選択肢は一箇所しかないので、攻略記事は作成していません。
あらすじ
辺境の村で静かな日々を送っていたエルフの親子。セイルの義理の息子であるリアンは、ある日、山で傷つき倒れていた謎の少女を拾う。
その少女は名をレヴィアルといい、喉が潰れているため、筆談でしか会話することができない。リアンとレヴィアルはすぐに仲良くなり、「息子を盗られた!」と思い込んだセイルは、気が気でない様子。しかし内心ではそれほど彼女を嫌っているわけでもなく、新しく加わった家族とともに、今後は楽しく愉快な日々を送っていく――かのように思われたが、何者かに村人が殺される事件が起きたことで、彼らの平穏は一転する。
村人殺害の嫌疑をかけられ、理不尽な責めを受けるセイルとリアン。村に訪れた人買いは、セイルを攫っていく際、重傷で地べたに転がっているリアンにこう囁いた。「おかあさんに会いたくなったら、『逢魔刻』までおいでなさい」――こうして、リアンはレヴィアルとともに、セイルを取り戻すための旅に出ることになった。
総評 50/100(可)
いちおう、エルフ調教もの。本作を購入したことは、本来、私の購入予定にはなかった。だが、先に入手した次作『ヴィザルの日記』の商品説明を読むに、本作と次作の世界観は密接な関係にあるようだ。そこで、次作の理解を深めるために本作を購入し、次作よりも先にプレイすることにした。
本作は、全体的な完成度からすると、他人に積極的に薦められるレベルの作品ではない。一枚絵や音声、システムについては、企業同人作品でないことを考慮しても、ひどく残念な出来だった。
しかし、ストーリーそれ自体は面白い。プロットやテキストは控えめに言っても荒削りだが、一部の台詞回しや感情表現、演出などにはセンスを感じる。世界観の作り込みも浅くなく、同人としては大変良い内容であった。
シナリオ 20/30点
本作のストーリーを端的に示すと、それは黒に染まる物語だといえるだろう。
少年は、それまでの幸せだった日常を、ある日突然に失ってしまう。けれども、全てを失ったはずの少年には、全てを失った後に残された唯一の手掛かりがあった――あの人買いが言うとおり、『逢魔刻』へ行けば、一番大切なものを取り戻せるかもしれないのだ。
少年は、母親を取り戻すために、どこにあるとも知れない『逢魔刻』を探す旅に出る。亜人である彼にとって、人間が支配する外の世界は、何かと生きづらい場所だ。その上、彼は今やお尋ね者の身である。それはもちろん濡れ衣ではあったが、悪党として生きる理由には十分だった。
純粋無垢な少年は、最愛のモノを取り戻すために、悪に身を染めなければならない。少年に付き添う少女は、彼の見えるところ、見えないところで、彼を助けるけれども、しかしそれはまったくの善意ではない。少年は少女に手を引かれ、人を脅し、人を殺める道を歩んでいく。それはとても昏い道であり、その道を行けば行くほど、彼は暗く、黒く染まっていくのだ。
その一方で、彼の母親は、『逢魔刻』の高級娼婦として調教されてしまう。アナルには直腸を満たすほど太くて長い栓を常に差し込まれ、尿道すらも犯される。自分の淫らな姿を見られているだけで絶頂するほどに開発されると、生き別れの息子に対する想いさえ、徐々に失われていく。
失われてぽっかりと空いた感情の穴は、暗くて真っ黒で、底の見えない壺のようなもの。そこへ例えば快楽とか、憎しみといった別の感情を注ぎ込めば、どうなるのだろう? 前者は母親に注がれ、後者は少年に注がれる。その結果として、彼は黒く染まってしまうのだ。
本作のストーリーに対する私の解釈は、以上である。このストーリーそれ自体は、総評にも書いたとおり、素直に面白かったと思う。
だが、それ以外については……
さて、次にプロットについてだが、これは拙いと言わざるを得ない。
本作の物語は、リアン、セイル、レヴィアル、そしてサブナックの4人を主要人物として進められる。このうち、レヴィアルの立場についてはそれなりに納得できる内容であったが、それ以外の3者については納得がいかない。それは、リアンとセイルについては黒く染まる過程がやや省略され過ぎているからであり、サブナックについては彼の特殊な価値観を根付かせるだけのエピソードが存在しないからである。そんな状態であのクライマックスに持っていかれても、十分な盛り上がりを感得することはできない。
エロについては、過激なシーンばかりだが、正直あまり使えない。テキストが冗長で、くどすぎるからである。このテキストを読んでいて思い出すのは、去年発売された『仏蘭西少女』のそれである。過剰な修辞表現ばかりが目立って、読みにくいテキストだった。
グラフィック 20/30点
基本CG枚数は、ギャラリーで閲覧できるものだけで50枚。これだけでも相当多い枚数だが、実はこれはエロCGだけをカウントしたものだ。ギャラリーには登録されないバトルシーン等のCGも含めると、実際にはもっと多い。この点は大きく評価したい。
エロシーンは、回想に登録されるもので16本。これらは全部、セイルのエロシーンである。本編中にはリアンのエロシーンらしきものもあったが、回想には登録されない。
立ち絵や一枚絵のクオリティは、低い。特に、人体が大きく崩れすぎ。塗りは肌のいたるところに光沢をつけすぎていて、いろいろとおかしい。
エロシーンでは、局部アップ等でCGを頻繁に入れ替えたり、スライドさせすぎ。あまりクオリティの高くない絵を、短時間で目まぐるしく変えられると、非常に見づらい。
モザイク修正は、濃くはないが、わりといい加減。アナルは挿入前から修正済。
音楽・声優 5/20点
SEについては、やけにうるさく響くし、特にエロシーンにおける挿入音は酷過ぎる。私が初めて挿入音を聞いたとき、相手の腹部を刃物か何かで貫いた音と勘違いしたくらいだ。
キャラクターボイスは、フルボイスに近いパートボイス。声優の演技については、何度ボイスオフにしようと思ったか分からない。ブレスノイズが頻繁に入って、とても耳障りだ。特に、一番重要な役割を担っている特定のキャラクターの演技が、一番苦しいのが耐えがたい。クライマックスの際にこの声が入ると、一気に萎えてしまう。
セイル | 山里京 | リアン | たちばなえみ |
フラウロス | 田淵エリカ | サブナック | sinsay |
クリノラス | 大和倭 |
システム 5/20点
セーブは、昔のフリービジュアルノベル風に、上部メニューで「栞を挟む」形式が採用されている。「栞を挟む」こと自体はいつでも出来るが、「栞をたどる」場合、それは栞を挟んだ直後のポイントではなくて、それ以前にあった最も近しい特定のポイントから開始されることになる。
音量調整は、マスター調整が出来ないので、一つ一つ調整するしかない。バックログにおける音声リピートは出来ない。また、ゲーム進行中にタイトルに戻る機能はない。
エッチ内容について
作品情報
タイトル | 紅湖の皇子 |
ブランド | 雨傘日傘事務所 |
発売日 | 2007年8月22日 |
ダウンロード販売 | DLsite FANZA |