概要と評価
作品のあらすじ
勇者オウラは、魔王城だと勘違いして侵入した城で、淫魔のティーナと出会った。ティーナは勇者を籠絡しようとするが、逆に手籠めにされてしまう。勇者の精がティーナのなかに注がれたとき、古城にあった謎の兵器が暴走。オウラは、後に勇者砲と呼ばれるこの兵器を用いて、魔王軍と戦うことを決意する。
感想の要旨
多少は楽しめる要素があるものの、全般的に完成度の高くない作品。ストーリーの出来は決して良くはないが、終始つまらないという程でもない。拠点防衛ゲームとして最初は楽しめるが、プレイヤーがゲームに慣れるにつれて底の浅さが露呈してくる。
エロシーンの属性
処女とのノーマルなセックスが多い。羞恥プレイ、アナル責め、拘束セックスも一応ある。ハーレムはあるが、淫魔たちとの乱交を除けば、CG上は3P止まり。
目次
- 正義の味方ではない色情魔がヤりたい放題する話
- 最初は面白い拠点防衛ゲーム
- コメント
1. 正義の味方ではない色情魔がヤりたい放題する話
出典:ソフトハウスキャラ『その古城に勇者砲あり!』
勇者の卓越したセックススキルなら、淫魔でさえこの通り。
勇者オウラは、ひどい色情魔だ。彼が勇者になった理由は、女にモテてヤり放題だから。勇者砲の動力源が女とセックスしたときに発生するマナであったことは、彼にとって幸運だ。なにせそれを言い訳にして、捕虜にした魔王軍の女の子たちを犯しまくることができるのだから。冷静に考えれば、別に捕虜とセックスせずとも、既存のヒロイン達とセックスしていればいいわけだが、誰もそこを深くは追求してこない。
勇者が偶然発見した勇者砲は、敵の拠点を数発で更地に変えられる大量破壊兵器だ。勇者一行は、そんな代物を特に躊躇いもなくぶっ放す。魔王軍が具体的にどんな悪さを働いているのか、まともな描写がないので、勇者一行のほうがより邪悪な存在ではないかと私には思えた。
ストーリーの基本的な雰囲気は、ずっとユルかった。魔王軍とは戦争中だが、あまりシリアスに陥ったりはしない。敵の拠点を見つけては勇者砲をぶちこみ、捕虜にした処女を犯し、勇者一行というハーレムに加えていく。女たちは勇者に数度抱かれるだけで打ち解け、嬉々として昨日までの友軍を屠っていく。そんなふうにして辿り着いたハーレムルートのエンディングは酷い内容だったが、勇者一行と王国の性格を考えると、なるべくしてなった結末なのかもしれない。
出典:同上
セックスさえしてくれるなら、敵対していたことなどどうでもいいのだ。
で、結局のところ、本作のストーリーは面白いのかというと、プロローグのひどいテキストに耐えられるなら、そこそこ楽しめるのではないかと思う。
私は、本作の予約締め切りの都合上、体験版をやらずに購入してしまい、あのプロローグをみて一時はとても後悔した。地の文でツンデレ幼馴染の罵詈雑言をそのまま回想したり、括弧つきの独白で状況を説明し出したりするテキスト演出には寒気がした。このレベルのテキストを読まされると分かっていれば、決して購入しなかったに違いない。
しかし、ストーリーが本章に入ってからは、プロローグほど酷くは感じなかった。本章は「捕虜をげっと→犯す→仲間になる」を繰り返すだけの、エロ萌えメインの展開になる。
出典:同上
汗がヌルヌルで滑りが良いシェルフさん。
本作のエロシーンは普通のセックスが大半であり、作画が不安定で統一感がなく、差分の変化も貧しい。しかし、シーンの長さは確保されており、ヒロインの性格や特徴を活かそうとする工夫もある。例えば、他のヒロインが次々と勇者と仲良くなっていくなか、少しでもその差を埋めようと、エロい方向に暴走する幼馴染とか。汗がローションのような特性を持つ水妖とのヌルヌルセックスとか、寡黙なヒロインが子宮快楽に目覚めてあんあん喘ぐようになるギャップなど。
それらは実用性という点では物足りなかったものの、個々のエピソードとしてはまあまあ面白かった。本作はあくまで拠点防衛がメインのゲームで、ストーリーなどおまけだ、という認識のもとでなら、ぎりぎりで妥協できるシナリオだ。
2. 最初は面白い拠点防衛ゲーム
1周目で牙の砦を攻略するあたりまでは、『その古城に勇者砲あり!』の面白さを充分に味わうことができるのではないかと思う。ユニットは次々と新しいスキルを覚えてゆき、新しい建造物が作れるようになり、勇者拠点の古城も拡張されていく。ユニットの最適な配置と育て方を真面目に考えていられる間は、この拠点防衛ゲームは確かに面白い。
出典:同上
勇者が守る魔力炉を破壊されないように、敵の進行を食い止めよう。
しかしその後、自分なりの最適解を見つけると、拠点防衛の面白さは急速に色褪せていく。何故なら、本作のゲーム性はワンパターンだからだ。雇用ユニットはLv.10という序盤の時点でスキルが一通り揃い、古城は2度目の拡張を終えたあたりで、有用な建設物が出揃う。こうなると、最適な配置を発見するのは時間の問題であり、だからこそ敵の行動パターンや舞台などに目立った変化が求められるのだが、本作にそうした変化はほぼ無いと言っていい。
中盤から終盤にかけての難易度調整は、敵AIや舞台の変化、あるいは新ギミックの追加ではなく、主に敵ユニットの大幅な能力向上によって行われる。一応敵がジャンプしてきたりするようにもなるが、それはこちらの戦術に大きな変革を促すものではない。敵の能力向上が原因で勝てないのであれば、こちらもレベルを上げてからより強く殴るだけだ。そこで必要となるのは戦術的変化ではなく、レベル上げの高効率化である。
このことに気づいた時点で、面白かった拠点防衛は、ただのレベリング作業に変わる。戦術そっちのけで、レベリングをいかに効率良く行うかを考察するゲームだ。その考察にも飽いてしまったら、拠点防衛ゲームとしての本作を楽しめる要素などどこにもない。
出典:同上
せめてタイルではなく、リスト表示に変更させてほしい。
また、本作では最終的に100体を超えるユニットを扱うが、UIはその管理を能率的に行えるようには出来ていない。装備やスキルの着脱、ユニットの再配置などにかかる手間がストレスになる。もっと簡略化された手順で行えればいいのに、と、ユニットの引退引き継ぎを行っている頃にはずっと思っていた。
『その古城に勇者砲あり!』は、最初こそ楽しめるが、底が浅いゲーム性ゆえに、長くは楽しめない作品だ。それで周回前提のゲームバランスを採用していることが大変拙い。せめて一周するだけでサクッとコンプリートできる内容だったなら、と思う。
3. コメント
楽しめた部分も確かにあったが、定価に見合った内容かというと首肯しかねる。正直、ゲームとしては同じジャンルのモバイルゲームでもやったほうが安価でしかも楽しく、エロさは抜きゲーに及ばない。続編を期待する価値のない作品だと思う。
作品情報
タイトル | その古城に勇者砲あり! |
ブランド | ソフトハウスキャラ |
発売日 | 2015年12月18日 |
ダウンロード販売 | DLsite |
パッケージ通販 | Amazon 駿河屋 |