陸上一筋で夢に向かって頑張っていたはずの彼女は(略) 感想

陸上一筋で夢に向かって頑張っていたはずの彼女は、大学のヤリサー集団にハメられビッチへと変貌していきました。

批評・感想

陸上エリートの女子大学生、早川アスカの転落人生を描いた作品。基本CG約30枚(公称)、本編290頁(暗転抜きで260頁)の大ボリュームだ。本編以外にはテキスト無しのCG集が付属している。エロはヤク漬け状態でのセックスが基本であり、乱交、スカトロ、ファンタジーでない肉体改造(刺青、黒ギャル化、局部ピアス等)などの要素が盛り込まれている。

アスカは大切な”彼”と協力してオリンピック出場を夢見ていたが、過度のトレーニングがたたって疲労骨折してしまう。療養中、女友達に騙されて乱交パーティに参加させられると、そこでガラの悪い男たちに一服盛られる。そして意識が混濁している間に処女を奪われ、痴態画像をネタに次のパーティ参加を約束させられ……という具合に、じわじわと淫乱女に堕とされていく過程が109頁を費やして描かれている。

110頁から205頁にかけては、アスカの大事な”彼”の視点で描かれたテキストも出てくる。しかし、それ以前には全然登場しなかったせいか、”彼”がどれだけ落胆しようと寝取られた感じがしなかった。読者視点では、所詮昔の男である。寝取られ描写に期待して買うのはあまりオススメしない。

本作の見所はそこではなく、アスカの肉体的な変容にある。彼女はちょうど中盤あたりから髪を染め、イヤリングを身につけ、だらしない格好をするようになる。アスリートとして頑張っていた頃には引き締まっていた肉体は、この頃には肥えた牝のからだとなっていた。努力の痕跡である日焼け跡も、綺麗さっぱり無くなっていた。陸上部のライバルには失望され、これからも選手としてやっていけるのか? という疑念が急速に芽生える。

そこから、哀れな元陸上エリートの迷走劇がはじまる。まだ夢を諦めきれない、けれど薬もセックスも止められない女の天秤は、見る見るうちに後者のほうへと傾いていく。この141頁からラストまで続く堕落が、本作のストーリーで最も心躍る展開だったと思う。

真に失意したアスカには、もはやかつての面影もない。バッドトリップが生み出す昔の自分の幻影が、心の傷をえぐり始める。ラストは何だか良い話風にまとめていたが、見方によってはバッドエンドとも受け取れる、なかなか味のある終わり方だった。

本作は、基本CG枚数に比して話が長すぎるので、どうしても使い回しが目立ってしまう。そのため序盤から中盤にかけては正直かったるい展開だったが、アスカのイメチェン後は楽しめた。変わりきったアスカの姿を見てから過去をもう一度読み直すと、その初心さがまた唆られる。値段分の満足感はある作品だった。

作品情報

タイトル 陸上一筋で夢に向かって頑張っていたはずの彼女は、大学のヤリサー集団にハメられビッチへと変貌していきました。
ブランド 三毛蔵亭
発売日 2015年12月04日
ダウンロード販売 DLsite DMM