概要と評価 160/200(優)
本作のあらすじ
PCゲーム部はエロゲーを作る部活であり、主人公以外の部員は全員女の子。活動実績の不振により、半年以内に売れるエロゲーを作れないと、解散させられてしまう。部員たちは才能はあるが、エッチの経験がないため、抜けるエロゲーを作れない。そこで、エロシーンのクオリティアップのために、主人公とヒロインが実際にエッチして取材することになった。
感想の要旨
本作は、CLOCK UPの名作『えろげー!~Hもゲームも開発三昧~』のパロディである。『えろげー!』と比べて世界観の作りこみに甘いところがあるが、この作品なりの良いところも大きい。
エロシーンの属性
包茎、完全処占。日常でもエロシーンでも、主人公が仮性包茎であることが強調されている。エロは、『えろげー!』のような変態路線ではなく、萌抜きゲーの延長線上にある。
目次
- 『えろげー!』と『放課後☆エロゲー部!』の比較
- ヒロインの差別化
- 総評
1. 『えろげー!』と『放課後☆エロゲー部!』の比較
CLOCK UPの『えろげー!』は、和姦エロゲー屈指の名作だ。当サイトにおいては、現時点で最も高い評価をキープしている。
『えろげー!』の舞台はエロゲー制作会社であり、主人公たちは次の作品をヒットさせないと路頭に迷ってしまう、というシビアな状況にあった。しかし、クリエイターであるヒロインたちには性経験がなく、エロい描写の何たるかを知らないので、主人公とエッチすることでクオリティアップを図るのだった。
「本作のあらすじ」を読んで分かるように、『放課後☆エロゲー部!』のストーリーは『えろげー!』を踏襲している。「完成間際になってからヒロインの個人的事情が原因となってトラブルが発生する」というクライマックスへの流れさえも同じだ。舞台が会社か部活かで違いはあるものの、ストーリー展開は『えろげー!』に由来する流れになっている。
では、本作は『えろげー!』のパクリにすぎないのだろうか? これは半分Yes、といったところだ。本作の設定やストーリー展開には『えろげー!』との類似点が多すぎる。
しかも、世界観の作りこみは『えろげー!』よりも甘い。『えろげー!』では、抜きゲーを作らざるを得なくなった経緯や、ヒロインと主人公が親密になっていく過程がしっかり描かれていたが、本作ではそうした描写が放棄されている。「なぜ学園でエロゲーを制作する部活が認められているのか」「なぜ全てのヒロインが主人公に好意を抱いていてセックス自由なのか」「なぜエロ描写が苦手なのにあえて抜きゲーを作るのか」といった理由付けがほとんどなされていない。
これらの事実だけを鑑みると、本作は『えろげー!』の劣化コピーにすぎないのではないか、とも思える。しかし、待ってほしい――本作には確かに『えろげー!』のパクリだと言われても仕方ないところがあるけれども、以下に述べるように、この作品にもこの作品なりの良いところがあるのだ。それは主にエロシーンに関することで、実用重視の抜きゲーとしては正しいあり方だ。
1-1. 萌抜きゲーを可能な限り濃厚にしたエロシーン
和姦ゲーであるにもかかわらず非常にマニアックだった『えろげー!』とは違い、本作のエロシーンはすべて、萌え系統の抜きゲーの延長線上にある。ラバースーツとかスカトロとか汚汁とか、そういう人を選びすぎるエロシーンはない。野外プレイやらアナル、剃毛などのソフトなアブノーマルプレイが少しある程度だ。このあたりのプレイは、最近の抜きゲーではもはやノーマルといっていいものだから、大抵のエロゲーユーザーにとっては問題ないだろう。
アブノーマルでないなら薄っぺらい萌えゲーのごときエロシーンなのか、といえば、そうではない。本作のエロシーンは、”ノーマル”でありつつも非常に濃厚なものだ。
どのエロシーンでも、「仮性包茎」という主人公の属性が執拗に強調される一方で、ヒロイン別には異なった趣向のエロシーンが用意されている。例えば、茜はサドらしく責めて、忍はマゾらしく責められるが、何らかのプレイが本格的に行われる前には、まずは包皮がずるりと剥き下げられる。包茎の皮剥きは主にヒロインの手ずから行われる。皮被りとズル剥けチンポの違いはモザイクごしにも分かるクオリティで、一枚絵の差分としてしっかり描かれるのだ。
そうして皮剥きの儀式が終われば、いよいよエロシーンの本番に突入する。エロテキストは悪くない出来だ。過剰な卑語を連発してアヘるわけでもなく、イチャイチャと甘い雰囲気のまま様々なプレイが行われる。
ほとんどのエロシーンは、一回射精しただけでは終わらない。CG差分が変化し、さらなる快楽を追求していく。例えば、黒タイツを履いたまま足コキした後は、精液塗れのタイツを脱ぎ捨て、今度はパンツを被せて再びコキ始めたりするのだ。
エロシーンが終われば、暗転して何事もなかったかのように次へ進む――ことはない。あまりに激しく交わっていたため部屋中に体液のにおいが満ちているとか、いきおいぶちまけたはいいが、その後の処理はどうしようだとか、そういう事後のやり取りまでも楽しめる。
本作のエロシーンは”ノーマル”でありながらも、同時に”フェティッシュ”だ。ターゲットとなるだろうユーザー層の我侭に対し、バランス感覚に優れている。フェチを完全に省いて、萌えゲーにも劣るエロシーンを作る愚行を犯していない。かといって、極端に性癖が偏っているわけでもない。フェチを究極に追求し続けた『えろげー!』とはまた違った方向性で、本作のエロシーンはとても実用的な内容に仕上がっている。
1-2. ハーレムルートの存在
本作には、『えろげー!』にはなかったハーレムルートが存在する。ハーレムルートは、共通以降は独立した内容になっており、その尺の長さは個別ルート1本分に匹敵する。
ただ残念なことは、ハーレムといっても3Pまでしかないということだ。全てのヒロインと組んず解れつエッチしたいという要求には応えられていない。しかし、内容自体はとても実用的で手抜きのないものだから、4P以上に強いこだわりがなければ、十分楽しめるだろう。
2. ヒロインの差別化
『えろげー!』は、ヒロインの第一印象と本性のギャップが楽しい作品だった。一方、本作のヒロインの中身は、外見から見たまんまである。とても典型的なキャラクター性を持ったヒロインばかりなので、最初の期待から大きく外れることはないだろう。
2-1. 個別ルート
個別ルートのあるヒロインは、日向子、茜、忍、やなぎの4人。理乃、澤姫には個別ルートが用意されていないが、彼女達のエピソードは、ハーレムルートに多数含まれている。ハーレムルートの前半は、実質、この二人のルートといっていいかもしれない。
個別ルートのストーリー展開はどれも似たようなものだ。だが、主人公と恋人同士になるタイミングについては違いがある。なかでも忍は、かなり早い段階で恋人同士となる。彼女のエロシーンが一番変態ちっくなので、それとのバランスを取るためだろう。
2-2. エロシーン
エロシーンは、以下のように、メインヒロインではきっちり差別化されている。
また、取材という名のエッチの目的もそれぞれ異なる。
3. 総評
はっきり言って、本作に対する私の第一印象は、あまり良くはないものだった。
システムは、機能的ではあっても激重。共通ルートにおける性急な展開と、下ネタやヲタネタばかりの日常会話がつらい。澤姫のエロゲーに関する説教は、このいい加減な世界観のなかでは浮いていた。
しかし、共通ルートを乗り切って個別に入ると、本作の良さが段々と分かってきた。それは、前に長々と述べてきた通り、エロシーンがとても作り込まれているということだ。これほど制約の多い素材で、よくここまでエロいゲームを作れたものだと感心した。
それ自体に希少価値のあるマニアックなプレイに頼れないぶん、本作のようにライトな和姦抜きゲーでエロさを演出することがどれだけの困難か。それを思えば、本作の価値というものが、どこに集約されているかは明らかだ。
ややもすれば毒にも薬にもならない駄作になりがちなカテゴリーのなかで、これだけ濃いエロシーンを大量に詰め込んだことが素晴らしいのだ。質と量の両方を兼ね揃えるエロテキスト、グラフィック、音声によって、「エロい!」というただ一点だけで評価をここまで引き上げたのが本作なのである。
- 総合評価 160/200点
- シナリオ 40/60点
- グラフィック 70/80点
- 音声 35/40点
- システム 15/20点
作品情報
タイトル | 放課後☆エロゲー部!~エロゲー制作のため女の子たちとえっちしまくりな毎日~ |
ブランド | MOONSTONE Cherry |
発売日 | 2012年3月30日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |