を過ごしている。その日常において、例えば主人公と彩華の場合、主人公は「由くん」と呼ばれ、彩華は「姉ちゃん」と呼ばれている。
しかし、いったん彼女が彼を「ご主人様」と呼ぶと、ゆるい日常は淫靡な非日常へと切り替わる。主人公は実姉を呼び捨てにし、彼女は彼になるべく丁寧な言葉遣いで接するようになる。こうしてよく出来た姉と出来の悪い弟の関係は逆転し、ご主人様と性奴隷の時間が始まるのだ。
出典:同上
「ご主人様」、その一言が合図となる。
この非日常において、主人公とヒロインはそれぞれの役割に徹することが暗黙の了解となっている。主人公は、ヒロインの状態に配慮しつつも徹底的に言葉責めを浴びせ、ヒロインは彼の責めに限界ぎりぎりまで耐えることが求められる。
プレイが無事終了すると、お互いの呼び名はもとの「由くん」「姉ちゃん」に戻る。先ほどまでのSMプレイは夢のように終わり、恋人や家族としての日常が戻ってくる。
このお互いの呼び名を鍵とした日常・非日常の切り替わりは、良い演出だった。それまでのゆるい関係からSとMの関係に切り替わる時の落差が大きいほど、その非日常はより淫靡なものに感じられた。
また、プレイ終了後の和んだムードは、和姦SMの良さを再認識させてくれた。SMで相手を一方的に堕とすのではなく、ハードに責めても壊れないお互いの絆を確認し、より深みにはまっていくのが和姦SMの良さだと思う。本作のエロシーンからは、その良さが十二分に伝わってきた。
3. エロシーンについて
エロシーンは、和姦SMに特化している。SMにはお互いの信頼関係が重要だ、という理念が前提としてあるので、一部のエンディングを除けば陵辱はない。
羞恥・露出系のプレイが目立つ。ローターを入れられたまま野外ランニングさせられたり、四つん這いになって校舎を連れ回されたりする。野外で放尿させられることもある。本当に危ない場合には「HELP」と言えばいいことになっているが、ヒロインは可能な限り我慢してくれるのがありがたい。
出典:同上
誰かに見られるかもしれない恐怖。
そのほか、スパンキングや口淫シーンも多い。素手で叩かれたり鞭打たれたりして、ヒロインの桃尻が真っ赤に腫れ上がっていく様子がとてもエロティックだ。喉を犯されたりしているときの、ヒロインのひたすら健気な反応も良い。
1シーンしかないが、剃毛、妊娠セックス、電気責め(電気マッサージ器)、浣腸プレイもある。ただし、浣腸プレイをする場合、事前に腸内洗浄は済ませてあるので、固形の便をたんまり排泄することはない。
エロシーンにおけるヒロインの衣装は、制服、ブルマ、ボンデージ。それ以外は、全裸を縄で縛られていることが多い。シーンによっては、首輪にリードをつけられていることもある。
4. コメント
Noesisの作品なので、シナリオにはまったく期待していなかった。珈琲貴族さんのSM画集として、いくつかハードな絵が得られればそれで良かった。
しかし、実際にやってみると、エロシーンのテキストがかなりネチネチしていて、とても好みだった。今までどおりはじめに絵ありきの作風ではなく、本気でSMを描こうとしているのが十分伝わってきた。自然なストーリー展開のためにはもう少し全体の尺が必要だったように思うが、そこを差し引いても推薦に値する作品だ。
- 総合評価 155/200点
- シナリオ 40/60点
- グラフィック 65/80点
- 音声 35/40点
- システム 15/20点
作品情報
タイトル | ラブesエム |
ブランド | Noesis |
発売日 | 2013年08月30日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |