感想と評価 90/100(秀)
主人公の許嫁は、お金持ちで清楚で貞淑なお嬢様(心愛)。そんな彼女たっての願いにより、「結婚するまでセックスはしない」と二人は誓う。そのかわり、主人公の抑えきれない性欲は、心愛が女性器以外を使って解消してくれることになった。
“コキ”プレイ特化、というと、如何にもネタゲーらしく聞こえるのは無理なからぬことだろう。しかし侮るなかれ、これはガチだ――正真正銘の、企業同人の傑作なのだ! と、私は声を大にして叫びたい。
最近のわるきゅ~れは、下品な笑いと奇抜なエロの両方を追求する傾向にある。それで時には冷笑を買い、数多のプレイヤーの性欲を萎えさせることにもなる。が、それでも怯まず己の道を突き進むのが、わるきゅ~れというピエロなブランドである。
本作は、そんなわるきゅ~れの追求するものが、まことに良い形で結実した作品ではないだろうか。奇想天外なエロシーンを観ては噴飯し、それでいておちんちんが萎えることがない。
あんまり愉快な作品だったので、ノンストップで最後まで楽しませてもらった。もちろん抜きどころは沢山あったが、次はどんな奇抜な”コキ”で楽しませてくれるのかと、気になって仕方なかったからだ。
1. 2つのギャップの面白さ
心愛(ここあ)は、基本的に清楚なお嬢様だ。裸どころか下着姿をみせるだけでも顔が赤らむ。しかし主人公のためならと、「我慢できなくなったら、私がしてさしあげますね…」と自ら申し出てくる。
もっとも、「結婚するまでは貞操を守る」という彼女の信条自体は貫く。セックスは出来ないがそれ以外の方法でなら、という妥協の申し出である。
だが、心愛は、決して嫌々ながら主人公の性処理につき合うわけではない。”コキ”にこだわる未来の夫の変態っぷりにたじろぎつつも、愛しの彼に奉仕できることに心から歓喜する。
一方、主人公のほうは、彼女に性処理してもらうことに躊躇いを覚える。あれほど清楚な彼女に変態行為を要求するのは気が引けるだろうから、当然の反応だ。
そうした二人の気持ちのすれ違いから、
【和麿】
(心愛ちゃんがこんなに必死で抵抗するまで
嫌がっている事に気付かないなんて…。<以下略>)
と、主人公が自責の念にかられる一方で、
【心愛】
(もしかしたら、
私はもっと積極的になった方がいいのかも……)
心愛はさらに奉仕する気持ちを固めていく。
こうして、このシナリオには2つのギャップが生まれる。清楚なお嬢様が性処理に喜びを覚えるという第一のギャップと、”コキ”をめぐる二人の気持ちのすれ違いという第二のギャップである。ラブコメの面白さはギャップにあり――そう信じるならば、本作は面白さの根源を2つも抱えているのだ。これで面白くないはずがない。
本作は、低価格ソフトということで、ほとんどエロシーンの連続で構成されている。ストーリー性に関していえば、あくまでエロのおまけなのだろう。
しかし、それでもこの物語を面白いと思えるのは、本作がギャップを大切にした作品だからである。”コキ”特化というコンセプトに2つのギャップが絡みあい、エロくて愉快な物語が成立しているのだ。
2. 奇想天外なコキプレイの数々
“コキ”プレイというと、何だか地味な印象を受けるかもしれない。
実際、多くのエロゲーでは、”コキ”は前戯の一部にすぎず、メインとしては扱われない。グラフィック的にも貧弱で、せいぜいペニスを握った絵に、精液飛散の差分があるだけだ。
しかし本作では、”コキ”プレイこそがメインである。商品説明にもあるように、”コキ”と解釈できないプレイは作中にない。”コキ”ばかりだからといってマンネリ化することなく、ハプニングや奇抜なプレイで笑わせ、驚かせてくれる。
グラフィックも”コキ”に重点を置いており、動的で迫力のある差分変化を楽しめる。しごかれる男根の状態や、しごく女体の動きにここまでこだわった作品は他にないだろう。衣装もかなり豊富で、しかもその質感がとてもエロくて、そそられるものがある。
本作の”コキ”プレイは、女体のあらゆる部位を使って行われる。
手足を用いるのは当然として、腕や脚、首の関節も使う。普段関節と認識されない部位も使ってしごく。尻や胸の谷間なら予想通りだが、「え、そこで!?」と驚くような部位も”コキ”の対象だ。
時には女体ではなく、心愛の衣類”等”でしごくことも。ニーソやパンツ、ブルマでしごくという”常識的な”プレイはもちろん、気持ちいいというより痛そうな物を使うこともある。そもそも”物質でないもの”でしごくこともあり、それが商品説明にさり気なく載せられた”エアーコキ”なのだが、その正体は見てのお楽しみとしておこう。
3. コキに恋して、その後は……?(ややネタバレ)
コキに恋してコキ、コかれ……そうして二人は結ばれ、心愛の処女膜を破るべき時を迎える。
しかし待ってほしい、本作は「全編オール”コキ”プレイ」との触れ込みではなかったか? もちろん、その通りだ。では、処女膜貫通は前宣伝と矛盾するのではないか? といえば、それは違う。
バッドエンドでないエンディングは2種類あって、そのどちらでも処女膜は破られる。しかし、処女膜が破れることと、「全編オール”コキ”プレイ」は必ずしも矛盾しない。
つまり、どういうことか。さすがに具体的なことは言えないが、一つは”コキ”に特化した末の究極的なラストであり、いま一つは”コキ”にこだわってしまったが故の悲劇といえるだろう。私はどちらも楽しめたが、特に後者は、処女独占の原理主義者が壁を殴るかもしれない。マゾヒストにとっては、むしろご褒美かもしれないが。
- 総合評価 90/100点
- シナリオ 25/30点
- グラフィック 30/30点
- 音声 20/20点
- システム 15/20点
作品情報
タイトル | コキカノ ~イカせて、心愛ちゃん!~ |
ブランド | わるきゅ〜れ |
発売日 | 2011年9月30日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |