※この記事は、制作サークル様からのレビュー依頼を受け、執筆しました。
レビュー
独ソ戦をモチーフにした戦術SLG。ストーリーは戦史になぞらえて進んでいくが、必ずしも史実通りではない。ドSの女将校エデルガルトとフローラが指揮するドイツ軍を率いて、欧州の東から赤軍を放逐することが目的だ。
『ばるばろっさ!』は戦史をベースにしているが、話の中に軍事関係のウンチクはほとんど出てこない。その手のウンチクはおまけ扱いで隔離されており、ストーリーは軍服美少女と共産主義ウサギによるブラックコメディのようなものだった。戦争の悲惨さだとか、ファシズムや共産主義がどうとかいう真面目な話とはあまり関係がない。ただちょっと、ウォッカ好きでアル中なソ連兵女子たちを捕まえて調教し、かつての同志たちと戦わせるという捕虜虐待が普通に行われるだけだから、何も問題はないだろう。
出典:日本戦争ゲーム開発『ばるばろっさ! ~すすめ? 赤軍少女旅団~』
衣食住が整っているなら、調教される程度はマシと言わざるを得ない。
『ばるばろっさ!』は、気前が良いことに、エロシーンと一部イベント、戦闘におけるユニークユニットはCVつきだ。エロシーンはSM、輪姦、電気責めなどハードプレイが目立つが、ユルい作風ゆえにあまり凌辱的には見えない。正直実用性は高くないと思うが、本作のメインはあくまで戦術SLGなので、エロシーンは添え物程度に思ったほうがいい。
出典:同上
調教済みの捕虜は装備品扱いで、装備したユニットの代わりに戦わせることができる。
『ばるばろっさ!』の戦闘難易度は5段階に変更可能で、私は初回、2番目に難しい「タクティク」でプレイした(難易度は、エキスパート>タクティク>アサルト>ビギナー>チートの順)。クリア後の制作者コメントによると、「タクティク」と「ビギナー」では別ゲーと言っていいくらい差があるそうだ。
結論からいって、この難度における本作のゲームバランスは絶妙だった。
バルバロッサ作戦(対ソ侵攻作戦)が発動されてしばらくの間は楽勝なのだが、特別な勝利条件を満たそうとするとゴリ押しは効かない。モスクワ攻略戦あたりから雲行きが怪しくなり、スターリングラード攻防戦では地獄の市街地戦に苦しめられた。全6兵種のユニットを効率よく運用していかないと、特別な勝利どころか、マップクリアすら難しくなる。
出典:同上
共産主義ウサギが、ソ連兵の肉壁でドイツ軍の行く手を阻む。
『ばるばろっさ!』の戦術SLGとしての特色は、「ステルス」というパラメータの存在だ。ステルスの値が高いユニットは敵から発見されにくくなる一方、ステルス値が0になると、敵から丸見えになり攻撃が回避不能となる。ステルス値は、ユニットが攻撃するか攻撃されるたびに減ってゆき、(敵に発見されていない状態で)何もせず待機するか、あるいは森や市街地に陣取ると増加する。自軍ユニットのステルスをいかに確保しつつ、敵軍のステルスを削っていくかということが、本作の戦闘では重要な問題となっている。
出典:同上
狙撃狙いのユニットにとって、ステルスは生命線だ。
エデルガルトらのユニークユニットは最初から戦場に配置されるが、汎用ユニットはSPを消費して投入する。兵種は、ライフル銃兵、突撃兵、斥候、戦車兵、対戦車砲兵、支援砲兵の6種だ。マップクリアごとに支給されるヴルスト(お金)を使って、各兵種の装備を強化できる。その強化具合によって強さは大分違ってくるが、特定の兵種が特別優れているということはない。しかも、ある兵種を投入するごとに、その兵種の投入コストが増加していく仕様なので、特定の兵種にばかり頼っているとまず勝てない。
出典:同上
派兵に消費する基本SPの量は、兵種によって異なる。
このように、本作の戦闘システムはよく練り上げられている。敵ユニットは基本的にアホだが、「赤軍だし仕方ないね」とも言える。ドイツ軍の猛攻を肉の壁で受け止めている連中だ。むしろ無能だからこそ勝ち目があるのであり、高難度で赤軍が賢かったら絶対勝てない。
『ばるばろっさ!』は、適度に歯ごたえのある戦術SLGで遊びたい方にオススメの作品だ。一周目は大体10~15時間程度で終わり、クリア後のボーナスもある。体験版のデータは製品版に引き継げるので、興味があれば試しにプレイしてみるといい。
作品情報
タイトル | ばるばろっさ! ~すすめ? 赤軍少女旅団~ |
ブランド | 日本戦争ゲーム開発 |
発売日 | 2015年12月31日 |
ダウンロード販売 | DLsite |