あらすじ
エロゲー制作会社フラワーに所属する女社長・女従業員は、全員処女。彼女たちは、才能と技術力には恵まれているものの、性経験の不足から”エロい”エロゲーを作ることが出来ていない。
そんな彼女たちに対し、新入社員である前に生粋のエロゲーマーである主人公は、入社早々、異を唱える。彼にとって、『エロ』とは、ただ男と女が絡み合っていればいいものではなく、下品かつ扇情的でなければならないものだ。
エロゲーについてのこだわりを、豊富な資料とともにぶつけて真心をみせる主人公。女従業員たちはそんな彼の情熱に気圧されて、以後は彼の助言を渋々ながらも受け入れるようになる。
しかし、助言とは単なる二次情報だ。どうしても自らする経験には及ばないし、実際にやってみなければよく理解できないこともある。では、どうすればよいのか?
その答えは実にシンプルで、実際にヤッてみればいいのだ。彼女たちは過程において多少の差こそあれ、結局はその結論に至る。こうして主人公と彼女たちのエッチな”資料”作りが日々行われることになった。
総評 180/200(秀)
エロゲー業界もの。本作の完成度は、全ての項目を『優』以上とみなせるほどに高い。
しかし、本作から漂ってくる強烈で下品なにおいは、和姦や純愛といった芳香剤をどれだけ振り撒いても、完全には誤魔化せない。そのにおいに惹かれて手に取るならば良し。しかし、鼻の利かない駄犬のように貪るならば、毒にもなり得るものがある。
それは、玉ねぎのようなものだ。業界ネタ、バカップルな関係、女だらけの職場、エロゲーにかける情熱……そんな見せかけの皮を剥いてやらないと、本作の刺激的な中身は味わえない。
皮を剥いた本作の正体は、まず下品だ。そして、におう。膣や肛門から立ち昇る女のにおいはもちろん、腋から漂う汗と垢のにおいも愛せなければ、『匂い』は『臭い』となるだろう。チュパチュパと優しい音をたてながらペニスを舐めるのが『おフェラチオ』だとしたら、「じゅぼぼぉ!」「むぐっむぐっ!」「ずずずずっ!」と包茎おちんちんを貪る『口まんこ』はあまりに下品だろうか?
犬も食わぬその極上の気品をすぐにでも味わいたいなら、迷わず買うといい。変態紳士のご同輩、あなたは高貴だ。しかし、もしあなたが玉ねぎを剥くのに涙する体質ならば、以下に述べるようなことにはよくよく注意せねばならない。
シナリオ 50/60点
このシナリオは、面白くて、エロい。その面白さは登場人物の第一印象と本性の差異に起因し、そのエロさは和姦の常識を覆す下品な描写に起因する。つまり、見た目とは裏腹のギャップこそが本作を傑作、あるいは人によって駄作たらしめる最大の理由だ。
ヒロインに係るギャップについて
フラワー所属の女流クリエイターたちは、ディレクター兼女社長の寧々、原画家のきさら、グラフィッカーの伊織、シナリオライターの桃花の4人。
彼女たちは、当初、主人公の入社を歓迎していなかった。たいしたスキルもない彼に対して、自尊心の高いきさらはツンツン、無口でクールな伊織は多くを語らず中立、男嫌いの桃花はゴキブリに接するような態度をとっていた。唯一、寧々がフォローしてくれるものの、彼女は幼すぎる見た目どおり、あまり頼りにはならない。
彼女たちの態度は、主人公がアドバイザーとしての役割を与えられてからも、あまり変化しない。しかし、”資料”作りのために彼とエッチするようになると、いい意味での違和感が生じてくる。
その違和感の中身はヒロインによって異なるけれども、共通しているのは、それが第一印象とは異なる彼女たちの新たな内面をみせてくれる、ということだ。きさらについては高い自尊心の内側に秘めた?さが、桃花については男嫌いが昇華した?心が、伊織についてはクールな見た目からは想像できない??性が表出してくる。第一印象からのギャップが、彼女たちとの資料作りだけでなく、日常にすら影響を及ぼしていく過程がとても面白い。
一応のまとめ役である寧々だけは、当初からのギャップがほとんど無い。それゆえに、彼女のシナリオは他3人と比べて地味に思える。
しかし、癖の強すぎる他3人を印象づけるためには、寧々のように見た目どおりのキャラクターも必要だ。それに、彼女のシナリオは比較的地味だというだけで、決してひどい内容ではないから、〆のシナリオとして読むならむしろ手堅い、といえるかもしれない。
エロに係るギャップについて
本作のエロは、和姦でありながら下品、純愛でありながら倒錯的である。
下品なエロさは、総評でも述べたように、口淫する際の表現によく現れている。ヒロインたちの口淫は、最初こそ「チュパチュパ」「ペロペロ」と控えめだ。しかし、話が少し進めば、「じゅぼぼぉ!」「むぐっむぐっ!」「じゅずずぅぅっ!」というバキュームやディープスロートの類に発展する。
ヒロインがまだ乙女のときは、台詞に卑語をほとんど含まない初心であったが、関係が進展した後ではそれはもう過去のこと。主人公に吹き込まれた幾つかの卑語を躊躇いがちに呟くだけだった頃とは違い、そこから発展させたろう卑語の数々と、獣欲を訴える雄叫びのような喘ぎ声が、何度も叫ばれる。お口は『口まんこ』であり、肛門は『ケツ穴』であり、全身は『ザーメンタンク』であり、喘ぎ声は「あああん♥」ではなく「ほぉおお! いっぐううう♥」となるのだ。
こうしたエロ台詞の変化については、賛否両論あるところだろう。この変化を「度が過ぎる」とみるか、なお良しとみるか。どちらにせよ、変態性欲の追求とは一般的価値観からかけ離れることを本質とする以上、それが欲望を極めた形で実現されるのであれば、度が過ぎて悪いことなど何一つない。
作中で語られるところから察するに、本作の制作者は、エロゲーのエロさとは下品かつ扇情的なものと考えているようだ。ならば、その理念を作中で語るだけに留めず、作品そのものによって上手く表現しきったことは、非難ではなく評価に値するものだろう。
本作において下品なエロ台詞は、純愛物にありがちなノーマルセックスの最中のみに叫ばれるのでは勿論ない。主人公とヒロインは純愛の真っ只中にあるというのに、本格的調教物においてすら滅多にお目にかかれないような、ハードでマニアックなプレイの最中に「ほぉおお! いっぐううう♥」とオルガするのである。
具体的にどんなプレイがあるのかについては、後述のリストをみれば分かる。輪姦や複数プレイ以外のアブノーマルな性癖は、大体、網羅しているといえよう。なかでも特に、口淫・精飲、汗・臭いフェチ、拘束プレイ、羞恥プレイ、陰毛、アナル、スカトロ(塗糞・食糞以外)が好きならば幸いである。
口淫・精飲好きにとっては、ごっくんフェラが多いのはもちろん、お掃除フェラ、チンカス舐めとりフェラがあるのは嬉しいところだろう。さらに、精液をソースの代わりとしてランチにかけて食べたり、ミルクがわりにコーヒーへ入れたりするシーンもある。
また、汗・臭いフェチにとっては、ヒロインの一人である伊織が丸ごとご褒美だ。何故ならば、彼女自身が臭いフェチで精液好きだからである。彼女のエロシーンでは、例えば、何日もお風呂に入らずに、熱気ムンムンの部屋で主人公とまぐわう場面なんてものがある。
スカトロ好きならば、咽び泣きながら本作を買い占めるべきだ。下剤を投入しておむつを履かせ、営業回りをして路上で脱糞させられるエロゲーが、本作以外にいくつあるというのか。しかもその後で、肛門の処理は主人公に任されるという神展開つきで。さらに、自分で出したうんこを眼前にして、アナルセックスするというシーンもあるから、制作者は間違いなく確信している側の人間である。
その他、AVブランド『ソドム』ばりのラバースーツ(ラバーマスク&キャットスーツ)で拘束し連続イラマチオしたり、全裸にボディペイントをしてデートしたりする場面もある。こんなマニアックなプレイばかりを、和姦で純愛の本作でやってしまうのだから、ほんとうに倒錯している。本作のエロシーンを考案した人々は、絶対に頭がおかしい(褒め言葉)。
不満点について
さて、シナリオに関する批評の最後に、蛇足を語ろう。私の本作に対する印象は決して悪くないし、今までやってきた抜きゲーのなかでも最高位に位置する作品だと思っている。しかしそれでも、違和感のある展開や物足りなさは幾らかあるものなのだ。
無視できない違和感は、調子づいた主人公が、ヒロインに内緒で下剤を飲ませ、ホーム外でのスカトロプレイに持ち込もうとする場面、およびヒロインと事前の相談なくして強姦プレイをしようとする場面にある。いくら馬鹿ゲーとはいえ、これらの場面はそれまでの展開から飛躍しすぎである。エロシーンありきで何だか取ってつけたように見えて、とても萎える場面であった。
複数プレイがないことは、非常に残念だった。メインストーリーに組み込めないというなら、せめておまけだけでも……という期待は贅沢だろうか。個人的には、桃花の視覚・聴覚を奪い緊縛し、その性器が濡れている様子を、きさらが詳細にスケッチ、伊織がその場で彩色するというようなシーンを望んでいたのだが。
グラフィック 75/80点
基本CG枚数は、75枚。差分は多いものの、基本CG枚数は相場よりだいぶ少ない。
回想はすべてエロシーンで、合計58本。きさら(13)、桃花(13)、伊織(12)、寧々(12)、麗奈(2)、知子(1)、れもん(1)、みき(1)、フレナ(1)、絆(2)となっている。
一枚絵は、ヒロイン一人一人の身体の描き分けがよく出来ている。
特に、おっぱいの形や張りの違いが分かることが素晴らしい。吊って縛ったときに重力に逆らわず足れたおっぱい、ペニスを捕まえた二個の柔らかくて巨大なボール状のおっぱい、汗に濡れてツンと上へ向いた乳首が愛らしいおっぱいなど、おっぱい好きには堪らないものがあるだろう。
また、恥毛の描き込みはそれ以上に凄まじい。腋毛や陰毛が茂ったムチムチの女もいれば、最近ようやく生えたのではないかと思わしき陰毛を秘所の周りにちょこんと生やしたロリータもいる。綺麗に処理されて整った陰毛があれば、剃った部分がまた生えてきているダラしない陰毛もあるのだ。
表情もすごく良い。目隠し越しでさえ、羞恥に悶え、期待する顔が透けてみえるようだ。勝ち誇ったようなサディスティックな表情、あるいは苦痛を快楽に変換し、意識がどこか遠くへ消えているマゾヒスティックな表情――どちらもかなりスケベで、実に変態チックだ。
あえて不満をあげれば、きさらは台詞のわりに表情が大人しく感じるものが多かったか。しかし、それ以外については申し分のない出来だったと思う。
彩色は、ほんとうにいやらしくて体中が性器のようだ。特に腋の部分は、狙ってやっているのだろうか? まるで『まんこ』のように見える。汗ばんだ肌やその肌に貼りついたシャツの濡れ具合、性器からムワムワと放出される湯気など、淫靡な雰囲気がこれでもかと演出されている。
排泄されたうんちは、太くてカチカチの一本糞、水っぽいソースをかけられたような糞、おむつを茶色く染めるこんもりうんこの3種類。排泄物は、おっしこもうんちも無修正だ。
モザイクは、やや濃いめ。肛門は無修正。アナル好きも唸るであろう描き込まれた肛門を拝むことができる。
音楽・声優 35/40点
メインの声優さんの演技は、全体的にフェラが上手くて良かった。特に、きさら役と桃花役の演技は、日常・エロともに申し分ない。
姫乃きさら | サトウユキ | 藤原桃花 | 御苑生メイ |
香坂伊織 | 桜川未央 | 園野寧々 | このは |
鳳麗奈 | 高井戸雫 | 筆坂知子 | ヒマリ |
愛沢れもん | 東かりん | 此花みき | 狛乃ハルコ |
システム 20/20点
環境設定は、弄れないところが無いじゃないかというくらい、詳細に設定できる。クイックセーブ&ロード、ウィンドウ透過、スキップ継続などは当然のようにある。ESCキーでタスクトレイに収納したり、射精場所を固定選択する機能も有り。全部のエロゲーがこのくらい親切なシステムならいいのに、と思う。
エッチ内容について
作品情報
タイトル | えろげー!~Hもゲームも開発三昧~ |
ブランド | CLOCK UP |
発売日 | 2010年6月25日 / 2014年10月31日(HD) |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |
※旧版は販売終了となりましたので、HDリマスター版のほうにリンクしています。