カーラ The Blood Lord 感想

カーラ The Blood Lord

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概要と評価 120/200(可)

本作のあらすじ
人間と吸血鬼が協定を結び、吸血鬼が大っぴらには人間の生き血を啜れなくなった世界。この協定に反発する吸血鬼グラムは、吸血鬼の血液と人身の売買を行なっていた。吸血鬼の女王カーラが仲間とともにグラムを一度は討伐するも、彼はしぶとく生きていた。カーラとその仲間が、友人(北絵)の運営する術者育成学校『隼人学園』にやってくると、グラムはこの好機に、カーラを自分の傀儡にしてしまおうと試みる。

感想の要旨
キャッチーな要素をあれもこれもと詰め込む一方で、要素間の調和がおざなりになっている。結果、個々の要素から魅力を引き出せず、プロットをきちんとまとめきれていない。一枚絵の突出した魅力のおかげで、辛うじて実用性が確保されているようだ。

エロシーンの属性
いつもどおりのハードプレイの詰め合わせ。アナル、口淫、輪姦、精液まみれの状態が目立つ。とてもソフトだが肉体改造の要素もある。エロシーンのハードさは、監獄や対魔忍シリーズと比べると、ややヌルめな印象だ。

目次

  1. 狙いすぎて破綻したプロット
  2. エロシーン
  3. 総評

1. 狙いすぎて破綻したプロット

本作をプレイして最初に目にした背景は、どう見ても夜の公園であった。人気のない公園(テキストでは広場)に、銀髪の美女が佇んでいる。彼女に忍び寄る吸血鬼グラムによれば、彼女こそは吸血鬼の女王カーラ。女王なのに、寂れた広場で初登場とは、ずいぶんと三下的である。

カーラの言動から、実はグラムが彼女の伯父であると分かる。
カーラとグラムは敵対関係にあるらしく、いきなり1対30の戦いがはじまっ
たかと思いきや、次々と登場するカーラの仲間たち、そして超能力バトルへ――
グラムの部下はバタバタと倒されてゆき、
残ったグラムも倒され、完全に滅され
たかと思ったら実は生きていて、何かの計画が仄めかされて、
唐突に人間と吸血鬼の長きに渡る関係が解説されはじめ
たかと思ったらそれは回想への前振りで、グラムとカーラの因縁が描かれ
たかと思ったら、何故か女王様が吸血鬼禁制の学園にいて、
理事長の思いつきで臨時の女教師になっていました

――というのが本作の壮大にして卑小なプロローグだ。

1-1. 無駄に多い裏付けのない設定

ただの始まりにすぎない段階で、これほど大量の設定情報を次々と流されて、オーバーフローせずに内容を把握できたプレイヤーは、どのくらいいたか? 私の場合、最初の戦闘が終わったあたりでもう投げたくなってきた。

このシナリオは、最初から無駄に情報を詰め込みすぎなのだ。ただでさえ状況を把握しにくい戦闘シーンからはじまって、最強クラスのヒロインがいっせいに登場してしまう。そして全員の人物像を把握しきれない間に、また次々と情報を付け足されたら、ストーリーを楽しむ前に、情報を整理する作業を強いられることになる。

また、後にも言及するが、学園という舞台を設定することには必然性がない。カーラやグラムが吸血鬼であるという設定も活かされてはいない。人間と吸血鬼がなぜ協定を結んだかについては、説得力のある説明がない。……他にもまだまだつっこむことは出来るが、要するに、このシナリオは、キャッチーな設定だけは無駄に抱え込んでいるくせに、その設定の裏付けが甘いものだから、中身がスカスカで、つまらないのである。

1-2. ヒロインごとのエロシーンの欠乏

本作には、ヒロインが4人もいる。この事実だけで嫌な予感がするが、ヒロイン3人でも良作たりえた『発情エクソシスト!』の例もあることだし、あの作品よりも値段が高い本作ならば、ぎりぎり捌けないこともないだろう

――という目論見がご破算となるのは、あの酷いプロローグを読んだ直後に悟ったことだった。そんなぎりぎりのバランス感覚の良さが本作に見い出せるはずもないのだ。

ヒロインを多数揃えることには、様々な属性需要に応えやすいという利点があるが、それは一人あたりの平均シーン数とトレードオフの関係にある。そのことに関しては、購入前から覚悟しておく必要があるだろう。しかし私がここで問題にしているのは、そんな当たり前のことだけではないのだ。

本作は、ただでさえ低価格でシーン数に余裕がないのに、個別のエロシーン数の内訳が、カーラ9、マリカ4、東7、北絵4となっている。この割り当て方では、どのヒロインのエロも切り捨てないかわりに、すべてのヒロインのエロシーンが量的に貧しくなってしまう。

わるきゅ~れの『プレイ!プレイ!プレイ!』シリーズのようなやり捨て前提ならまだしも、凌辱調教もので”量”を用意できないのはクリティカルな失敗だ。よほどテキストが良質でないかぎりは、ヒロインの堕ちていく過程が十分に味わえない。

さらに悪いことに、本作の調教過程はワンパターンだ。似たような罠にはめて蟲の支配下に置き、濃縮媚薬でアヘらせて堕とす。4人ともが、この下らない仕掛けで堕ちる。

ヒロインが複数いることで当然要求されるはずの、複数プレイもほぼない。回想上は2本あるが、一方をそうみなせるかは見解の分かれそうなところだ。

1-3. 何のための学園設定か?

あのプロローグをみて、プレイヤーは学園が本作の舞台となることが自然だと考えられるだろうか。近頃のLiLiTH作品では、対魔忍シリーズでも対魔忍養成学校が出てきたが、ああいうのはスピンオフだからこそ許される設定だ。完全に新規の作品で、初登場の吸血鬼の女王が学園の教師になるなんて、そんな馬鹿げた設定がすんなり受け入れられるわけがない。

無理矢理に学園設定をこじつけたくらいだから、この舞台が本作のエロシーンでどのように活かされるのか、見物である。ストーリー展開上は不調和な舞台設定なのだから、せめてエロシーンには役立ってもらわないと意義がなくなってしまう。

しかし本作において学園という舞台が活用されるのは、表面的な部分だけだ。教室、体育館、プールなどで、カーラとその仲間たちが犯される。調教用のスタジオみたいなものだ。

オプションで学園の関係者(生徒達など)も動員できるが、日常において彼らとカーラ達の触れ合いが十分に描かれていないので、企画AVの生徒による教師輪姦と同じくらい背徳感がない。

こんな内容ならば、舞台は別に学園でなくても良かったではないか。吸血鬼の女王を描くなら、もっと相応しい舞台はいくらでもあるはずだ。そこを捻じ曲げて学園ものにしたせいで、こんなにも滑稽な代物になってしまったのだ。

2. エロシーン

ここでは、最も需要があるだろうエロシーンの話をする。いつもどおりのハードプレイの詰め合わせだが、今回はアナル、口淫、輪姦のシーンが比較的充実している。ソフトではあるが肉体改造もされる。グラフィカルな表現では、体液表現にこだわりがあるようだ。

2-1. アナル

アナルが充実といっても、アナルオンリーなプレイがたくさんあるわけではない。純粋なアナル責めは2本で、他は両穴責めの類である。例えば尻穴を指で穿られながら犯されたり、輪姦で両穴を責められたりする。

ただ一枚絵をみてみると、アナルの映える絵が目立つ。通常は隠れがちな尻穴の部分までばっちり見えるか、あるいは一種のチラリズムを感じさせる絵が多いので、とにかくアナル系の絵が欲しいひとにはおすすめできる”CG集”だ。

2-2. 口淫

輪姦時に口を犯されるのも口淫に含めるなら、口淫シーンもけっこうある。基本CG45枚中9枚は、口淫を描いている。お掃除フェラシーンのために一枚絵が割かれることもある。

2-3. 輪姦

輪姦では、ヒロインが犯され続けたあげくに精液まみれになる場合が多い。ただ、その「犯され続けた」過程はかなり薄っぺらい。犯し始めてから少し経過した時点で暗転し、精液まみれの”事後”が描かれるという微妙な演出が目立つ。ヒロインが多数の男に代わる代わる犯される様を、じっくり時間をかけて観察したい方にはおすすめしない。

2-4. 肉体改造

LiLiTH作品の定番として、まず全身が快楽に敏感になるのは共通。ヒロイン個別には、蟲の効果によって以下のように改造されてしまう。

カーラ:クリトリスの肥大化
東:陥没乳首の勃起および肥大化
北絵:母乳が出る

肥大化といっても、そう極端に大きくなるわけではなく、せいぜい女性の指くらいのサイズに肥大化するだけだから、『女体狂乱』のように過激な改造は苦手という方でも大丈夫だろう。

カーラについては陰核を、東は乳首を、それぞれ執拗に責められる。こうして弱い部分を徹底的に苛めてやろう、という方向性が定まっているのは、実に良いことだ。この点に関しては、素直に賞賛したいと思う。ただ、北絵に関しては、母乳が出るようになってからのエロシーンが少ないのが残念だが。

2-5. 体液表現

本作のビジュアルで最も印象的だったのは、体液の表現のエロさだ。

蟲や媚薬の効果で快楽の増幅されたヒロインの股間をみると、なかから溢れ出した大量の愛液が、タイツやパンツに濃い染みを作っているのが分かる。タイツやパンツの生地は薄っぺらなものではなくて、かといって色気を失うほど分厚くないという絶妙な質感だ。

動画では、愛液や精液の滴りが丁寧に描かれている。体の動きにはぎこちなさがあるものの、こういう細いエロ描写があることには好感が持てる。

輪姦されたヒロインは、鼻からも精液を垂れ流してぐったりしている。好みは分かれそうだが、疲れきってだらしない感じがよく出ていて良い。

3. 総評

音声付CG集としては価値のある作品だった。評価を下げた原因の大半は、シナリオにある。本作は、「キャッチーな要素ばかり追い求めて、要素間の調和を軽視したシナリオは、どのくらい酷いものになるのか」の好例として、当サイトでは今後、度々引き合いに出すかもしれない。

  • 総合評価 120/200点
  • シナリオ 10/60点
  • グラフィック 70/80点
  • 音声 30/40点
  • システム 10/20点

作品情報

CGと声優の詳細
CG・エロシーン
原画 カガミ
CG枚数 45枚
エロシーン数

26本+動画5本

内訳

カーラ 9/マリカ 4/東 7
北絵 4/カーラ&マリカ 1/全員 1

アナル修正 肛門無修正
声優リスト
カーラ ももぞの薫 マリカ 御苑生メイ
中野志乃 北絵 雨津さえ
タイトル カーラ The Blood Lord
ブランド Lilith
発売日 2012年05月25日
ダウンロード販売 DLsite DMM
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