レビュー
女騎士が主人公のソロRPG(VX Ace作品)。20日間という限られた期間内に反乱軍を組織し、自国を敵国の支配から取り戻すのがゲームの目的だ。
エロシーンは、陵辱が主。露出プレイ、肉便器、輪姦・乱交、モンスターとの異種姦、化け物の妊娠・出産、コスプレHなどがある。世界観はいちおうハイファンタジーだが、電マやスクール水着が登場する程度には曖昧だ。
体験版をプレイして気に入ったのであれば、製品版の内容に大きく失望することはないと思う。しかしながら、本作は、ストレスレスにクリアできるとはいかない作品だ。
ダンジョンと金策
ダンジョンは、(ポジティヴに解釈すれば)迷わずさくさく進める構造だ。謎解きなどは一切ない。敵との遭遇は、シンボルエンカウント。ボス戦以外は、たとえ戦っても一回の「逃げる」指示で逃げ切れるようだ。
初期レベル、初期装備のままダンジョンに入ると、雑魚のいやな強さに驚く。本作には宿屋がなく、自室で休むと回復するかわりに一日を消費する。ゲーム期間が20日しかないので、体力回復のために日数を費やすのは心理的抵抗があるだろう(実際にはある程度休んでも大丈夫だが)。そのため消耗品で済ませようと考えるが、回復アイテム類の貧乏人には買えない値段を知って泣きそうになる。
出典:鳥居姫「聖騎士レイラ ~体を使って反乱軍結成っ!?~」
この金額を稼ぐには、イエロースライムを約230匹ほど狩る必要がある。大金だ。
しかし、もちろんそうした点は、しっかり探せば対策があることに気づく。端折って言えば、金は春を売って稼ぐか、どこかの宝物庫から盗めばいいと分かるわけだ。装備で強さがだいぶ変わるので、その時点での最強装備さえ手に入れれば、雑魚などジェノサイドの対象でしかなくなる。
戦闘
主人公レイラが扱えるスキルは、魔法と特技に分かれる。魔法は回復・補助的なものが多く、特技は攻撃・防御的なものが多い。また、魔法はMPを消費して唱えるが、特技はTPを消費する。
TPは、敵に攻撃したり攻撃されたりしたときにたまるが、次の戦闘にそのまま持ち越すことはできない。戦闘するたびに、ほとんどたまっていない状態から再びためていく必要がある。TPがMAXで100なのに対し、有用な特技は平気で50とか60を消費するので、特技の乱発はできない。そのため、基本的な攻撃手段は、スキルではなく通常攻撃となる。
出典:同上
実は雑魚戦では、ゲームパッドで「Z」を連射するのが一番能率の良い戦闘方法。
その上、特技は、攻撃技よりもむしろ防御技のほうが優秀なので、燃費が最悪な攻撃技はボス戦ではあまり出番がない。特技で「カウンター」か「受け流し」を構えて、魔法で回復し、物理でひた殴るのが本作の戦闘だ。こうした戦闘は、絵的にもダメージ的にも地味で、戦闘が作業的に感じる要因になっていると思う。
装備さえあれば戦闘は楽勝で、一度目のハッピーエンディングを迎えるのには、レベルが15~20もあれば十分だ。ただ、一度クリアした後に行けるラストダンジョンでは一気に難度が跳ね上がる。ラストダンジョンの攻略にかかる時間は、それまでのダンジョン攻略にかかった全時間を上回るくらいなので、攻略するのには骨が折れた(8割方の時間はレベリングに費やしたが)。
自力で攻略した場合にあり得る悲劇
本作を自力で攻略した場合、ゲーム進行の面倒さには少なからずストレスを感じるだろう。本作は、今時のユーザーフレンドリーなRPGと比べて、イベントの発生条件・地点が把握しにくい。どこで誰に何をすればイベントが発生するのか、という案内が必ずしも用意されていないからだ。まるでSFC以前のRPGのように、イベント発生のために街中をくまなく探しまわる必要がある。
出典:同上
一度失った信用は取り戻せない。
また、イベントを発生させても、ハッピーエンディングを観るために必要な「支持」の獲得には失敗することがある。そして、一度失敗したイベントはやり直すことができない。「支持」の必要数は非常にシビアなので、イベントの失敗はすなわちバッドエンディングへの直行を意味する。
しかし、バッドエンディングが確定したとしても、その時点ではエンディングを迎えないのが本作のいやらしいところだ。最初の数日間でハッピーエンディングの条件を外しても、ゲームは最終日まで何事もなかったかのように進行する。そのとき日誌を読むと、どうやらまだ必要な「支持」を集めきれていないことが分かる。
出典:同上
もう少しだけ頑張れば、きっと国を解放できる!……そう思っていた時期もあった。
そこで、まだ達成していないイベントを探して、プレイヤーは街中を探しまわることになるだろう。だが、そんなイベントはなかなか見つからない。見つかったところで、状況は変わらない。つまり、これはもうすでに詰んでいる状況なのだが、本作はその事実をプレイヤーに伝えないまま放置する。
たいていの人は、まさかエンディング間際まで来て、現在の状況が詰んでいるとは思わない――いや、思いたくないのだ。だから、突破口を求めて世界中くまなく探しまわるが、そこには夢も希望もないことをついに発見し、ようやく「もしかして……」と考えるようになる。それから事実を事実として把握したプレイヤーは、これまでの探索がすべて無駄だったことを悟るのだ。
出典:同上
さっさと諦めたほうが楽になれる。
バッドエンディングで悔しがっている女騎士は、まさに自らの分身だった。しばらく後にタイトル画面へと戻り、さらに何の引継ぎ要素もないことを知る。プレイヤーに残された選択肢は2つであり、1つは悔し涙を流しながら「ニューゲーム」をはじめること――もう1つは、ゲームをシャットダウンして二度と起動しないことだ。
総評
本作をプレイする直前にやったのがバグゲーだったこともあり、イライラさせる不具合がないだけでも好感が持てた。そういう個人的事情を抜きにしても、実際、本作は丁寧に作られた作品ではあるのだ。マルチエンディングを採用しており、価格以上にボリュームがあり、エロシーンには手を抜いている感じがしない。
しかし、残念なことに、本作からはゲームプレイのストレスに対する配慮が感じられない。うまく説明するのは難しいが……例えば、私は、敵が強いから倒すのに時間がかかるのは許せても、攻撃手段が限られているために時間がかかるのは許容できない。また、難しい謎を解くのに時間を注ぎ込むのは楽しくても、手がかりが不十分であるために探し回らされるのは面白くない。
要は、いたずらに時間を浪費させられている感覚が気に入らないのだ。夢中になれるなら何時間でも使えるが、単なる作業だと感じることには1分も使いたくない。本作の場合は確かに楽しめる部分もあったが、徒労に感じることも多かった。
作品情報
タイトル | 聖騎士レイラ ~体を使って反乱軍結成っ!?~ |
ブランド | 鳥居姫 |
発売日 | 2013年7月11日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |