感想と評価 130/200(可)
いじめられっ子の美希は、同級生の信高と秘密の恋人関係になる。美希をいじめるグループの主犯格である種田は、信高にも累が及ぶことを示唆し、それを止めるかわりに美希の体を要求する。こうして、美希は、信高には内緒で、種田達に所構わず体を弄ばれることになった。
典型的な寝取られものとしては、悪くない出来だ。ただ、「いじめ」という題材はうまく活かされていない。題材は気にせず、単なるテンプレ作品とわりきって楽しむのが良い。強烈な性的嗜好には酔えないが、既製品のビール程度には味わえるだろう。
1. 典型的な寝取られもの
典型的な寝取られものの要点は、ちゃんと押さえられている。すなわち、寝取られなかった場合の理想的な未来が一つあり、残る全ては寝取られ、取り返しがつかなくなってからようやく愚鈍な主人公がそれを知り、絶望する。ヒロインは、いつしか主人公への想いよりも肉欲を願うようになり、彼の貧弱な肉体や手練よりも、自分を変えた男の逞しさを強く求めるようになる。本作は、まさにそうした典型に基づいており、それを少しも違えることがない。
4つある寝取られのエンディングは、どれもショッキングだ。しかしながら、いずれにも既存作品で観たことがあるような……という感がある。とはいえ、エロいものは何番煎じであろうとエロい。要はそれが話の流れにあうかどうか、描写が濃いかどうかだが、その点、本作は及第点だ。
2. エロについて
エロシーンに関していえば、これには唯一、典型的ではないかもしれないものがある。というのは、エロゲーというのは基本ナマで中出しするものだけれども、本作は避妊具着用が目立つからである。避妊具着用のエッチとナマのエッチとが対比され、それが快楽に溺れかけたヒロインの心情も表現しているのが、本作のフェティッシュな特徴だ。
ただ残念なことに、精液の溜まったコンドームをあれこれする工夫は見られない。フェチなものはフェチを追求してこそ素晴らしいと思う当方としては、この扱いには詰めの甘さを感じる。
アナル、SM、スカトロなど、様々な種別のプレイについては、一通りある。ハードな凌辱作品のように猟奇的ではなく、しかしソフトでもなく、その中間くらいの過激さだ。そして、何か特定のプレイに特化しているということはない。強いていえば、先に述べたとおり避妊具着用にこだわっている、くらいだろう。
エロに着目した場合に私が気に入っているのは、ヒロイン達のむっちりした体のエロさだ。本作の一枚絵は「上手い」とはいえないが、「エロい」とはいえると思う。
奇形は、それ自体褒められたものだとは思わないが、下品なエロさにはよく調和する。突き上げられた足の裏、テープできつく縛られた脂肪のある肉体、性器のように陥没した腋から生えた体毛、だらしないアヘ顔などからは、品のない絵ならではのエロさを感じる。
3. 特徴を活かせない、やや破綻した構造
本作は「いじめ」を題材にしているにもかかわらず、いじめられている感が弱い。「いじめ」の陰湿さは凌辱的なエロシーンによく馴染むと思われる。しかし、本作のエロシーンはどれも普通の陵辱物の典型に当てはめたものでしかない。
ヒロインの気が強く、思いやりのある性格も災いしている。彼氏がいじめの標的にならないよう体を差し出すというのでは、夫の不正が明るみに出ないよう体を差し出す人妻物と大差ない。それでは、寝取られ系の他作品との違いが見えにくくなる。
また、本作のストーリーは4つに分岐する。序盤でパラレルに枝分かれするのではなく、一本道が脇道にそれていく形で分かれる(攻略記事参照)。種田ルートまでは「いじめ」中心で展開されるが、それ以降の分岐だと、「いじめ」との関係性は薄くなる。いじめをしていたグループが、ストーリーにほとんど絡まなくなるからだ。
分岐点における「売春」や「担任への奉仕」を行う動機には、かなり無理やりな感じがある。いかにも、こじつけがましい。しかも、先に述べたように、これらの分岐ルートは「いじめ」との関係性が薄い。
「いじめ」という題材と物語の構造に着目するなら、これは潔くない作りである。もっと一貫性のある話にしてほしいものだ。
コメント
題材を活かしきれば、あるいは良作と評価できたかもしれない。ヒロインの声は関西弁らしいが、私は関西出身ではないので、方言としてどうかは分からない。
- 総合評価 130/200点
- シナリオ 25/60点
- グラフィック 60/80点
- 音声 30/40点
- システム 15/20点
エッチ内容について
作品情報
タイトル | NTR彼女はいじめられっ娘 |
ブランド | アニム |
発売日 | 2011年12月16日 |
ダウンロード販売 | DLsite DMM |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |