BackStage(TJR) 感想

BackStage

ストーリー概要

やる気と実力はあるがなかなか表舞台に立てない俳優志望の主人公 光明。ある日、光明は、尊敬する演出家の先輩 水鏡京香から、舞台出演の依頼を持ちかけられる。
出演を依頼されたのは、JDS――日本の第一線で活躍する現役芸能人たちが集う演劇祭である。光明はあまりの大舞台に戸惑うが、しかしこれは千載一隅のチャンスでもあった。

水鏡と光明は、現役のアイドルや声優、演劇部の女学生、さらには演劇の素人といったユニークな人材を集め、演劇団体『バックセット』を結成。来るべきJDSの舞台に向けて、練習・公演を重ねていくが……。

総評 140/200点(良)

センスの良いコメディ。ニヤニヤが止まらないデレ展開。ストーリー重視なのに魅力的なエロテキスト。登場人物は全員キャラが立っていて、不要な人物は一人もいない。

BackStageは、久しぶりに(18歳以上の)万人に推薦できる良作だった。私的には、”ツンデレ”や”アホの子”、”元気っ子”属性のある紳士へ、特にオススメする。

シナリオ 60/80点

プロ意識の高い主人公は、演じることへの情熱のあまり、演劇素人の団員たちを見下し、軋轢を生んでしまう。団員たちも彼ら自身の問題を抱えており、一人ではどうしても解決できない。そんな主人公と団員たちが、演劇の練習や公演を通して次第に仲間意識を育ててゆき、あるいは恋をし、ついには人間的にも成長していく――という構成に見せかけて、である。

『BackStage』は、実際にはそれほど『友愛』や『熱血』的な展開が充実しているわけではない。物語序盤~中盤の演劇に関するアレコレは、華やかな舞台の『裏側』を強調することで、主人公のプロ意識の高さを印象づけ、さらに後のヒロインたちの葛藤を引き出すための伏線に過ぎない。

だから、本作品にガチガチな演劇群像モノを期待すると、肩透かしを食らってしまう。むしろ『BackStage』の本領は、シナリオ中~後半の各ヒロインたちとの恋愛にある。あのニヤニヤしまくりの個別ルートを100%楽しむためにのみ、ガチな演劇パートは存在している。

そういうわけなので、本作品の舞台公演パートには期待しないほうがいい。舞台脚本の原作『Le Petit Prince(星の王子さま)』や『天守物語』からの芋引きばかりで、明らかな手抜き手法が目立つ。これでは、原作を知らないプレイヤーは話から置いてけぼりになるし、原作を知っていたら知っていたで、諸々の演出・構成・演技の半端さに辟易してしまうだろう。

しかし、そういった欠陥は取り敢えずスキップしてやり過ごそう。繰り返すが、『BackStage』の魅力は演劇に非ず。個別ルートでヒロインたちに萌えてこそ、この作品には価値がある。

個別ルートのあの楽しさときたら……とても手短には言い尽くせない。ノリではなく話の筋で笑えるコメディの良さ、いちいちピンポイントでツボを突いてくるヒロインたちの反応――そして何よりも、あのエロテキストの素晴らしさ!

『BackStage』のエロには、必然性がある。良くある”取ってつけたような~”ではない。そこにエロがあるからこそ、この物語は良作たり得る。万人受けを狙ったエロシーンでは、正直抜けないから「どうでもいい」と思っていたが……まさかそう来るとは思わなかった……。

CG 35/60点

CGそれ自体は、立ち絵・イベントともに、けっこう丁寧に描かれていて好感が持てた。エロシーンではキャラの表情がとても合っていて、表情と声だけでも”使えそう”だ。

ただ、全体を通してみると、CGの使い回しシーンが多いのが気になった。また、『ここではイベントCGが絶対に必要だ』と思われる箇所に、ことごとくCGが挿入されない。本作品の基本CG枚数は80枚程度とやや少なめで、題材的にはあと+30枚くらいは欲しいところだ。

音楽・声優 30/40点

音楽は、ひたすらにBGMに徹していた。19曲という多くはない曲数で、きっちりと物語の演出をサポートしていた。特に、『NO.14 不思議の国を探した娘』は、要所要所で良い仕事をしている。

声優さんはあまり名前を聞かない人が多かったが、日常やエロについてはみんな良い演技だったと思う。特に、沙織役の真宮ゆずさんの声はとても表情豊かで、私的にはチェックリスト送り。
一方、演劇パートにおいては、各々の声優さんで差が現れたように思う。棒読みとまではいかなくても、一部、聞いていて首を傾げるような微妙な演技があった。

システム 15/20点

基本システムにはゴチャゴチャと余分な機能は付いておらず、必要な機能が必要なだけ揃っている。が、バックログを参照にする際、画面が切り替わるとそれ以前のログが参照できないという欠点がある。

エッチ内容について

プレイはオーソドックスな内容ばかりだが、+αがある。詳しく言うと、ネタバレ必死なので、各自で確認してほしい。

作品情報

タイトル BackStage
ブランド TJR(THE JOLLY ROGER)
発売日 2008年8月8日
ダウンロード販売 DLsite FANZA
パッケージ通販 Amazon 駿河屋